怪談くわいだん)” の例文
半次郎はんじらうが雨の怪談くわいだんに始めておいとの手を取つたのも矢張やはりかゝる家の一間ひとまであつたらう。長吉ちやうきちなんともへぬ恍惚くわうこつ悲哀ひあいとを感じた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
怪談くわいだんといふものをこしらへて話したいと思ふ時分じぶんの事で、其頃そのころはまだ世の中がひらけないで、怪談くわいだんの話のれる時分じぶんだから、種子たねを探して歩いた。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
いづみが、またはじめたぜ。」そのたゞひとつの怪談くわいだんは、先生せんせいが十四五のとき、うらゝかなはる日中ひなかに、一人ひとり留守るすをして、ちやにゐらるゝと、臺所だいどころのおへツつひえる。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
忽然たちまち樣々さま/″\妄想まうぞう胸裡こゝろわだかまつてた、今日こんにちまでは左程さほどまでにはこゝろめなかつた、こく怪談くわいだん
途方とはうにくれてよめ塩原しほばら内井戸うちゐど飛込とびこんで幽霊いうれいに出るといふのがつぶはじめで、あの大きなうちつぶれてしまつたが、なんとこれは面白おもしろ怪談くわいだんだらう
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
はゝあ、怪談くわいだんりたさに、前刻さつきたぬき持出もちだしたな。——いや、あへうではない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どういふわけかといふと、其頃そのころわたくし怪談くわいだんの話の種子たねを調べようと思つて、方々はう/″\つて怪談くわいだん種子たね買出かひだしたとふのは、わたくしうちに百幅幽霊ぷくいうれい掛物かけものがあるから
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
口惜くやしいから、紅葉先生こうえふせんせい怪談くわいだんひとかせよう。先生せんせい怪談くわいだんきらひであつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なんだらうと思つてすぐ飛出とびだして格子かうしを明けて見ますると、両側りやうがはとも黒木綿くろもめん金巾かなきん二巾位ふたはゞぐらゐもありませうか幕張まくはりがいたしてございまして、真黒まつくろまる芝居しばゐ怪談くわいだんのやうでございます。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
一ツは武勇談ぶゆうだんで、一つは怪談くわいだん
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
怪談くわいだんですか。」
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)