疾走しつそう)” の例文
にんえのきもとちて、「お月樣つきさまいくつ」とさけときは、幾多いくたの(おう同音どうおんに「お十三じふさんなゝつ」として、飛禽ひきんつばさか、走獸そうじうあしか、一躍いちやく疾走しつそうしてたちまえず。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あの手せい暗箱あんはこをこしらへたころ、毎日目ろくながめてはたのしんでゐたころ車の疾走しつそうなどを大さわぎでうつしてよろこんでゐたころ、それらをおもひ返すと、わたしむねには何かしらへんさびしさがいてくる。
うしろはやしやゝ俛首うなだれたたけ外側そとがはがぐるりとかれて變色へんしよくしてたのがかれえいじた。それとともかれとなりもりなか群集ぐんしふ囂々がう/\さわぐのをみゝにして自分じぶんいまなんため疾走しつそうしてたかをこゝろづいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かれ疾走しつそうしたあと異常いじやう疲勞ひらうかんじた。かれ自分じぶん燒趾やけあとてようとするのに鳶口とびぐち萬能まんのうみなそのなかつゝまれてしまつてた。かれ空手からてであつた。唐鍬たうぐはつてかれふたゝあつそばつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)