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消炭
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けしずみ
ふりがな文庫
“
消炭
(
けしずみ
)” の例文
饂飩
(
うどん
)
屋のガラスの
箱
(
はこ
)
の中にある饂飩の玉までが
鮮
(
あざ
)
やかである。往来には軒先に
莚
(
むしろ
)
を
敷
(
し
)
いたり、
箕
(
み
)
を置いたりして、それに
消炭
(
けしずみ
)
が
乾
(
ほ
)
してある。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
消炭
(
けしずみ
)
や灰の中にうずくまっていましたから、ままむすめの姉と妹は、からかい半分、サンドリヨン(シンデレラ)というあだ名をつけました。
灰だらけ姫:またの名 「ガラスの上ぐつ」
(新字新仮名)
/
シャルル・ペロー
(著)
それを読んだ平次は、
煙管
(
きせる
)
の吸口を額に当てたまま、思わず
唸
(
うな
)
りました。
懐紙
(
ふところがみ
)
に、
消炭
(
けしずみ
)
でのたくらせた走り書きは
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
石楠花は依然多いが、それに次いでは、高根いばらが多く、丈高い茎に大形の紅色の花を着けたのが、
消炭
(
けしずみ
)
の火のように、かえって暗い感じをさせる。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
差置いた
洋傘
(
こうもり
)
の柄につながった、
消炭
(
けしずみ
)
で
描
(
か
)
いた棒を
視
(
なが
)
めて、
虚気
(
うつけ
)
に、きょとんとする処へ、坂の上なる
小藪
(
こやぶ
)
の前へ、きりきりと舞って出て、老人の姿を見ると
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
折々は
青菜
(
あおな
)
の柔い草を与えなければなりませんし、夏になると
消炭
(
けしずみ
)
を粉にして餌に混ぜて一週間に一度位与えなければなりません。消炭の粉は腹の中を掃除します。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
女「そうだねえ、まア火を
煽
(
おこ
)
してお呉れ……
消炭
(
けしずみ
)
を下へ入れて堅い炭を上へ入れるのだよ、あら、鍋が空じゃアないか、湯を入れて掛けるのだアね、旨くやんねえよ」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
二三度
喚
(
よ
)
んで見たが、阿母さんは
桃枝
(
もヽえ
)
を
負
(
おぶ
)
つて大原へ出掛けて居無かつた。貢さんは火鉢の
火種
(
ひだね
)
を
昆炉
(
しちりん
)
に移し
消炭
(
けしずみ
)
を
熾
(
おこ
)
して
番茶
(
ばんちや
)
の
土瓶
(
どびん
)
を
沸
(
わか
)
し、
鮭
(
しやけ
)
を焼いて
冷飯
(
ひやめし
)
を食つた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
しかしこれはすなわち
消炭
(
けしずみ
)
で、古くはこれを
和炭
(
にこずみ
)
と云った。その和炭に対して炭竈で蒸し焼きに焼いた炭を荒炭と云い、荒炭和炭の名は既に天平時代の正倉院文書に往々見えている。
炭焼長者譚:系図の仮托と民族の改良
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
それからここに
付木
(
つけぎ
)
っ
葉
(
ぱ
)
があります、これへ
消炭
(
けしずみ
)
で書いたのが無類の記念です。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ここでタヌは、
消炭
(
けしずみ
)
のかけらを拾って歩道の上へ書きつけた。
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「俺は堂宮を見て来る。いいか、欄干の後ろを見るんだよ、大抵は
消炭
(
けしずみ
)
だ。目印は二重になった
菱
(
ひし
)
、判ったか」
銭形平次捕物控:135 火の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いや、御深切は
難有
(
ありがた
)
いが、
薬罐
(
やかん
)
の底へ
消炭
(
けしずみ
)
で、
湧
(
わ
)
くあとから
醒
(
さ
)
める処へ、氷で
咽喉
(
のど
