発見みつ)” の例文
旧字:發見
けれども、その翌日、ふと赤ちゃんが夫によく似ている事を発見みつけた時に、私はどんなに驚いたろう。横顔がそっくりなんですもの。
愛の為めに (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
「しかしお前が発見みつけるより先に私がいち早く見付けていた。危険の多い湖底から沙漠の地下室へ人猿と一緒に宝を移したのもこのわしじゃ」
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
五時頃に東室で人の倒れるような物音を聞いて駈けつけ、そこで夫の死を発見みつけた事などを小さな声で呟くように答えた。
闖入者 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
そうして、やっとのこと貴下あなた発見みつけたのです。あなたこそ、「死後の恋」に絡まる私の運命を、決定して下さるお方に違いないと信じたのです。
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
まるで、お姫様が毛虫を発見みつけたような消魂けたたましい叫び声が、奥のほうから聞えて来る。保利庄左衛門、箭作彦十郎、飯能主馬、春藤幾久馬等の声だ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
強い風を交えた雨に、赤いゼラニウムの花が散々に打たれていた。敷石の上に一本の毛ピンが落ちていた。それを発見みつけて拾上げたのはギルであった。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
ここで何かすばらしい思いつきが発見みつかれば、その結果ジナイーダにすべてが綜合されるか、あるいは、ワシレンコに出没の秘密が明らかにされるだろうが
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それとも誰か他の魚に発見みつけられてしまつたかもしれない、などと焼かれた秋刀魚は、なつかしい海の生活を思ひ出して、皿の上でさめざめと泣いて居りました。
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
そのほそい、さびしいみちは、すぐこのはたけのそばをとおっていました。どうかして、薬売くすりうりのおとこ自分じぶん姿すがた発見みつからなければいいがと、太郎たろうこころをもんでいました。
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
思うようなところがないので、彼方此方あちらこちらと探し歩いた、すると一個所、面白い場所を発見みつけた。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
なるべく隠れて歩きたいな、発見みつけられたって構いはしないけど、おじさんの生きる月日があとに詰ってたくさんないんだもの、だから世間なんて構っていられないんだ。
蜜のあわれ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
『片無しでもありません。今、其処で植物フロラ発見みつけましたが、動物ファウンナが見付かりません。』
『ああ、馬鹿々々敷い!……何も発見みつかりやせん』とプラスビイユが呶鳴どなった。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
美沢は、美和子の中に、なにか新しいものを発見みつけたように、彼女を見直した。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
野良猫のかく発見みつけたりするのは、大抵が床下で、もしか床下に何一つ落ちてないやうなうちがあつたなら、そこの祖先は落す程の物を持合はさなかつたので、こんな気の毒な事はない筈だ。
わっはっは、いや、発見みつかりましたな。
消えた花婿 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
誰が太初はじめ発見みつけたか
傾ける殿堂 (新字旧仮名) / 上里春生(著)
こんなに広い海の真ン中で、果して釧路丸が発見みつかるだろうか? その予想は見事に当って、隼丸は、そのまま緊張した永い時間を過すのだった。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
基督キリスト教徒にめられて国家の滅びるその際に南方椰子樹の島に隠した計量を絶した巨億の財を私は今こそ発見みつけたのだ!
