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帰趨
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きすう
ふりがな文庫
“
帰趨
(
きすう
)” の例文
ですが歌道にいそしむ者が、結局その
帰趨
(
きすう
)
と仰ぐものは、和歌の中でも一番古い『万葉集』だということは誰も一致する見方なのです。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
その
帰趨
(
きすう
)
が
甚
(
はなは
)
だ不明瞭を極めてくるという次第ですが、そういう解釈の
如何
(
いかん
)
にかかわらず、その想に驚き、調べに酔わされることは
渾心的
(
こんしんてき
)
です
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
秀吉対勝家の——相互全力を挙げて、天下の
帰趨
(
きすう
)
を
賭
(
と
)
した一戦は、ここに勝敗を明らかにし、ふたたびこの形が
覆
(
くつがえ
)
る余地も奇蹟もあり得ない。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
而して
熟々
(
つくづく
)
と穏かな
容貌
(
かおつき
)
が慕わしうなり、又自分も到底この先生のようではないけれど、やはり
帰趨
(
きすう
)
なき、漂浪児であるという寂しい
感
(
かんじ
)
になった。
面影:ハーン先生の一周忌に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
もし人心の
帰趨
(
きすう
)
するところに流されるのを潔しとしないで、独り孤高の清節を徹そうとすれば、誇りかな心は逆にまた
驕慢
(
きょうまん
)
の罪を犯すこととなろう。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
▼ もっと見る
独・英・米三国に対する敗残の一マターファでは、
帰趨
(
きすう
)
は余りに明かであった。マノノ島へ急航したビックフォード艦長は三時間の期限付で降服を促した。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そしてこの事件が、悲しむべきか喜ぶべきか我らをしてその
帰趨
(
きすう
)
に迷わせていると申し上げました理由も、これでよくおわかりになりましたことと思います。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
私は何か長い棒のやうなものを差し伸べてやりたかつたが、そんなものはあたりには見あたらなかつた。今はただぢつとその
帰趨
(
きすう
)
を見守つてゐるばかりである。
赤蛙
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
保胤が長年の間、世路に
彷徨
(
ほうこう
)
して、道心の
帰趨
(
きすう
)
を抑えた後に、
漸
(
ようや
)
く暮年になって世を
遁
(
のが
)
れ、仏に入ったとは異なって、別に一段の運命機縁にあやつられたものであった。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
われらは文化の
帰趨
(
きすう
)
に
朝
(
ちょう
)
せんとして文化価値の実現を努むる人格として生きんとするのである
婦人指導者への抗議
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そうしてその上で「人の心は
飛鳥川
(
あすかがわ
)
、変るは勤めのならひぢやもの」という懐疑的な
帰趨
(
きすう
)
と
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
開戦と同時に、戦争当時国は手の
裡
(
うち
)
にある新兵器をチラリと見せ合っただけで、瞬時に勝負の
帰趨
(
きすう
)
が
明
(
あきら
)
かとなり即時休戦状態となるのかもしれない。勝つのは誰しも愉快である。
『地球盗難』の作者の言葉
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今少しく思惟の起源および
帰趨
(
きすう
)
について論じ、更に右二者の関係を明にしようと思う。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
而
(
しか
)
して、この仮定を認むる時は、その性的衝動の危機の
裡
(
うち
)
に眼覚めたる呉一郎が、その母の寝顔を見て、異常の美を感じたりという事実は、極めて自然なる心理の
帰趨
(
きすう
)
にして、特に
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
良心の苦痛に耐えられず魂の
帰趨
(
きすう
)
をなくした人が、往々現わす悲惨な悩み
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「僕の発明じゃあないよ。」軍功の
帰趨
(
きすう
)
は分明にして置かなければならぬ。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
いまのその「新しい浅草」の
帰趨
(
きすう
)
するところはけだしそれ以上である。
雷門以北
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
初春の空に淡く咲く
てふ
(
ちょう
)
、白夢のような侘しい花。それは目的もなく
帰趨
(
きすう
)
もない、人生の虚無と果敢なさを表象しているものではないか。しかも季節は春であり、空には小鳥が鳴いてるのである。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
時勢の
帰趨
(
きすう
)
を説き、皇道を説き、またこの機運に乗らなければ、生涯の悔いを青春に回顧しなければならないと云った。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
