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憫然
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ふびん
ふりがな文庫
“
憫然
(
ふびん
)” の例文
葛籠に
記号
(
しるし
)
もござりませんから、只つまらないのは盲人宗悦で、娘二人はいかにも愁傷致しまして泣いて居る様子が
憫然
(
ふびん
)
だと云って
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すると
何
(
ど
)
うしても
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
がこんな
窮境
(
きゆうきやう
)
に
陷
(
おちい
)
るべき
理由
(
りいう
)
がない
樣
(
やう
)
に
感
(
かん
)
ぜられた。それから、
斯
(
こ
)
んな
生活
(
せいくわつ
)
状態
(
じやうたい
)
に
甘
(
あま
)
んじて
一生
(
いつしやう
)
を
送
(
おく
)
る
兄夫婦
(
あにふうふ
)
が
如何
(
いか
)
にも
憫然
(
ふびん
)
に
見
(
み
)
えた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
落
(
おと
)
し
顏色
(
がんしよく
)
蒼然
(
あをざめ
)
て居ける處へ又七は
立出
(
たちいで
)
何故
(
なにゆゑ
)
其樣に
鬱
(
ふさ
)
ぎ居るや
心地
(
こゝち
)
にても
惡
(
あし
)
きかと
問
(
と
)
ひけるに長助は
有
(
あ
)
りの
儘
(
まゝ
)
に
譯
(
わけ
)
を話し涙を
流
(
なが
)
しけるを又七は
憫然
(
ふびん
)
に思ひ
我等
(
われら
)
其金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
……ても
憫然
(
ふびん
)
な
綱
(
つな
)
よの、
汝等
(
おぬしら
)
は
欺
(
だま
)
されたなう、
汝等
(
おぬしら
)
も
予
(
わし
)
もぢゃ、ロミオが
追放
(
つゐはう
)
になりゃったによって。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
思ひ遣れば思ひ遣るだけ
憫然
(
ふびん
)
さの増し、煙草捻つてつい居るに、婆は少しくにぢり出で、夜分まゐりまして実に済みませんが、あの少しお願ひ申したい訳のござりまして、ハイ/\
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
如何樣
(
いかやう
)
の重き御仕置にても爲下され富右衞門儀は御
免
(
ゆる
)
しを偏へに願ひ上奉つると
涙
(
なみだ
)
と共に願ふにぞ大岡殿にも
孝心
(
かうしん
)
の段
憫然
(
ふびん
)
の至りなりと思されけれども今さら
止
(
やむ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
するとどうしても自分一人が、こんな窮境に
陥
(
おちい
)
るべき理由がないように感ぜられた。それから、こんな生活状態に甘んじて一生を送る兄夫婦がいかにも
憫然
(
ふびん
)
に見えた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
悪い奴に取囲まれ、切られて死んだかと思えば
憫然
(
ふびん
)
じゃなア、月岡の寺へ葬りになりましたとは知らずに居りましたが、左様かえ、致し方はない、何うも情ないことで
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
カピ長
女
(
むすめ
)
と
並
(
なら
)
べてロミオどのゝ
黄金
(
こがね
)
の
像
(
ざう
)
をも
建
(
た
)
て
申
(
まう
)
そう、
互
(
たが
)
ひの
不和
(
ふわ
)
の
憫然
(
ふびん
)
な
犧牲
(
いけにえ
)
!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
晴れ晴れとした気持のする日もなくて終ることならんと、思いやれば思いやるだけ
憫然
(
ふびん
)
さの増し、煙草
捻
(
ひね
)
ってつい居るに、
婆
(
ばば
)
は少しくにじり出で、夜分まいりましてまことに済みませんが
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その
中
(
うち
)
小兼が剃刀を持って暴れ込んで、切るの突くのと騒いだので
真
(
ま
)
に受けて、何うして/\其れまでにするにゃア容易じゃア有りません、
憫然
(
ふびん
)
だが小兼を縛り附けて
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
盡
(
つく
)
さんと思へば實父は御仕置となり是りや
何
(
どう
)
したら
宜
(
よか
)
らうぞと
大聲
(
おほごゑ
)
揚
(
あげ
)
て
號出
(
なきいだ
)
しければ越前守殿は
彌々
(
いよ/\
)
憫然
(
ふびん
)
と思はれしが是や/\其方
其樣
(
そのやう
)
に
嘆
(
なげ
)
き實父に
代
(
かは
)
らんと申せども
最早
(
もはや
)
富右衞門はお
所刑
(
しおき
)
に相成しぞ
然
(
され
)
ば其富右衞門が
蘇生
(
いきかへ
)
ると云ふ
理
(
り
)
は無れども其方の
孝心
(
かうしん
)
天へ通じ
其惠
(
そのめぐみ
)
にて實父富右衞門がまた
蘇生
(
そせい
)
なす間じきものにあらず因て其方は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
顔も見ねえでおッ
死
(
ち
)
んでしまって
憫然
(
ふびん
)
だって泣いただ、本当に可哀想に、南無阿弥陀仏/\/\
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
又「お前、何で
私
(
わし
)
が是程まで惚れたに愛想尽しを云って、年を取って男は
醜
(
わる
)
くも、それ程まで思うてくれるか
憫然
(
ふびん
)
な人という
情
(
じょう
)
がなければ成らぬが何んで其の様に憎いかえ」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
空腹の余り悪い事とは知りながら二つ三つ瓜を盗みたべました処をお
咎
(
とが
)
めで、
何
(
なん
)
とも恥入りました事で、武士たる者が縄に掛り、此の上もない恥で、どうか
憫然
(
ふびん
)
と思召してお許し下されば
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
汝
(
われ
)
が改心致せば
好
(
い
)
い女房を世話して遣ろうと云ったは松屋に
匿
(
かくま
)
ってあるお蘭の事だ、手前全く改心致せば、
彼
(
あ
)
れ程までに思うお蘭の心を
憫然
(
ふびん
)
に思い、山三郎
媒介
(
なこうど
)
いたして連添わせようと申したのだ
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
憫
漢検1級
部首:⼼
15画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“憫”で始まる語句
憫
憫笑
憫殺
憫察
憫憐