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徒
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あだ
ふりがな文庫
“
徒
(
あだ
)” の例文
「なるほど、勝抜いた者をそなたの婿に定める勝負、
徒
(
あだ
)
に見過ごせぬというも道理じゃ。して願いとは何事だ」
半化け又平
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
磯良これを
怨
(
うら
)
みて、或ひは
舅姑
(
おやおや
)
の
忿
(
いかり
)
に
五六
托
(
よ
)
せて
諫
(
いさ
)
め、或ひは
徒
(
あだ
)
なる心をうらみかこてども、
五七
大虚
(
おほぞら
)
にのみ聞きなして、後は
五八
月をわたりてかへり来らず。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
しかはあれ泣菫子が為めには、こもまた
徒
(
あだ
)
なる花の開落にあらずして、人生迷悟の境なりき。花ごよみと品さだめとの軽びたるこころ
慰
(
なぐ
)
さならで、天啓に親しむ機縁なりき。
『二十五絃』を読む
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
中等室の
卓
(
つくえ
)
のほとりはいと静かにて、
熾熱燈
(
しねつとう
)
の光の晴れがましきも
徒
(
あだ
)
なり。
今宵
(
こよい
)
は夜ごとにここに
集
(
つど
)
い来る
骨牌
(
カルタ
)
仲間も「ホテル」に宿りて、舟に残れるは
余
(
よ
)
一人
(
ひとり
)
のみなれば。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そうしてただぼんやりと、空に、
徒
(
あだ
)
に、日々夜々をすごすことに覚悟のほぞを定めました。
随筆 寄席風俗
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
▼ もっと見る
健
(
すこやか
)
なる心をもてよくこの事を思ひみよ、わが筆
解
(
げ
)
し易く、彼等の望み
徒
(
あだ
)
ならじ 三四—三六
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
徒
(
あだ
)
なることにかゝらひて、涕くことを忘れゐたりしよ、げに忘れゐたりしよ……
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
「忝けない。不埒者の新九郎へ、かほどまでのお心づくし、
徒
(
あだ
)
やおろそかにお受けは致さぬ。きっと鐘巻自斎を打ち込んで見せねば、故郷の土は生きて踏まぬと、お
言
(
こと
)
づて致してくれい」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何にしても蔵元屋では
徒
(
あだ
)
や
疎
(
おろそ
)
かには出来ぬお客じゃけにのう。
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
徒
(
あだ
)
なることに
拘
(
かか
)
らいて、泣くことを忘れいたりしよ、げに忘れ
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
此の時ボキュスが裏切りに遇ひ……思ひ返すも
徒
(
あだ
)
なれど
ランボオ詩集≪学校時代の詩≫
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
今一度都門の
外
(
と
)
に出でなむと望みし願ひ
徒
(
あだ
)
なるに似たり
枕上浮雲
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
私たちは、そんな事は
徒
(
あだ
)
に聞いて、さきを急いだ。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おん身のためにも
徒
(
あだ
)
ならじ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
さへづりの
徒
(
あだ
)
音
(
ね
)
を
絶
(
た
)
えて
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
蔭ながら誓ったことも
徒
(
あだ
)
となり、薬も満足に与えられぬ貧苦の中で、衰え果てたままそなたは死んだ、——そして今日になって、出世の
緒口
(
いとぐち
)
、そなた亡き今となって
おもかげ抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かう浅ましき身を海にも
没
(
い
)
らで、人の御心を
煩
(
わづら
)
はし奉るは
罪
(
つみ
)
深きこと。今の詞は
徒
(
あだ
)
ならねども、只酔ごこちの
一一〇
狂言
(
まがこと
)
におぼしとりて、ここの海にすて給へかしといふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
抽斎の家の記録は先ず小さき、
徒
(
あだ
)
なる
喜
(
よろこび
)
を
誌
(
しる
)
さなくてはならなかった。それは三月十九日に、六男
翠暫
(
すいざん
)
が生れたことである。後十一歳にして
夭札
(
ようさつ
)
した子である。この年は人の皆知る地震の年である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
善
(
よ
)
しと匂へる
花瓣
(
はなびら
)
は
徒
(
あだ
)
に
凋
(
しぼ
)
みて
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
夫
(
をつと
)
のおのれをよく
脩
(
をさ
)
めて
九
教へなば、此の
患
(
うれひ
)
おのづから
避
(
さ
)
くべきものを、只
一〇
かりそめなる
徒
(
あだ
)
ことに、女の
一一
慳
(
かだま
)
しき
性
(
さが
)
を
募
(
つの
)
らしめて、其の身の
憂
(
うれひ
)
をもとむるにぞありける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
……むろん理由は分らない、然し待っていたことが
徒
(
あだ
)
になったというだけは
慥
(
たし
)
かだ。
柿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
親切を
徒
(
あだ
)
にして立退こうとする身を、武士と見込めばこそ娘の眉落し、歯を染め、名を変えるのみか亡き人の再生と思えとまで云い添えてある、是程の深い信頼が世に又とあろうか。
おもかげ抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“徒”の意味
《名詞》
(かち)徒歩。
(かち)江戸時代、騎乗を許されなかった下級の武士。
(ただ)普通。凡庸。ありきたり。
(ただ)何事も無いこと。
(むだ)役に立たない、効果の無い又は不要に贅沢なもの。
(ト)仲間。同類の人。
(ズ)五刑の一つ。懲役刑。一年から三年まで半年毎に五段階設けられた。
(出典:Wiktionary)
徒
常用漢字
小4
部首:⼻
10画
“徒”を含む語句
徒歩
徒然
徒事
基督教徒
聖徒
徒爾
徒輩
徒労
清教徒
悪徒
徒為
徒士
徒渉
博徒
徒弟
徒跣
徒党
兇徒
耶蘇教徒
徒手
...