)
を
抉
(
えぐ
)
られそうな、あのピイピイを聞かされちゃ、
身体
(
からだ
)
にひびっ
裂
(
たけ
)
がはいりそうだ。……持って来な。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
エヽ
私
(
わつし
)
は
歌舞伎座
(
かぶきざ
)
の
武田屋
(
たけだや
)
の
兼
(
かね
)
てえもんでがすが、
能
(
よ
)
く
姐
(
ねえ
)
さんに
叱
(
しか
)
られるんで、お
前
(
めえ
)
のやうに
茶屋
(
ちやや
)
の
消炭
(
けしずみ
)
をして
居
(
ゐ
)
ながら、さう
世辞
(
せじ
)
が
無
(
な
)
くツちやア
仕
(
し
)
やうがねえから、
世辞屋
(
せじや
)
さんへでも
行
(
い
)
つて
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「でも、そいつは間違いでしょう。そのために人まで殺しちゃ、——ところで親分。吉兵衛の
消炭
(
けしずみ
)
で書いた遺書が、本当にお長屋の
格子
(
こうし
)
の外に落ちてたんですか」
銭形平次捕物控:131 駕籠の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
冬季
(
ふゆき
)
などは困って
睾丸火鉢
(
きんたまひばち
)
の中へ
消炭
(
けしずみ
)
などを入れ、ブウ/\と吹いて震えながら
一夜
(
ひとばん
)
明かすものが多い世の中で、
裏店
(
うらだな
)
や何かで難儀して居て一俵買が出来ねえで困って居るものが有りやんすから
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
平次も
唸
(
うな
)
りました。橋の欄干の手前寄りに
消炭
(
けしずみ
)
でかなり大きく、銭の形が一つ描いてあるのです。
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
御馴染甲斐
(
おなじみがい
)
に
打寄
(
うちよす
)
る
冠詞
(
まくらことば
)
の
前席
(
ぜんせき
)
から。ギッシリ詰る
大入
(
おおいり
)
は、誠に
僥倖当
(
まぐれあた
)
り
炭
(
ずみ
)
。俵の縁語に評さえ
宜
(
よき
)
を。例の若林先生が。火鉢にあらぬ
得意
(
おはこ
)
の速記に。
演舌
(
しゃべ
)
るが儘を書取られしが。写るに速きは
消炭
(
けしずみ
)
も。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この屋敷のお長屋で殺されかけた吉兵衛が、
消炭
(
けしずみ
)
で書いた手紙を外へ
抛
(
ほう
)
ったとは気が付くまい。
銭形平次捕物控:131 駕籠の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「親分さん、
怖
(
こは
)
いことですが、幸三郎の言つたことに少しの嘘もありません、——その翌る日この格子から、
硫黄附木
(
いわうつけぎ
)
に
消炭
(
けしずみ
)
で書いた、こんな物を投込んだ者があります」
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「親分さん、怖いことですが、幸三郎の言ったことに少しの嘘もありません、——その
翌
(
あく
)
る日この格子から、硫黄付け木に
消炭
(
けしずみ
)
で書いた、こんな物を投込んだ者があります」
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
白壁
(
しらかべ
)
に
消炭
(
けしずみ
)
で描いた丸に四角、あれを錢形と氣のつくのは、廣い世界にもお前だけさ」
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「誰だい、入口の
漆喰壁
(
しっくいかべ
)
へ、
消炭
(
けしずみ
)
なんかででっかい丸と四角を描いたのは?」
銭形平次捕物控:082 お局お六
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ガラッ八は鼻紙に
消炭
(
けしずみ
)
で書いたのを押入の隅から拾いました。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
消炭
(
けしずみ
)
で描いた銭形は?」
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
消
常用漢字
小3
部首:⽔
10画
炭
常用漢字
小3
部首:⽕
9画
“消炭”で始まる語句
消炭色
消炭螺