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巌丈
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がんじょう
ふりがな文庫
“
巌丈
(
がんじょう
)” の例文
旧字:
巖丈
でそうした
巌丈
(
がんじょう
)
な
赭黒
(
あかぐろ
)
い顔した村の人たちから、無遠慮な疑いの眼光を投げかけられるたびに、耕吉は恐怖と圧迫とを感じた。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
五十がらみの
巌丈
(
がんじょう
)
な植幸、何となく一徹らしいのが、相手が相手だけに、不安な心持をおさえて、ソワソワと離屋の方へ案内して行きます。
銭形平次捕物控:026 綾吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
巌丈
(
がんじょう
)
な鉄棒の頂上に鉄の円盤を固定したもので、人の手の力くらいでは容易に曲げ動かすことが出来ないように出来ている。
KからQまで
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
前も後も急峻な樹木の山、この山に挟まれ渓流に向った一軒家、木材だけは
巌丈
(
がんじょう
)
なものを用いて、屋根も厚く
葺
(
ふ
)
いてある。
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
十段ばかり上ると、そこに
巌丈
(
がんじょう
)
な
鉄扉
(
てっぴ
)
があって、その上に赤ペンキで、重大らしい
符牒
(
ふちょう
)
が
無雑作
(
むぞうさ
)
に書かれてあった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
その
巌丈
(
がんじょう
)
な石の壁は豪雨のたびごとに汎濫する溪の水を支えとめるためで、その壁に
刳
(
く
)
り抜かれた溪ぎわへの一つの出口がまた牢門そっくりなのであった。
温泉
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
彼の手が太く
巌丈
(
がんじょう
)
なんでいやんなっちゃったとか、壁にかかっていた
外套
(
がいとう
)
が、
田舎
(
いなか
)
紳士丸出しだとか、いまだにトルストイやガンジイのことばかり口にして
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
余程ひどく
撲
(
なぐ
)
られたとみえて、鉄製の
巌丈
(
がんじょう
)
なデレッキが
幽
(
かす
)
かに曲りをみせて、その足元にころがっていた。
雪
(新字新仮名)
/
楠田匡介
(著)
大
(
でっか
)
い眼鏡で、
胡麻塩髯
(
ごましおひげ
)
を貯えた、
頤
(
おとがい
)
の
尖
(
とが
)
った、背のずんぐりと高いのが、
絣
(
かすり
)
の綿入羽織を長く着て、霜降のめりやすを太く着込んだ
巌丈
(
がんじょう
)
な腕を、客商売とて袖口へ
引込
(
ひっこ
)
めた
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
壮年の男は驚くほどに
巌丈
(
がんじょう
)
な骨組みで、幅も厚さも並はずれた胸の上に、
眉毛
(
まゆげ
)
の抜け落ちた
猪首
(
いくび
)
の大きな頭が、両肩の間に無理に押し込んだようにのしかかっているのである。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
開拓使時分に下級官吏の住居として建てられた四戸の棟割長屋ではあるが、
亜米利加
(
アメリカ
)
風の規模と豊富だった木材とがその長屋を
巌丈
(
がんじょう
)
な丈け高い南京
下見
(
したみ
)
の二階家に仕立てあげた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
舟は波のうねりのすくない岩陰に
繋
(
つな
)
がれて
陸
(
おか
)
へは
橋板
(
はしいた
)
が渡された。その舟には顔の渋紙色をした六十に近い老人と三十位の
巌丈
(
がんじょう
)
な男が
艪
(
ろ
)
を漕ぎ、十八九に見える女が炊事をやっていた。
参宮がえり
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
廊下に向かった
巌丈
(
がんじょう
)
な扉へ、錠をしっかり
卸
(
おろ
)
してから、沙漠に面した
玻璃
(
ガラス
)
窓へも用心の為に鍵を
支
(
か
)
い、レースの
窓掛
(
カアテン
)
を引いてから、虫捕香水を布団へ振りかけ、それで安心したと見え
木乃伊の耳飾
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼は、だぶだぶの
部屋着
(
へやぎ
)
を着ている。
繍
(
ぬ
)
いのはいった飾り
紐
(
ひも
)
が
巌丈
(
がんじょう
)
な胸を取り巻き、円柱のまわりに綱を取りつけたようだ。この男、ひと目見れば、物を喰いすぎるということがわかる。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
そうしてその階子段には一種の特徴のある事を発見した。第一に、それは普通のものより幅が約三分一ほど広かった。第二に象が乗っても音がしまいと思われるくらい
巌丈
(
がんじょう
)
にできていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
巌丈
(
がんじょう
)
な木の枠と、沢山なスプリングが取りつけてありますけれど、私はそれらに、適当な細工を施して、人間が掛ける部分に膝を入れ、凭れの中へ首と胴とを入れ、丁度椅子の形に坐れば
人間椅子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
厚い
綿八端
(
めんはったん
)
の座蒲団が机の前と兼帯になる様な具合に敷いてあって、
樫
(
かし
)
縁の
巌丈
(
がんじょう
)
な長火鉢が、お爺さんを前に、大きな
真鍮
(
しんちゅう
)
の湯沸を太い鉄の五徳の上にかけられてこの座敷の中心の様に構えて居る。
かやの生立
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
いつの間にやら二人は、土蔵の奥の一室に閉じ込められて恐ろしく
巌丈
(
がんじょう
)
な
大扉
(
おおど
