だい/\)” の例文
だい/\と笠と柿を賣物にして、『親代々かさつかき』と呼んだといふのは小噺こばなしにあるが、それとは少し違ふやうだな、八」
小僧は手に履刷毛くつはけげてゐる。まがかたもない履磨きで、だい/\のやうに小さな顔は履墨くつずみで真黒に汚れてゐる。
着物はだい/\のやうに黄いろい色の毛織で、背後うしろがふくらんで丈が詰まつてゐる。全体此着物はひどく短い。脚の中程までしか届かない。脚は円つこい。くるぶしも同断である。
十三時 (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
亞弗利加洲アフリカしうにアルゼリヤといふくにがある、凡そ世界中せかいぢゆう此國このくにひとほど怠惰者なまけものはないので、それといふのも畢竟ひつきやう熱帶地方ねつたいちはうのことゆえ檸檬れもんや、だい/\はなき亂れてそのならぬかほり四方よもちこめ
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
のあたりにすまふなるだい/\長者ちやうじや吉例きちれいよろ昆布こんぶ狩衣かりぎぬに、小殿原ことのばら太刀たち佩反はきそらし、七草なゝくささと若菜わかなむとて、讓葉ゆづりはつたるが、郎等らうどう勝栗かちぐりんでいはく、あれに袖形そでかたうらなぎさに、むらさき女性によしやうそ。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それからおほきなあかだい/\御供おそなへうへせて、とこゑた。とこには如何いかゞはしい墨畫すみゑうめが、はまぐり格好かつかうをしたつきいてかゝつてゐた。宗助そうすけにはこのへんぢくまへに、だい/\御供おそなへ意味いみわからなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
中から現はれたのは、お糸の言つた通り、『五色の糸でかゞつた古いまりと、赤い色がだい/\色にめた子供の帶が一と筋』
待ちなよ八、それぢや、あんまり智慧がなさ過ぎる、——上の絲は苧やだい/\でおと讀ませるに決つてゐる。その次は紐に相違ないが、輪にして端つこを結んであるからたすきさ。