生若なまわか)” の例文
締直しめなほし支度をして行んとする故彼方かなたに居る雲助共は大聲おほごゑあげヤイ/\よくそんな事でいける者か何でも乘てもらへ/\今時生若なまわかい者が大金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
第一中隊のシードロフという未だ生若なまわかい兵が此方こッちの戦線へ紛込まぎれこんでいるから⦅如何どうしてだろう?⦆とせわしい中でちら其様そんな事を疑って見たものだ。
話の波が、また中央まんなかかへつて来た。が、頭を青々と剃立そりたてた生若なまわかい坊さんは、勿体もつたいぶつた顔にちよいと微笑を浮べただけで何とも答へなかつた。
野の哄笑 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
あんな生若なまわかい癖に駕籠賃を踏み倒したりなんかして、あれがだんだん増長するとかたりや美人局つつもたせでもやり兼ねないと……
半七捕物帳:16 津の国屋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
生若なまわかい身にはございますが、痩せ腕ながら菊之丞、屹度、雪太郎坊っちゃまを、お預かりいたし、必ず御無念を、このお子の手で晴らさせて御覧に入れます
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
どこから見たって不足を言う点がないではないか、生若なまわかいものであると料簡の見留みとめもつきにくいが斎藤ならばもう安心なものだ。どうしても承知ができないか
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
彼は生若なまわかい伍長が直立して敬礼するのに対して、馬鹿野郎と呶鳴った。軍人より匪賊ひぞくというタイプだった。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
それはまだ二十二ぐらいの生若なまわかい男だったが、よく動く浅黒い顔つきは、年よりも老けて見えた。
宗助そうすけには宜道ぎだう意味いみがよくわからなかつた。かれこの生若なまわかあをあたまをしたばうさんのまへつて、あたかも一低能兒ていのうじであるかのごと心持こゝろもちおこした。かれ慢心まんしん京都きやうと以來いらいすで銷磨せうまつくしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あの時わしは、兄三郎盛綱もりつなとともに、まだ二十歳はたちにも足らぬ生若なまわかい頼朝を助けにせ参じた。あの旗挙げの第一戦に、頼朝はさんざんにやぶれ、石橋山から土肥といの杉山へと落ちのびた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんな野暮やぼなことはなさらずに、金助、これで一杯飲め、なんかと言って下さるのが嬉しうございますね、あの呼吸はなかなか生若なまわかい世間知らずのお方にはできません、やはり苦労人でないと……
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
兵卒が生ませて、戦争が育てた、生若なまわかい女原奴。
南無阿弥陀仏なあまいだんぶ。」と生若なまわかい声を出す。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
取替行るゝ事故請取も糸瓜へちまも入ぬ譯なれど深切づくのあづかり物生若なまわかい衆の御出に付ねんの爲とらずともい請取までサア御覽じろと差出すを各々取上げひらき見るに
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼はこの生若なまわかい青い頭をした坊さんの前に立って、あたかも一個の低能児であるかのごとき心持を起した。彼の慢心は京都以来すでに銷磨しょうまし尽していた。彼は平凡を分として、今日こんにちまで生きて来た。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「まだ生若なまわかい男だぜ!」ともう一人が口をはさんだ。
飛違とびちがへ未だ生若なまわかき腕ながら一しやう懸命けんめい切捲きりまくれば流石に武士のはたらきには敵し難くや駕籠舁ども是はかなはじと逃出にげいだすを何國迄いづくまでもと追行おひゆくうちかね相※あひづやなしたりけん地藏堂のとびら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)