)
が
背後
(
うしろ
)
に
鎖
(
とざ
)
されているのに気が付きました。
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
内から生長してゆく恐ろしい力が
巌丈
(
がんじょう
)
な壁や柱に圧された結果はどうなるのだろうか。私の五体は、
両国
(
りょうごく
)
の花火のようになって、
真紅
(
まっか
)
な血煙とともに爆発しなければならない。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
巌丈
(
がんじょう
)
一方の鉄筋コンクリイトのアパアトも、一階に売薬店があり、地坪は狭いが、四階の上には見晴らしのいい露台もあって、二階と三階に四つか五つずつある畳敷きの部屋も
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
橋の中ほどから西寄りの所で電車の座席から西北を見ると、
河岸
(
かし
)
に迫って無骨な
巌丈
(
がんじょう
)
な倉庫がそびえて、その上からこの重い橋をつるした鉄の帯がゆるやかな曲線を描いてたれ下がっている。
Liber Studiorum
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それは二階にあったのですが——安っぽい
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
の傍に、一間の押入がついていて、その内部は、
鴨居
(
かもい
)
と敷居との丁度中程に、押入れ一杯の
巌丈
(
がんじょう
)
な棚があって、上下二段に分れているのです。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
空腕車
(
からぐるま
)
を
曳
(
ひ
)
きつけて、
踞
(
しゃが
)
んで、畜生道の
狛犬
(
こまいぬ
)
見るよう、仕切った形、
睨
(
にら
)
み合って身構えた、両人とも背のずんぐり高い、およそ
恰好
(
かっこう
)
五十ばかりで骨組の
逞
(
たく
)
ましい、
巌丈
(
がんじょう
)
づくりの、彼これ車夫。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
巌丈
(
がんじょう
)
なことときちゃ馬にだって負けやしませんからね。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
が、黒塗りの
巌丈
(
がんじょう
)
な格子を隔てた上、格子の外には四尺あまりの
溝
(
どぶ
)
があって、それより先へは進むこともなりません。
銭形平次捕物控:078 十手の道
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
巌丈
(
がんじょう
)
な後ろ姿を
照
(
てら
)
して、赤々と照る秋の陽、箱根全山の緑は老いて、何んとなく裏淋しい昼下りの風物でした。
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は何の
躊躇
(
ちゅうちょ
)
もなく入って行きました。穴は、三尺四方ばかり、粗末ながら
巌丈
(
がんじょう
)
な段々があって、二
間
(
けん
)
ばかり降りると、今度は真っ直ぐに横へ伸びております。
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ガラッ八は気軽に飛んで行きましたが、間もなく、
巌丈
(
がんじょう
)
な三十男を伴れて、自身番へ帰って来ました。
銭形平次捕物控:017 赤い紐
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
七十近い
巌丈
(
がんじょう
)
な身体に、新しい
忿怒
(
ふんぬ
)
が火のごとく燃えて、物馴れた平次も少し扱い兼ねた様子です。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
欅
(
けやき
)
の厚板で組んだ、恐ろしく
巌丈
(
がんじょう
)
なもので、大一番の
海老錠
(
えびじょう
)
を
卸
(
おろ
)
してありますが、覗いてみるとよく底が見えて、穴のあいた小銭が五六枚あるだけ、何の変哲もありません。
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
橋番所の老爺の差出したものを見ると、綱はほんの六尺ばかり、一方に輪を
拵
(
こしら
)
えて娘の首にはめ、一方は欄干に無造作に縛ったもので、ありふれた
巌丈
(
がんじょう
)
一方の麻縄、何の変哲もありません。
銭形平次捕物控:067 欄干の死骸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
小屋は
筵張
(
むしろば
)
りの全く間に合わせの
代物
(
しろもの
)
、泥絵の具で存分に刺戟的に描いた、水中に悪龍と闘う美女の絵を看板に掲げ、その下の二つの木戸口には、塩辛声の大年増と、二十五六の
巌丈
(
がんじょう
)
な男が
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
巌丈
(
がんじょう
)
な金目垣、その一ヶ所に野良犬の
潜
(
くぐ
)
る通路が一つあることは、平次も早くから目をつけておりましたが、その穴をガサガサと潜って、小さいものがヒョイとこっちの庭へ飛込んで来たのです。
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは五十左右の
巌丈
(
がんじょう
)
な中老人、
鬢
(
びん
)
に霜を置いて、
月代
(
さかやき
)
も見事に光っておりますが、慾も精力も絶倫らしく、改めて平次に挨拶した様子を見ると、三千両の打撃で、すっかり
萎気
(
しょげ
)
返っているうちにも
銭形平次捕物控:009 人肌地蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
納屋の二階はガラクタの入れ場で、手摺と言ったところで
巌丈
(
がんじょう
)
一方の丸木を
鎹
(
かすがい
)
で締めた、形ばかりの物、その角になったところへ屑金物の箱を載せれば、いかにも紐一本で落せないこともありません。
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
巌
漢検準1級
部首:⼭
20画
丈
常用漢字
中学
部首:⼀
3画
“巌丈”で始まる語句
巌丈堅固