新嘉坡シンガポール)” の例文
三月四日 新嘉坡シンガポール著。石田敬二、東森たつを来訪。次で三井物産支店長松本季三志夫妻、三菱商事支店長山口勝、宮地秀雄等来船。
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
更に日本がの日英同盟を廃棄し、新嘉坡シンガポールと濠洲海軍の脅威を覚悟しつつ日仏の秘密協商の成立に焦慮しているのは何のためでもない。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「駄目だ。本船にも、その貯蔵がすくないから、けてやれない。香港ホンコン新嘉坡シンガポールへいって仕入れたらよかろうといってやれ」
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私と娘は、いま新嘉坡シンガポールのラフルス・ホテルの食堂で昼食をり、すぐ床続きのヴェランダの籐椅子とういすから眺め渡すのであった。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
夜、新聞で見ると、長谷川はせがわ二葉亭ふたばてい氏が肺病で露西亜から帰国の船中、コロムボと新嘉坡シンガポールの間で死んだとある。去十日の事。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
南洋の蛸狩はいかな敬太郎にもちと奇抜きばつ過ぎるので、真面目まじめに思い立つ勇気も出なかったが、新嘉坡シンガポール護謨林ゴムりん栽培などは学生のうちすでに目論もくろんで見た事がある。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一学がいうまでもない、これは千八百三十九年(天保十年)新嘉坡シンガポールで出版された日本語訳の最初の聖書。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
東のものが西へ移り、南のものが北で暮らし、この種類の女は遠く新嘉坡シンガポール濠洲ごうしゅうあたりまでも、風に飛ぶ草の実のように、生活を求めて気軽に進出するのだった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
が、何の、これでは済まさない、一つ風並かざなみが直りさえすれば、大連だいれんか、上海シャンハイか、香港ホンコン新嘉坡シンガポールあたりへ大船で一艘いっぱい、積出すつもりだ、と五十を越したろう、間淵が言います。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
新嘉坡シンガポール以来船ではにわかに乗客を加えたから、その朝一緒に上陸する男女の同胞も可成かなり多かった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
下甲板の新嘉坡シンガポールへ行く印度の行商人相手の物売りが上陸してしまうと汽笛が垂直に空から落下傘となって人々のうえに舞いおりる。すると桟橋をだんだんと船体が離れ出した。
孟買挿話 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
単に内地ばかりでなく、朝鮮、満洲、台湾、琉球は勿論、上海、香港、新嘉坡シンガポール、印度、布哇ハワイから桑港サンフランシスコ、シカゴ、紐育ニューヨークに至るまで、わが同胞の住むところには、総てみな読まれるのである。
雪の一日 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
昨夜さくや新嘉坡シンガポールはつ、一ぺん長文ちやうぶん電報でんぽうは、日本につぽん海軍省かいぐんせう到達たうたつしたはづであるが、二さう金曜日きんえうびをもつて、印度大陸インドたいりく尖端せんたんコモリンのみさきめぐ錫崙島セイロンたうをきぎ、殘月ざんげつあはきベンガル灣頭わんとう行會ゆきあエイフツ
拙作「新嘉坡シンガポールの一夜」に對する批評のあるのを見出した。
赤き道椰子やしの林に入りにけり新嘉坡シンガポールのこほろぎのこゑ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
新嘉坡シンガポール要塞ハ二月十五日午後七時五十分陥落セリ
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
新嘉坡舟中作(新嘉坡シンガポール舟中の作)
南半球五万哩 (新字新仮名) / 井上円了(著)
五月十五日新嘉坡シンガポールに着いた。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
明治十九年の夏、七月二十五日朝五時半に、ピニエス・ペンドルという南洋通いの荷物汽船カーゴボートが、香港ホンコンを出て新嘉坡シンガポールに向った。トン数は二千五百。
幽霊と推進機 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
スピーディーな新嘉坡シンガポール見物が始まった。この市にも川が貫いて流れていた。私は社長に注文して、まず二つ三つその橋々を車で渡って貰った。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
知人ちじん柳房生りゅうぼうせいの親戚某神学士ぼうしんがくしも、病を得て英国から帰途印度洋で死んで、新嘉坡シンガポールに葬られた。二葉亭氏も印度洋で死んで新嘉坡で火葬され、骨になって日本に帰るのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
新嘉坡シンガポールに近づく頃望んで来たスマトラの島影、往きに眺め還りにも眺めた香港ホンコンの燈台、黄緑の色に濁った支那しなの海——こう数えて来ると実に数限りも無い帰国の旅の印象が彼の胸に浮んで来た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
さっきからこまかい虫の集りのようにうごめいていた、新嘉坡シンガポールの町の灯がだんだん生き生きときらめき出した。日本料理店清涼亭の灯も明るみ出した。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そのチブスにかった二人の水夫というのは、船長が最近に、新嘉坡シンガポールで拾い上げて、水夫長に押し付けたものであった。
幽霊と推進機 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼の心はまだ南阿弗利加アフリカのケエプ・タウンへも行き、ダアバンへも行き、あのマレエ人や印度インド人や支那しな人なぞの欧洲人と群居する新嘉坡シンガポールあたりの町へも行った。時々彼は自分で自分の眼を疑った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
満洲では緑林王りょくりんおう(馬賊王)張作霖ちょうさくりん奉天ほうてんって北方経営の根を拡げ、日本では日英同盟のお代りとなるべく締結された日仏協約が、更に一歩を進めて、英の新嘉坡シンガポール
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……というのは元来、新嘉坡シンガポールあたりで投げ出されている船員ボーイろくなものが居よう筈がなかった。
幽霊と推進機 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
イヤモウ……みんな青くなったの候のって……覚悟の前とか何とか、大きな事を云っていた船長が、日本人の癖にイの一番に慌て出して、全速力フルスピード新嘉坡シンガポール引返ひっかえすと云い出したもんだ。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それから毛唐けとうの嫌う金曜日金曜日に汽笛を鳴らして、到る処の港々を震駭しんがいさせながら出帆しゅっぱんする、倫敦ロンドンから一気に新嘉坡シンガポールまで、大手を振って帰って来る位の離れわざは平気の平左なんだから
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
新嘉坡シンガポールまで来たのが忘れもしない、大正三年の九月の十五日……暑い盛りだ。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)