聡明なる太子はすでにもはやあの時自己の運命の
帰趨
(
きすう
)
は充分に悟っていられたのではなかったろうか? 見上げている私の眼にも熱い熱いものがたぎり立ってきた。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
人間の思想と行為との一切
帰趨
(
きすう
)
を文化価値に置くことを文化主義というのだと思います。
婦人改造の基礎的考察
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
それより海岸をわき目もふらず房州御膝下に
帰趨
(
きすう
)
不可疑候。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
前者と同様の結末に陥り来るべきは自然の
帰趨
(
きすう
)
なり。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
人心の
帰趨
(
きすう
)
がどこにあるか、諸侯の仰望が、上杉、直江にあろうか、古今の大才を持ちながら、ここの天下の勢いがどう流れているのかを知らんものじゃ
大谷刑部
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
帰趨
(
きすう
)
に迷わしむる事件の御報告を申し上げるわけなのでありますが、それには今より三カ月以前、我らが前便を書き終えた当日までペンを
遡
(
さかのぼ
)
らせなければなりませぬ。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
は、誰もまだ
混沌
(
こんとん
)
として、明らかに
帰趨
(
きすう
)
を見とおしている者は、ほとんどないような有様としかいえない。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時来って
草莽
(
そうもう
)
のうちより現われ、泥土去って珠金の質を世に挙げられ給うこと、また当然の
帰趨
(
きすう
)
のみ。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の、切れ長なほそい眼が、こう見くらべて、
帰趨
(
きすう
)
の人を、いずれに取るか、誤っているはずもない。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
播州
(
ばんしゅう
)
の一勢力家の下風にある一
被官
(
ひかん
)
の子にすぎないが、姫路の小城一つを擁して、早くから大志を抱き——しかも時勢の
帰趨
(
きすう
)
を見ぬいて——中国にありながらただ一人
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
古今、いつの時代であろうと、その行動の基点から
帰趨
(
きすう
)
まで人の力にあることに変りはない。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分のみるところでは、彼は大局の
帰趨
(
きすう
)
も分らず
盲戦
(
もうせん
)
に強がっているような暗将ではない。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秀吉が、この一局戦に、敢えて圧倒的な大軍を傾けて来たことと、立ち上がりの士気とにおいて、両軍の勝敗は、戦わぬうちに、すでに
帰趨
(
きすう
)
を明らかにしていたといっていい。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
播州
(
ばんしゅう
)
、
但馬
(
たじま
)
、
伯耆
(
ほうき
)
などにわたる中国の大名小族たちは、いまやその
帰趨
(
きすう
)
に迷いぬいていた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勝敗の
帰趨
(
きすう
)
はもう、それだけでも官軍強し、と誰の目にも
卜
(
ぼく
)
しうるものがあったのだ。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
北ノ庄の遠くから勝家が
鄭重
(
ていちょう
)
な使者と
音物
(
いんもつ
)
を
齎
(
もたら
)
して来たことにたいしては、それきり答礼もせず、書信も送らず、
柳
(
やな
)
ヶ
瀬
(
せ
)
役
(
えき
)
の
帰趨
(
きすう
)
が明らかになってから、却って、無沙汰の秀吉の方へ
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いま東西の両軍ここにまみえ、お
許
(
もと
)
には七城の
壕塁
(
ごうるい
)
を
聯
(
つら
)
ねて、国境のお守りに当っておられますが、すでに中国の
帰趨
(
きすう
)
は決したものということは充分お心のうちにはお分りであろうと存ずる。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なおまた、今の
混沌
(
こんとん
)
たる時代の
帰趨
(
きすう
)
が、
何人
(
なんぴと
)
によって、処理され、統一され、やがて泰平が建て直されるか——そうした時の
潮
(
うしお
)
の行く先も、お見えになっていない
理
(
わけ
)
はあるまいとも存ぜられます。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
歴史の実をもって、現状の変を
洞察
(
どうさつ
)
し、また時局の底流を
按
(
あん
)
じ、多年、身は秀吉の一幕下に置いては来たが、心は高く栗原山の
山巓
(
さんてん
)
から日本中のうごきと、時代の
帰趨
(
きすう
)
とを大観して——或る結論を
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“帰趨”の意味
《名詞》
帰 趨(きすう)
ある物事が落ち着くこと。
物事が最終的に行き着く所。
(出典:Wiktionary)
帰
常用漢字
小2
部首:⼱
10画
趨
漢検準1級
部首:⾛
17画
“帰”で始まる語句
帰
帰途
帰依
帰宅
帰路
帰来
帰洛
帰京
帰還
帰省