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
タッタそれだけで一万ポンドの仕事になった訳だが、何を隠そうコイツは立派な条令違反なんだ。発見みつかったら最後、機関長の免状を取上げられるどころじゃない。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
奥へ這い込むようにして、しばらく押入れ中ごそごそ言わせていたが、やがて、発見みつけ出した竜手様を、汚なそうに、怖ろしそうに、指さきに挾んで、腰を伸ばした。
「だが、恐らくそれだけの意味じゃあるまい。いずれこの甲冑武者の位置から、僕はもっと形に現われたものを発見みつけ出すつもりだよ」と云ってから、今度は召使バトラー
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
と、一ちょうの白い刃のついた鑿が木屑と一しょにまぎれ込んでいるのを発見みつけたのであった。
香爐を盗む (新字新仮名) / 室生犀星(著)
発見みつけようとした
発見みつかったか?』
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
「とにかく、撥形鶴嘴ビーターと言えばそんな小さな品ではないんですから、一応その辺を探して見て下さい。もし有るとすれば、きっと発見みつかるでしょう」
気狂い機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
よし、では、急いで家へ帰って、根気よく独楽を廻すことによって、独楽の面へ現われる文字を集め、その秘密を解き価値を発見みつけてやろう。——興味をもってこう思った。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
お多喜は先刻さっき、八幡のお社の縁の下で、この小信を発見みつけて家へ伴れ帰った顛末を話した後
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「それがまだ発見みつからんのだ。それから、この日和下駄は被害者が履いていたのだそうだ」
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
うっかりしていて、最初船長がそれを発見みつけた時には、もうその船はしゃちのような素早さで、鯨群に肉迫していた。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
立ち停まった二人を眼智めざと発見みつけた海老床甚八とに組の頭常吉、人を分けて飛んで出た。
「二種のたからにはぬしはない筈。何んで奪いに参ろうぞ! ただ宝を発見みつけに来たのじゃ!」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして間もなく母屋の縁先のくつ脱ぎで、地面に残された跡とピッタリ一致する二足の庭下駄が発見みつけられた。
石塀幽霊 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
といいじょう発見みつけた以上は役目柄叱らない訳にもいかず、そんなことをしていては日もまた足らずなので、そこで歴代の大目附が、経験と必要にそくして案出したのがこの咳払いである。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
発見みつけたもの、ないしは死骸を探し出した者には、莫大なご褒美を授けるというお伝達たっしが出ているのでございますよ。……何んと世の中には不思議極まる大鳥があるものではござらぬかな
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
蜂須賀巡査の発見みつけた足跡はこの勝手門からすぐに右へ折れて、前庭の植込から母屋へ続く地面の上に点々と続いている。庭下駄の跡だ。非常に沢山ついている。
石塀幽霊 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
こけ猿の茶壺が発見みつかって、それによってこの宝掘りになったということを、家臣の口から世間へ伝えさせ、信じさせるために、あの一風宗匠までがこのお鍬入れに引っぱり出されたのは
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
性来どこかにおかしみを持った田舎者じみたダンチョンが、神経質な眼付きをして、音楽などはうわの空で、例の美人を発見みつけようと、四辺をキョロキョロ見廻す様子は、それは全く珍であった。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして海霧ガスれた夕方など、択捉えとろふ島の沖あたりで、夥しい海豚いるかの群にまれながら浮流うきながされて行く仔鯨の屍体を、うっかり発見みつけたりする千島帰りの漁船があった。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
で、その大次郎をここの人混みで発見みつけた千浪は、嬉しさにわれを忘れて
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
しかるに発見みつけましたその鉱脈は深い地の底を押し潜り西北の方面に延びているはず。あまり深くひそんでいるために神保様方の金山奉行にはその鉱脈のあることさえ未だに知らずにおるような始末。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私達は協力して暫くその辺を探して見たが、勿論殺害に使われた兇器は発見みつからなかった。そして線路の脇の血の雫の跡も、もうそれより以西には着いていなかった。
気狂い機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
発見みつけたのは、先頭さきに立っていた屋敷の主人あるじ長岡頼母である。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「人を発見みつけるのが俺の本職だ」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
が、轢死者の衣類と思われる様なものは、襦袢じゅばんの袖ひとつすらも発見みつからなかったんです。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
そしてその奇蹟を発見みつけた犯人が、そいつを利用して故意に君達証人、特に郵便屋のように一定の時刻にきっとあの辺を通る男の面前で、巧妙な犯罪を計画したんだよ。あ、どうしたんだ。君。
石塀幽霊 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)