澄切すみき)” の例文
……じつは三あまり、仙境霊地せんきやうれいち心身共しんしんとも澄切すみきつて、澄切すみきつたむなさきへ凡俗ぼんぞく見透みえすくばかり。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その骨の尖角とがりの間から洩るる大空が、気味の悪いほどに澄切すみきっているのは、やがて真黒な雪雲を運び出す先触さきぶれと知られた。人馬の交通をさえぎるべき厳寒の時節もようやく迫り来るのである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
かれあわたゞしくまどひらいて、呼吸いきのありたけをくちから吐出はきだすがごとくにつきあふぐ、と澄切すみきつたやまこしに、一幅ひとはゞのむら尾花をばなのこして、室内しつないけむりく。それがいは浸込しみこんで次第しだいえる。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ときは、つめひとゆびさきも、人目ひとめにはれないで、水底すゐていねむつたやうに、面影おもかげばかり澄切すみきつてたのに、——こゝでは、散乱ちりみだれた、三ひら、五ひらのはなが、すごうご汽車きしやそこ
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
空模樣そらもやうは、そのくせほし晃々きら/\して、澄切すみきつてながら、かぜ尋常じんじやうならずみだれて、時々とき/″\むく/\と古綿ふるわたんだ灰色はひいろくも湧上わきあがる。とぽつりとる。るかとおもふと、さつまたあらびたかぜ吹拂ふきはらふ。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
珊瑚さんごつて、不知火しらぬひ澄切すみきつたみづちりばめたやうである。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)