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愛妾
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あいしょう
ふりがな文庫
“
愛妾
(
あいしょう
)” の例文
その後身が、
益田
(
ますだ
)
男爵の
愛妾
(
あいしょう
)
おたきであり、妹の方が、
山県有朋
(
やまがたありとも
)
公のお貞の方であるというのは、出世の著るしいものであろう。
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
素晴らしい美人ならあるいはどうか知れないけれども、それが何々の重役、何々博士の
愛妾
(
あいしょう
)
ででもあったりしてはやり切れない。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
土地の
口碑
(
こうひ
)
、伝うる処に因れば、総曲輪のかの
榎
(
えのき
)
は、
稗史
(
はいし
)
が語る、
佐々成政
(
さっさなりまさ
)
がその
愛妾
(
あいしょう
)
、早百合を枝に懸けて惨殺した、三百年の
老樹
(
おいき
)
の由。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼の家から、つい五六軒向うに、ある実業家の
愛妾
(
あいしょう
)
が、住っているために、三日にあげず、自動車がその家の前に、永く長く停まっていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
住居も、
一廓
(
いっかく
)
のうちに、家族たちのいる奥とよぶ所と、彼の
愛妾
(
あいしょう
)
たちを置く、
下
(
しも
)
の
棟
(
むね
)
とよぶところと、ふた所にわかれている。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
英国公使アールコックに自分の
愛妾
(
あいしょう
)
まで与え許している、堀織部はそれを
苦諫
(
くかん
)
しても用いられないので、
刃
(
やいば
)
に伏してその意を
致
(
いた
)
したというのだ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
明治三十五年上演の「小笠原騒動」のお大の方という草刈り女から大名の
愛妾
(
あいしょう
)
になったという女に
扮
(
ふん
)
した時の批評に
役者の一生
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
その晩、芹沢鴨は早く宴会の席を出て壬生の屋敷に帰り、
愛妾
(
あいしょう
)
のお梅を呼び寄せる。お梅というのは、さきごろ町家の女房を強奪して来たそれです。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
わたしはその雅号を
彩牋堂
(
さいせんどう
)
主人と
称
(
とな
)
えている知人の
愛妾
(
あいしょう
)
お
半
(
はん
)
という女がまた
本
(
もと
)
の
芸者
(
げいしゃ
)
になるという事を知ったのは
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「その時義経公の
愛妾
(
あいしょう
)
静御前村国氏の家にご逗留あり義経公は
奥州
(
おうしゅう
)
に
落行
(
おちゆき
)
給いしより今は
早頼
(
はやたの
)
み少なしとてお命を捨給いたる井戸あり静井戸と
申
(
もうし
)
伝え
候也
(
そうろうなり
)
」
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
万葉や源氏物語の
頃
(
ころ
)
だったら、私の申し上げているようなこと、何でもない事でしたのに。私の望み。あなたの
愛妾
(
あいしょう
)
になって、あなたの子供の母になる事。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
道々、三好屋の隠居が話してくれましたが、この梅屋敷というのは、三千五百石取の大旗本、本郷丸山の
荻野左仲
(
おぎのさちゅう
)
の別荘で、住んでいるのは、
愛妾
(
あいしょう
)
お
紋
(
もん
)
の方。
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
六人の旗本の鼻を削ったのと、十数人の女の臀部を斬ったのと、又大名の
愛妾
(
あいしょう
)
を襲ったのと、同一人物の手であるかどうか。これは研究物だと心着いたのであった。
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
船長は、室蘭から少し内地へはいった
登別
(
のぼりべつ
)
という温泉地へ、室蘭
碇泊
(
ていはく
)
中は必ず泊まり込んでいた。そこには、彼の妻や子供の代わりに、彼の
愛妾
(
あいしょう
)
がいるのであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
紅
(
あか
)
い萩の
裾模様
(
すそもよう
)
のある
曙染
(
あけぼのぞ
)
めの小袖に白地錦の帯をしめた
愛妾
(
あいしょう
)
のお糸の方が、金扇に月影をうつしながら
月魄
(
つきしろ
)
を舞っていると、御相伴の家中が控えた次ノ間の下座から
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
源「そうだろう、恩人の
愛妾
(
あいしょう
)
の所へ忍び来るような訳だから、どうせ了簡が定まりゃアしないや」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それは殿の
愛妾
(
あいしょう
)
ほととぎすを憎んで、後室が菖蒲畑の傍で殺すという歌舞伎狂言でした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
美食家の
斉
(
せい
)
の
桓公
(
かんこう
)
が己のいまだ味わったことのない
珍味
(
ちんみ
)
を求めた時、
厨宰
(
ちゅうさい
)
の
易牙
(
えきが
)
は己が
息子
(
むすこ
)
を
蒸焼
(
むしやき
)
にしてこれをすすめた。十六
歳
(
さい
)
の少年、
秦
(
しん
)
の始皇帝は父が死んだその晩に、父の
愛妾
(
あいしょう
)
を三度
襲
(
おそ
)
うた。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ある男の
愛妾
(
あいしょう
)
だ。その二人の色っぽい場面が幾つも現われる。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
半蔵さん。攘夷論がやかましくなって来たそもそもは、あれはいつごろだったでしょう。ほら、幕府の大官が外国商人と結託してるの、英国公使に
愛妾
(
あいしょう
)
を
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
これは高山の新お代官
胡見沢
(
くるみざわ
)
の
愛妾
(
あいしょう
)
お蘭どののお手元金であったのを、がんりきの百というやくざ野郎がちょろまかして来て、それをこの芸妓の福松に預けて
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
われら町人の
爺媼
(
じいばば
)
の
風説
(
うわさ
)
であろうが、矯曇弥の
呪詛
(
のろい
)
の押絵は、城中の奥のうち、御台、正室ではなく、かえって当時の、側室、
愛妾
(
あいしょう
)
の手に成ったのだと言うのである。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若くて無役で無類の
放埒
(
ほうらつ
)
、この日は柳橋から花見船を仕立てさせ、用人村川菊内、
愛妾
(
あいしょう
)
のお町、
仲間
(
ちゅうげん
)
の勝造、それに庭掃きの親爺三吉をお
燗番
(
かんばん
)
に、
芸妓
(
げいしゃ
)
大小三人、
幇間
(
ほうかん
)
一人を
伴
(
つ
)
れて
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「これは、判官どのの
愛妾
(
あいしょう
)
静
(
しずか
)
どのと、その母御の
禅師
(
ぜんじ
)
です」
日本名婦伝:静御前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“愛妾”の意味
《名詞》
愛 妾 (あいしょう)
気に入りの妾。愛する妾。
(出典:Wiktionary)
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
妾
漢検準1級
部首:⼥
8画
“愛”で始まる語句
愛
愛嬌
愛想
愛撫
愛宕
愛惜
愛宕山
愛相
愛憎
愛娘