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引導
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いんどう
ふりがな文庫
“
引導
(
いんどう
)” の例文
「……はてさて、貴さまも空ッぽになってみるとつまらんやつだな。智深和尚の
引導
(
いんどう
)
を、せめてこの世の
冥加
(
みょうが
)
と思えや。
喝
(
か
)
ッ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、まだ
引導
(
いんどう
)
も渡されてないんだから、どこへも往きやしないでしょうよ。お寺で吾々の行くのを待ってるでしょうよ」
父の葬式
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
ドレゴはここで完全にエミリーから
引導
(
いんどう
)
を渡されてしまった。彼はまといつくエミリーを汗だくだくで振り切って、すたこら自分の邸へ逃げ帰った。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
鉄砲は
鳥
(
とり
)
獣
(
けだもの
)
が何も知らないでいるところを、ズドンと一発で
引導
(
いんどう
)
を渡します。理窟も何もない。純然たる暴力です。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
いでや
新身
(
あらみ
)
の切れ味見せて、逆縁の
引導
(
いんどう
)
渡し
呉
(
く
)
れむと
陣太刀
(
じんだち
)
長
(
なが
)
やかに抜き放ち、青眼に構へて
足法
(
そくほう
)
乱さず、
切尖
(
きっさき
)
するどく詰め寄り来る。虹汀何とか思ひけむ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
せめての
腹愈
(
はらいや
)
しには、
吾
(
わが
)
鐵拳
(
てつけん
)
をもつて
彼
(
かれ
)
の
頭
(
かしら
)
に
引導
(
いんどう
)
渡
(
わた
)
して
呉
(
く
)
れんと、
驅出
(
かけだ
)
す
袂
(
たもと
)
を
夫人
(
ふじん
)
は
靜
(
しづか
)
に
留
(
とゞ
)
めた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
のみならずちょうど寝棺の前には若い
本願寺派
(
ほんがんじは
)
の
布教師
(
ふきょうし
)
が
一人
(
ひとり
)
、
引導
(
いんどう
)
か何かを渡していた。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これを以て見れば、大津の宿で机竜之助が、
生命
(
いのち
)
を粗末にする男女の者に、蔭ながら
冷
(
ひや
)
やかな
引導
(
いんどう
)
を渡して、「死にたいやつは勝手に死ね」と
空嘯
(
そらうそぶ
)
いていたのが大きな道理になる。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
なにしろ是信さんは、おしもおされもせぬ
屁
(
へ
)
こきである。いろいろな話が、是信さんの屁について、おとなたちや子どもたちのあいだに伝えられている。是信さんは、屁で
引導
(
いんどう
)
をわたすという。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
回向
(
えこう
)
、
引導
(
いんどう
)
も型の如くに
執
(
と
)
り行ったが、和尚の顔色は
益〻
(
ますます
)
勝
(
すぐ
)
れず、
土気色
(
つちけいろ
)
のむくみを表わし、
眉間
(
みけん
)
の憂悶は隠しもあえず、全身衰微の色深く、歩く足にも力失せがちな有様がただならなかった。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
と
神咒
(
しんじゆ
)
を
唱
(
とな
)
へ
往生集
(
わうじやうしふ
)
を
朗読
(
らうどく
)
して
後
(
のち
)
に
引導
(
いんどう
)
を
渡
(
わた
)
し、
焼香
(
せうかう
)
も
済
(
す
)
んで
了
(
しま
)
ふと。
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし死にッきりの
引導
(
いんどう
)
渡されッきりでは余り有難くないね。
墓
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
「いいえそうじゃありません。女から
引導
(
いんどう
)
を渡されたんで」
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
津田は最後の
引導
(
いんどう
)
を渡すよりほかに
途
(
みち
)
がなくなった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さきに
身代
(
みがわ
)
りの自分の首に
引導
(
いんどう
)
を
渡
(
わた
)
して、
都田川
(
みやこだがわ
)
へ
水葬礼
(
すいそうれい
)
をおこなった
快侠僧
(
かいきょうそう
)
、なんとその
猛闘
(
もうとう
)
ぶりの
男々
(
おお
)
しさよ!
生命力
(
せいめいりょく
)
の
絶倫
(
ぜつりん
)
なことよ!
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
探険の結果、これは怨霊の
外
(
ほか
)
に、理由がつかないと決定した夜のこと、旦那どのは、
夜業
(
やぎょう
)
をしている
情婦
(
おんな
)
のところへ行って、遂に
引導
(
いんどう
)
の言葉を渡してきた。
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どうせ死ぬなら、
容相
(
かたち
)
だけでも、釈尊の
御弟子
(
みでし
)
になって
逝
(
ゆ
)
け。せめてもの
誼
(
よし
)
み、
引導
(
いんどう
)
だけは授けて進ぜる。眼をふさいで、静かに膝をくむがよい。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
参謀が発表した驚くべき空中襲撃の警報は、帝都全市民にとって、
僧侶
(
そうりょ
)
がわたす
引導
(
いんどう
)
にひとしかった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
まず君は
引導
(
いんどう
)
をわたされていると考えてよい。つまらない自信だが、僕も骨を
曝
(
さら
)
すつもりでいるよ
人造人間殺害事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「それでは……行くしかないわ……ぜひもない……僧になったつもりで……
引導
(
いんどう
)
をわたしてやる」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それとなく
引導
(
いんどう
)
は先にわたしておいたろう。“
薄刃切
(
うすばぎ
)
り”のご馳走はこれからだ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
帆村は、はっきりと博士に対して、
引導
(
いんどう
)
をわたした。
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『云おうか……』と、友達共は、
引導
(
いんどう
)
でも渡すように、彼を囲み直して
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「死を急ぐ人々は、即座に名乗り出でよ。雲長関羽が
引導
(
いんどう
)
せん」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『ひとつ、この後の馳走として、
死期
(
しご
)
の
引導
(
いんどう
)
を頼みまするぞ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ご先祖さまは、よい
引導
(
いんどう
)
をうけて来たと
欣
(
よろこ
)
ぶに違いない
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“引導”の意味
《名詞》
迷う衆生を教え導き仏道に入らせること。
死者の葬儀の際、僧が死者を済度、開悟させるため柩の前で法話をすること。
手引き
(出典:Wiktionary)
“引導”の解説
引導(いんどう)とは、仏教用語である。仏教の葬儀において、亡者を悟りの彼岸に導き済度するために、棺の前で導師が唱える教語(法語)、または教語を授ける行為を指す。
もとは、衆生を導き、仏道に引き入れ導くことという意味であるが、そこから転じて前述の意味として使われるようなった。
(出典:Wikipedia)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
導
常用漢字
小5
部首:⼨
15画
“引”で始まる語句
引
引込
引摺
引返
引張
引掛
引籠
引立
引緊
引出