法華ほつけ)” の例文
聖教量しやうげうりやう、「スペクラチオン」)逍遙子はあに釋迦しやかと共に法華ほつけ涅槃ねはんの經を説いて、に非ず、空に非ず、亦有、亦空といはむとするか。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「いえ信念しんねんさへあればだれでもさとれます」と宜道ぎだう躊躇ちうちよもなくこたへた。「法華ほつけかたまりが夢中むちゆう太鼓たいこたゝやうつて御覽ごらんなさい。 ...
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
或年あるとしの住僧此塔の出たる時天を拝していのる、我法華ほつけ千部読経どくきやうぐわんあり、今一年にしてみてり、何とぞ命を今一年のばし玉へと念じて、かの塔を川中のふちなげこみたり。
其時そのとき荒坊主あらばうず岸破がば起上おきあがり、へさき突立つゝたツて、はつたとけ、「いかに龍神りうじん不禮ぶれいをすな、このふねには文覺もんがく法華ほつけ行者ぎやうじやつてるぞ!」と大音だいおんしかけたとふ。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
就中なかんづく、夫婦共に法華ほつけ持者ぢしやなり。法華經流布るふあるべきたねをつぐ所の、玉の子出生、目出度覺候ぞ。色心二法しきしんにほふをつぐひとなりいかでかをそなはりさふらふべき。とくとくこそうまさふらはむずれ。
怖ろしく声のい人で、お経をむと、その調子が自然に律呂りつりよかなつて、まるで音楽でも聴くやうな気持がするので、道命が法華ほつけを誦むとなると、大峰おほみねから、熊野から、住吉すみよしから
朝まだき靄にきこえてすがすがし法華ほつけの太鼓しづかなるかも
小熊秀雄全集-01:短歌集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
法華ほつけですよ、親分」
見て大に悦びまづ是にてわざはひたちたれば更に心殘こゝろのこりなし大望成就じやうじゆうたがひなし今は此地に用はなしいそぎ他國へ立越たちこえん幸ひ濃州のうしう谷汲の長洞村ほらむら法華ほつけ山常樂院長洞寺の天忠日信と云はおや藤井紋太夫の弟にて我爲には實の伯父をぢなるがかゝる事の相談には屈強くつきやう軍略ぐんりやく人にて過つるころおん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
或年あるとしの住僧此塔の出たる時天を拝していのる、我法華ほつけ千部読経どくきやうぐわんあり、今一年にしてみてり、何とぞ命を今一年のばし玉へと念じて、かの塔を川中のふちなげこみたり。