氣味惡きみわる)” の例文
新字:気味悪
たゞ大地震直後だいぢしんちよくごはそれがすこぶ頻々ひんぴんおこり、しかも間々まゝきもひやほどのものもるから、氣味惡きみわるくないとはいひにくいことであるけれども。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それが昨日の晩は今吹いてゐるやうな——騷がしく強い——のではなくて、哀れつぽいくやうな音を立てゝ吹いてゐて、氣味惡きみわるい位のことではなかつたのです。
おくめるひと使つかへるをんな、やつちや青物あをものひにづるに、いつも高足駄たかあしだ穿きて、なほ爪先つまさきよごすぬかるみの、こと水溜みづたまりには、ひるおよぐらんと氣味惡きみわるきに、たゞ一重ひとへもりづれば
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『まあ、みにくさかなですこと。』と少年せうねん氣味惡きみわるさうに、その堅固けんごなる魚頭かしらたゝいてた。
しま一周いつしうといつて、このしまはどのくらひろいものやら、また道中だうちう如何いかなる危險きけんがあるかもわからぬが、此處こゝ漠然ぼんやりとしてつて、しま素性すじやうわからず氣味惡きみわる一夜いちやあかすよりはましだとかんがへたので
氣味惡きみわるはなるのが、三井寺みゐでらかうでない、金子かねしいときこえる。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
兎角とかくする今迄いまゝでは、其邊そのへん縱横じゆうわう暴廻あれまわつてつた沙魚ふかは、その氣味惡きみわるかしら南方みなみのかたけて、あだかるやうにかけした。端艇たんていともかれて、疾風しつぷうのやうにはしるのである。わたくしはいよ/\必死ひつしだ。