ふざ)” の例文
旧字:
アントニウスの眼の前には毎夜のやうに裸の美人が映つて、聖者を誘惑しようとしてあらゆるふざけた姿をして踊り狂つてゐたといふ事だ。
かね「居るとこが知れてるくらいなら斯様こんなに心配はしやアしない、おふざけでないよ、私もお前のような人のそばには居られないよ」
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
成吉思汗ジンギスカン合爾合カルカ姫は中央の篝火の正面に、並んで床几しょうぎに掛ける。猛虎太陽汗タヤンカンは悠然と成吉思汗ジンギスカンの傍に坐る。汪克児オングルは独りでふざけまわる。
なにを風呂場でふざけているのだろう。若い人はしようがないと思っていると、やがて溜息ためいきのような長い声が聞えた。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
技手が何か手真似でふざけた。そしたら露助が、またしゃっつらを一層赤くして、「あっはっはっ。」と笑った。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
ふざけるも満更でも無いと見えて、偶々たまたま昇が、お勢の望む通り、真面目にしていれば、さてどうも物足りぬ様子で、此方こちらから、遠方から、危うがりながら、ちょッかいを出してみる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「いやよ、あんな老爺染じじいじみた人は——ふざけないでさ。真実ほんとうに言って御覧」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
八「笑かせアがらア、若大将わかてえしょうに胡麻すりアがって脊負おんぶのくせに、割前わりめえが出ねえと思ってふざけアがると向うずねぶっくだかれねえ用心しやアがれ」
「いかん/\。こんな目にあつて、黙つてるといふ法はない。こんどあんなふざけた真似をしたら、一つ思ひきりたしなめてやらなくつちや。」
その証拠には、このお妙がそれで——とにかく、これはふざけて済む問題ではなく、お妙は、この時はもう、立派に喬之助を恋していたのだった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
庭へ下りようともせずに、ふざけるような声を出して鳴いた。
刺繍 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と、間もなく毬はまた卓子テーブルの上に落ちて来た。そして道徳家のやうに四角い顔をしてゐるインキ壺にふざけかゝつた。
ふざけるなッ! 兄が妹をつれて行くに何の文句があるんでエ。けえるには帰るが、妹をつれて帰るんだ。来いッ!」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
梅「おふざけでないよあのおたなから酒の下物さかなにしろって台所の金藏きんぞうさんが持って来た物があるよ」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
池には肥えふとつた緋鯉だの、真鯉だのが、面白さうに、ふざけあつて、時々水の上へ躍り上るやうな事さへあつた。
「一般の読者は低劣なものでしょう。使丁してい走卒そうそつを相手にする気でふざけ半分に書けばよいのでしょう。」
仇討たれ戯作 (新字新仮名) / 林不忘(著)
丁「馬鹿にしてあがらア、手前てめえたちが火事場稼ぎをするんだろう、悪くふざけあがッて」
といつて勧誘員はふざけたやうに、一寸お辞儀をしたが、とても駄目だとあきらめて、素直につて帰つた。
傴僂せむしの道化者汪克児オングルは、葉のついた木の枝を剣に見立てて、身振りおかしく独りでふざけ廻っている。
勝「エ、御尤もで、じゃアわっしは是からすぐに行って参ります、申訳がありませぬから、あの野郎、本当に何うもふざけやアがって、引張って来て横ずっぽう撲飛はりとばして、屹度きっと申訳をいたします」
男はいきなり女の手を取つて少し相談があると言つて、弁護士のうちを出て往つた。三十分後には、この二人は活動写真館に入つて、夫婦鳩めをとばとのやうに肩を並べてふざけ散らしてゐたさうだ。
ふざけるねえ——それにしてもこう押し詰ってから大黒柱がぽっきりと来た日にゃあ、徳撰の店も上ったりだろうぜ。そこへ行くと、お前の前だが、一でえ分限ぶんげんの悲しさってものさのう。」
きまりを云って居るぜ、ふざけるナ、おめえはそれだからいけねえ、評判が悪い、五十か百で買える物を持って来て二十両貸せなんてエ強迫ゆすりかたりみた様な事を云っては困る、此様こんな鎌は幾許いくらもある
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
で、耳を噛んだり、鼻先を押へたり、色々なふざけたふりをして桃太郎に調弄からかつた。
番新「何うしたの、帰るの、おふざけなますな、坐んなまし」
ふざけなさんな。とにかく、ここで咽喉をうるおして行こう」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
新「ふざけちゃア困るぜ冗談じゃアねえ、お前達めえたちおかしいぜ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
峯「ふざけちゃアいけねえじゃアねえか、此処まで来て、此処じゃア立場もえ、下沢渡へ別れ道の小口こぐちまできねえな、彼処あすこけば又一人や二人帰り車も居るだろうから、此処じゃア何うもしようがねえやな」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
作「嘘をいえ、ふざけずに早くよこせよ、戯けるなよ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「おふざけでないよ」