らう)” の例文
八五郎の取出したのは、大振りな鍵で、これは誰が見ても、二日前に伊三郎の死骸のあつた、あの座敷らうの鍵といふことがわかります。
牢舍らうしやさするやと尋ねられければお菊は何卒なにとぞ父利兵衞吉三郎ともに御免おんゆるし下され其代りに私しをらう御入下おんいれくださるゝやうにと涙ながらに申立るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
番兵殿ばんぺいどの手前てまへをもう一らうへおもどしを願ひます。—余程よほど不作ふさくと見えまする。それたお話がございます。
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
本文ほんもんにはさんだ、三葉さんえふ銅版画どうばんぐわの中には、「英国俳優ヂオフライ空窖くうかう幽囚いうしうせられたる図」と云ふのがある。そのが又どう見ても、つちらう景清かげきよと云ふ気がする。
本の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
やつはらうから出て、身を隠してゐた。あいつは皆のなかで一番美しかつた。また泥棒をやつたらしいが。あいつは体も敏捷で申し分なかつた。僕はモクティルを二日間雇つたよ。
亜剌比亜人エルアフイ (新字旧仮名) / 犬養健(著)
けよ! このむねよ! 破産はさんした不幸みじめこゝろよ、一思ひとおもひにけてしまうてくれい! 此上このうへらうはひれ、もう自由じいうるな! けがらはしい塵芥ちりあくため、もと土塊つちくれかへりをれ、きてはたらくにはおよばぬわい
そのをりをどうしようとも私にはそれに——その手馴れぬ、美しいものに達することが出來ない! 壞したところで、そのもろらうを破つたところで、私の亂暴は唯囚人を逃がしてやるばかりなのだ。
一人はらうでて今
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
小兒せうにらうに引かる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
かけたりけるかくて七すけとおうめは家主へあづ粂之進くめのしん揚屋あがりやいり喜八伊兵衞いへゑらうもどされけりさて翌日よくじつ大岡殿登城とじやうありて月番の御老中ごらうぢう松平右近將監殿まつだひらうこんしやうげんどの御逢おあひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
渡し船は意地惡く手間取つて、中流へ出たのは座敷らうを出て小半刻も經つてからの事。
らうにあり
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
毎度まいど亂心らんしん之者有り家業ならざる中は養生らうとて入牢仰付らるゝ故則ち願書取上となり翌日よくじつ本郷三丁目徳兵衞組合くみあひ名主付添へ白洲へ罷り出控居るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
陣屋を根城に領内から美い女をあさり、その上氣に入らないことがあると、百姓をらうち込み、五年前には伊之松といふ百姓を、物の言ひやうが氣に喰はないと言つて手討にしてゐますよ
「何んだと?——そいつがうそだつた日にや、手前てめえらうへ叩き込まれるよ」
昨日きのふうつかりこの座敷らうを開けて置いたのかも知れない」
「それにしても、土のらうはひどからう」