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帰途
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かえりみち
ふりがな文庫
“
帰途
(
かえりみち
)” の例文
旧字:
歸途
今日
(
きょう
)
しも砂村方面へ卵の買い出しに出かけたが、その
帰途
(
かえりみち
)
に、亀井戸天神の
境内
(
けいだい
)
にある掛茶屋に立ち寄って、ちょっと足を休めた。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
ある時分家に遊びに来て
帰途
(
かえりみち
)
、墓守が縁側に腰かけて、納屋大小家幾棟か有って居ることを誇ったりしたが、
杖
(
つえ
)
を忘れて帰って了うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ある日、学校からの
帰途
(
かえりみち
)
のことであった。裏町の塀のところに上級生らしい私とは大きい少年が三人かたまって、私の方を向いて囁き合っていた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
峰を離れて、
一刷
(
ひとはけ
)
の薄雲を
出
(
いで
)
て玉のごとき、月に向って
帰途
(
かえりみち
)
、ぶらりぶらりということは、この人よりぞはじまりける。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
帰途
(
かえりみち
)
に酒を飲んで夜遅く帰って裏町を通っていると、すぐ傍の竹垣の処から白い衣服を着た物がひらひらと出て来て、隻手でその胸倉を掴んだ。
餅を喫う
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
初夏の夕暮私は四谷通の
髪結床
(
かみゆいどこ
)
へ行った
帰途
(
かえりみち
)
または買物にでも出た時、
法蔵寺横町
(
ほうぞうじよこちょう
)
だとかあるいは
西念寺横町
(
さいねんじよこちょう
)
だとか呼ばれた寺の多い横町へ曲って
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
僕が十九の
歳
(
とし
)
の春の
半
(
なか
)
ごろと記憶しているが、少し
体躯
(
からだ
)
の具合が悪いのでしばらく保養する気で東京の学校を
退
(
ひ
)
いて国へ帰る、その
帰途
(
かえりみち
)
のことであった。
忘れえぬ人々
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
同僚吉田
何某
(
なにがし
)
と共に近所へ酒を飲みに行つた
帰途
(
かえりみち
)
、冬の日も暮れかゝる
田甫路
(
たんぼみち
)
をぶら/\来ると、吉田は
何故
(
なぜ
)
か知らず、
動
(
やや
)
もすれば
田
(
た
)
の方へ
踉蹌
(
よろ
)
けて行く。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
朝顔の花を好んで毎年培養する理学士が、ある日学校の
帰途
(
かえりみち
)
に、新しい
弟子
(
でし
)
の話を私にして聞かせた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
其処
(
そこ
)
を小石川から
帰途
(
かえりみち
)
に夜の十一時十二時ごろ通る時の怖さと云うものは今でも
能
(
よ
)
く覚えて居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
江戸日本橋
小網町
(
こあみちょう
)
の廻船問屋
港屋太蔵
(
みなとやたぞう
)
方へ嫁に来ていて、夫婦仲もたいへんに
睦
(
むつ
)
ましかったのだが、このお盆の十五日、ひわという下女を連れて永代へ
川施餓鬼
(
かわせがき
)
に行った
帰途
(
かえりみち
)
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
斯
(
か
)
ようの中ゆえ拙者の姓名等も申上げず、恐入りましたが、拙者は
粂野美作守
(
くめのみまさか
)
家来渡邊織江と申す者、
今日
(
こんにち
)
仏参
(
ぶっさん
)
の
帰途
(
かえりみち
)
、是なる娘が飛鳥山の花を見たいと申すので連れまいり
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
綿布問屋
新田善兵衛
(
にったぜんべえ
)
の娘ゆき子は公会堂からの
帰途
(
かえりみち
)
何者かに誘拐されてしまった
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
事実は役所の
帰途
(
かえりみち
)
に
随
(
つ
)
いて来た
野良犬
(
のらいぬ
)
をズルズルベッタリに飼犬としてしまったので、『平凡』にある通りな狐のような厭な犬であったから、家族は誰も
嫌
(
いや
)
がって
碌々
(
ろくろく
)
関
(
かま
)
いつけなかった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
話は就職運動の
帰途
(
かえりみち
)
に続く。初夏の晴れ渡った日の正午近くだった。
秀才養子鑑
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その女客は浅草区西鳥越町の市川喜太郎と云う人の細君で、
墓参
(
ぼさん
)
に往っての
帰途
(
かえりみち
)
であった。
魔の電柱
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
学円 さて
名告
(
なの
)
りを揚げて、何の峠を越すと云うでもありません。御覧の通り、学校に勤めるもので、暑中休暇に見物学問という処を、
遣
(
や
)
って
歩行
(
ある
)
く……もっとも、
帰途
(
かえりみち
)
です。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
重吉は昼頃まで
寐
(
ね
)
るつもりで再び夜具の中へ
這入
(
はい
)
って、うとうとしたかと思うと、
襖
(
ふすま
)
の外からお千代の名を呼ぶ女の声を聞きつけた。玉子が
昨夜
(
ゆうべ
)
の出先から
帰途
(
かえりみち
)
に立寄ったものと思って
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
さっきの失敗に
懲
(
こ
)
りているので、もし自分のいない間に出てこられでもして、申し開きが立たなかったら、それこそ百年目だ! なに、まだ
帰途
(
かえりみち
)
もあることだと、じっと
辛抱
(
しんぼう
)
しているうちに
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
その
帰途
(
かえりみち
)
、私は例によって老河原さんと一緒だったから
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
但し約束は受けていても、
参詣
(
おまいり
)
の
帰途
(
かえりみち
)
に
眩暈
(
めまい
)
がすると、そのまま
引籠
(
ひきこも
)
ること度々で。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
東京の地勢はかくの如く
漸次
(
ぜんじ
)
に麹町
四谷
(
よつや
)
の方へと高くなっているのである。夏の炎天には私も学校の
帰途
(
かえりみち
)
井戸の水で車力や馬方と共に
手拭
(
てぬぐい
)
を絞って汗を拭き、土手の上に登って大榎の木蔭に休んだ。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
祖母
(
としより
)
が、ト目を
擦
(
こす
)
った
帰途
(
かえりみち
)
。本を持った織次の手は、氷のように冷めたかった。そこで、小さな
懐中
(
ふところ
)
へ
小口
(
こぐち
)
を半分
差込
(
さしこ
)
んで、
圧
(
おさ
)
えるように
頤
(
おとがい
)
をつけて、
悄然
(
しょんぼり
)
とすると、
辻
(
つじ
)
の
浪花節
(
なにわぶし
)
が語った……
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
帰
常用漢字
小2
部首:⼱
10画
途
常用漢字
中学
部首:⾡
10画
“帰”で始まる語句
帰
帰依
帰宅
帰路
帰趨
帰来
帰洛
帰京
帰還
帰省