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第一のただ一人と共に火に入ったという説もあれば、数百の婢妾ひしょうまきの火に投じてから自分も火に入ったという説もある。
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
変りはてた先帝の影を獄中のほの暗い所に見いだしたとき、三人のは、しぜんにみなそれぞれちがった悲しみようをその姿にみだし合った。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
バビロンの淫婦はなんぢ七頭しちとうの毒竜は爾の馬、火と煙と硫黄いわうとはなんぢ黒檀こくたん宝座みくらの前に、不断の香煙かうえんのぼらしめん。
LOS CAPRICHOS (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
劉填りうてんいもうと陽王やうわうなり。陽王やうわうちうせられてのち追慕つゐぼ哀傷あいしやうしてやまひとなる。婦人ふじんこのやまひいにしへよりゆることかたし。とき殷※いんせんゑがく、就中なかんづくひとおもてうつすにちやうず。
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
十六で皇太子のになって、二十で寡婦になり、三十で今日また内裏だいりへはいったのである。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
最長篇「神々の笑い」の中に皇后おうこうと侍女たち及び三人の貴婦人が出て来る「女王の敵」に女王及び侍女が出る「アルギメネス王」に四人のが出て来る「アラビヤ人の天幕てんと」にジプシイの女が出る
ダンセニーの脚本及短篇 (新字新仮名) / 片山広子(著)
その姉はすなわち燕王のにして、其弟増寿ぞうじゅ京師けいしに在りて常に燕のために国情をいたせるも、輝祖独り毅然きぜんとして正しきにる。端厳の性格、敬虔けいけんの行為、良将とのみわんや、有道の君子というべきなり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
寝宮しんきうと遊ぶ日の神の像かたへにするは琴とまき
ガァツルードは血色が好過ぎ若過ぎ強過ぎた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
つてもつ乳媼うばをして妹妃まいひせしむ。嬌嫉けうしつごとく、のゝしつていはく、えゝうどうしようねと、やまひえたりとふ。あへせつあることなし、われくのみ。
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まず今日は、秋園のうららかな下へ玉歩を運ばれて、や若君たちと終日嬉々ききとお遊びになられたがよいでしょう
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたかも、それは廉子だけがひとり帝とここにいて、ほかの二人のなど、そばにいないかのようであった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また彼の妻は、策のの妹であるから、現在の呉主孫権と周瑜とのあいだは、義兄弟に当るわけである。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恋々れんれんたる離別は龍顔りゅうがんをかきくもらせてはいたが、ふと、幾多の唐土とうどと帝王の例などもお胸をかすめたことであろう。国と女——その比重へこたえるような語気であった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、微笑ほほえんで、二度までも大きなお声がしたので、何事かと見にきたのですと云った。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大納言ノ局、三位ノ局廉子やすこなど、隠岐このかたの、たちもお連れなのである。
よ、妃よ、朕をうらむな。かならず九泉の下にて待て」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)