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念
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おもい
ふりがな文庫
“
念
(
おもい
)” の例文
この頃
国勝手
(
くにがって
)
の議に同意していた人々の
中
(
うち
)
、津軽家の継嗣問題のために罪を獲たものがあって、
彼
(
かの
)
議を唱えた抽斎らは肩身の狭い
念
(
おもい
)
をした。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
何じゃの、
己
(
おら
)
が嬢様に
念
(
おもい
)
が
懸
(
かか
)
って
煩悩
(
ぼんのう
)
が起きたのじゃの。うんにゃ、
秘
(
かく
)
さっしゃるな、おらが目は赤くッても、白いか黒いかはちゃんと見える。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから、その時の竜之助の姿が眼の前にちらついて、憎い憎い
念
(
おもい
)
が、いつしか色が変って妙なものになり行くのです。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
時々胸からせぐりあげて来る涙を、強いて
圧
(
おし
)
つけようとしたが、どん底から
衝動
(
こみあ
)
げて来るような悲痛な
念
(
おもい
)
が、
留
(
とめ
)
どもなく波だって来て為方がなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
好機は得離く失ひ易し、天気の変らざる内、明日にも出でゝ
念
(
おもい
)
を
霽
(
は
)
らし、年頭の回礼は、三日四日に繰送らんか。
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
▼ もっと見る
昨日
(
きのう
)
吉原町の
幇間
(
たいこもち
)
がまいりまして、だん/″\の話の末全く花魁の
念
(
おもい
)
で
然
(
そ
)
ういうことになったのだから、足を切るには及ばない、叔母さんに詫ことをして
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……神を知りつつもなおこれを神として
崇
(
あが
)
めず、感謝せず、その
念
(
おもい
)
はむなしく、その愚なる心は暗くなれり
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
よしや惜しむとも惜しみて甲斐なく
止
(
とど
)
めて止まらねど、たとえば
木匠
(
こだくみ
)
の道は小なるにせよそれに一心の誠を
委
(
ゆだ
)
ね
生命
(
いのち
)
をかけて、欲も
大概
(
あらまし
)
は忘れ
卑劣
(
きたな
)
き
念
(
おもい
)
も起さず
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
この旅はお種に不安な
念
(
おもい
)
を
抱
(
いだ
)
かせた。何ということはなしに、彼女は心細くて心細くて成らなかった。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あの頂き、あの楢や栗の生え茂った絶頂へ行って一休しよう、その辺の疎らな松木立の中に猪の鼻か松茸がひそんでいるかもしれないと想う
念
(
おもい
)
がぐんぐん力をつけて一層両脚を急がせてくる。
茸をたずねる
(新字新仮名)
/
飯田蛇笏
(著)
へん! 殿様がきいてあきれらあ! あたしの
念
(
おもい
)
を届けてやるからそのかわり
隙
(
すき
)
をうかがってお艶と見せて舟へ転げこんでくれ——あとのことは悪いようにはしないから、なんてうまいことを
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
清さんは何ともお思ひなさるまじく飛んだ
隙潰
(
ひまつぶ
)
しをしたなどと申しをられ候ふ事と存じ候、この始末後にて考へ候ふに、私に
罰
(
ばち
)
でも当つたのかお前様の
念
(
おもい
)
が通つてゐたのか
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
始
(
はじめ
)
てこの人ならばと思って、
打明
(
うちあ
)
けて言うと、
暫
(
しばら
)
く黙って
瞳
(
ひとみ
)
を
据
(
す
)
えて、私の顔を見ていたが、月夜に色の
真紅
(
しんく
)
な花——きっと探しましょうと言って、——
可
(
よ
)
し、
可
(
よ
)
し、女の
念
(
おもい
)
で
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
往昔
(
むかし
)
娘を思っていた
念
(
おもい
)
の深さを初めて知って、ああこんなにまで思い込んでいたものがよくあの時に無分別をもしなかったことだと
悦
(
よろ
)
こんでみたり、また、これほどに思い込んでいたものでも
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その
念
(
おもい
)
が段々
嵩
(
こう
)
じて、朝から晩まで、寝てからも
同一
(
おんなじ
)
ことを考えてて、どうしてもその
了簡
(
りょうけん
)
がなおらないで、後暗いことはないけれど、
何
(
なん
)
に着け、
彼
(
か
)
に着け、ちょっとの間もその
念
(
おもい
)
が離れやしない。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
巍
(
ぎ
)
が
念
(
おもい
)
こゝに至るごとに大王の為に
流涕
(
りゅうてい
)
せずんばあらざる也。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
わたくしは
傾蓋
(
けいがい
)
故
(
ふる
)
きが如き
念
(
おもい
)
をした。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
枕に着かるるどころではありませぬ、ああ越中と越後と国は変っても、女の
念
(
おもい
)
は離れぬかとまさかに魂を
託
(
ことづか
)
ったとまでは、信じなかったのでありまするけれども、つくづく溜息をしたのであります。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ちょうど
二十日
(
はつか
)
の間、三七二十一日目の朝、
念
(
おもい
)
が届いてお宮の
鰐口
(
わにぐち
)
に
縋
(
すが
)
りさえすれば、命の綱は
繋
(
つな
)
げるんだけれども、婆に邪魔をされてこの坂が登れないでは、所詮こりゃ
扶
(
たす
)
からない、ええ悔しいな
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“念”の意味
《名詞》
思い。気持ち。
よく気を付けること。
(出典:Wiktionary)
念
常用漢字
小4
部首:⼼
8画
“念”を含む語句
執念
念珠
観念
記念
断念
想念
執念深
斷念
觀念
思念
妄念
念入
念仏
無念
念慮
記念品
念懸
怨念
紀念
諦念
...