獨語ひとりごと)” の例文
新字:独語
僕がこゝに來ようと思つてね、あの專賣局の裏道を來ると、まつ暗い中に一人の女がうづくまつてゐるんだ。そして何か獨語ひとりごとをいつてるんだ。
輝ける朝 (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
「もうすつかりになりました。」長火鉢の前に坐つてすず子は獨語ひとりごとのやうに云つた。いかにもがつかりしたやうな風も見えた。
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
『さア、それは鹽梅あんばいだ!』とあいちやんは獨語ひとりごとひました、女王樣ぢよわうさま宣告せんこくされた死刑しけい人々ひと/″\を、如何いかにもどくおもつてたところでしたから。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
と、或朝あるあさはや非常ひじやう興奮こうふんした樣子やうすで、眞赤まつかかほをし、かみ茫々ばう/\として宿やどかへつてた。さうしてなに獨語ひとりごとしながら、室内しつないすみからすみへといそいであるく。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「それは、僕の望むところだ、」と彼は獨語ひとりごとのやうに云つた。「それこそ僕の望むところだ。道には色々の障りがある。それはり倒すばかりだ。 ...
靜子は心持眉を顰めて、『阿母さんもひどいわね。迎ひなら昌作さんでなくたつて可いのに!』と獨語ひとりごとの樣につぶやいた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
つめたくつて本當ほんと晴々せえ/\とえゝみづぢやねえか、井戸ゐどてえに柄杓ひしやくすやうなんぢや、ぼか/\ぬるまつたくつて」おつたは獨語ひとりごとをいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「ああ、国のことを思ってるうちに、すっかり夜になってしまった。」と獨語ひとりごとのように言う。
北国の人 (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
そんなことを父はよく獨語ひとりごとのやうに言つて、自分の考へを纏めやうとするのが癖でした。
「葡萄が段々赤るみかけた。」と下男が獨語ひとりごとを言つた。
少年の死 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
歩むともなき獨語ひとりごとひとり終日ひねもす畑をあちこち。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
先生は獨語ひとりごとのやうに
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
そこあいちやんは、『これが甚公じんこうかしら』と獨語ひとりごとつてまた一つはげしくつて、それからうなることかとました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それらが或は歌といはれるものゝ形を取る事もあれば、詩ともいふべきリズムを持つた獨語ひとりごとである場合もある。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
「よきげこれてやつぺか、砂糖さたうでもせえたら佳味うまかつぺな」獨語ひとりごとのやうにいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
と、獨語ひとりごとの樣に云つて、出て行つて了つた。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『もう澤山たくさんよ——もうびたかないわ——このとほり、戸外おもてられなくなつてしまつてよ——眞箇ほんとにあんなにまなければかつた!』と獨語ひとりごとひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
つてんべ、よきもつてろなあ、ねえと一しよに」おつぎは獨語ひとりごとした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
何だか知れないが獨語ひとりごとをいつては泣いてるんだ。
輝ける朝 (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)