引導いんだう)” の例文
間もなく飛んで來た外科は、一と眼に引導いんだうを渡してしまひました。傷は後ろから一と突きしたもの、多分聲も立てずに死んだことでせう。
それでは引導いんだうわたしてげよう。グワン/\とかね打鳴うちならし、和「南無喝囉怛那なむからたんの哆羅夜耶とらやや南無阿唎耶なむおりや婆慮羯諦爍鉢羅耶ばりよぎやていしふふらや菩提薩※婆耶ふちさとばや。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
猫の死骸を繩にくゝりてお役目なれば引導いんだうをたのみますと投げつけし事も有りしが、それは昔、今は校内一の人とて假にもあなどりての處業はなかりき、歳は十五
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
引導いんだうを渡してくれろと云ふに彌十聞て日來ひごろ懇意こんいまかせ承知はしましたが燒代やきだいどうしてと言を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
四手よつでげてもほしかゝらず、びんのするしづくちぬ。あゝ、引導いんだうわたしたな。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
海上かいじやう規則きそく船長せんちやう以下いか澤山たくさん船員せんゐん甲板かんぱんあつまつて英國エイこくの一宣教師せんけうし引導いんだうもとその死骸しがいをば海底かいていはうむつてしまつたことと、是等これらきはめて悲慘ひざん出來事できごとであるが、ほか愉快ゆくわいことも二つ三ついでもない。
これをりて死人の上を二三べんかざし、これを引導いんだうとしてわたくしはうふる。
ねこ死骸しがいなわにくゝりてお役目やくめなれば引導いんだうをたのみますとげつけしことりしが、それはむかしいま校内かうない一のひととてかりにもあなどりての處業しよげうはなかりき、としは十五
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「下にゐるのは俺の兄哥の勇五郎だ。その繩を這ひ上がつたつて、下へ飛降りたつて助けるこつちやねえ、——何時まで苦しませるのも殺生だ。この邊で引導いんだうを渡してやらう、——見ろ」
丑満うしみつまで此処こゝにござつて引導いんだうたのむでがす。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
三五郎は何分承知せず然樣なら御釋迦樣しやかさまの時は極樂ごくらくやり今の時代は地獄へ御引導いんだうなされますかはゞかりながら出家しゆつけの御身分は何と御心得こゝろえなされますぞと顏色かほいろかへて言ひければ役僧はおのれ不屆至極ふとゞきしごくな奴なりおのれは大方ゆすかたりに相違は有まいコリヤ男共此やつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)