大船おほふな)” の例文
大船おほふなはつしてしまへば最早もう國府津こふづくのをほか途中とちゆうなにることは出來できないとおもふと、淺間あさましいことには殘念ざんねんたまらない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
汽車は早くも大船おほふなに着けり、一海軍将校、鷹揚おうやうとして一等室に乗り込みしが、たちまち姿勢をただしうして「侯爵閣下」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
大船おほふな停車ていしやときまどつて、逗子づしかたむかひ、うちつけながらそれがしがお馴染なじみにておはします、札所ふだしよ阪東第三番ばんどうだいさんばん岩殿寺いはとのでら觀世音くわんぜおん御無沙汰ごぶさたのおわびまをし、道中だうちう無事ぶじと、ねんまゐらす。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大船おほふなくや老夫婦としよりふうふ逸早いちはやおしずしと辨當べんたうひこんだのを自分じぶんその眞似まねをしておなじものをもとめた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
たしかえきみとめたのは國府津こふづだつたのである。いつもは大船おほふななほして、かなたに逗子づし巖山いはやまに、湘南しやうなんうみなぎさにおはします、岩殿いはと觀世音くわんぜおんれいまゐらすならひであるのに。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
阿部川あべかはへば、きなこもちとばかり心得こゝろえ、「贊成さんせい。」とさきばしつて、大船おほふなのサンドヰツチ、國府津こふづ鯛飯たひめし山北やまきたあゆすしと、そればつかりをあてにして、みなつてべるつもりの
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたし大變たいへんきました。大船おほふなでおべんひましよう。』
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「えゝ、列車れつしやでは横濱よこはま電報でんぱうあつかひません、——大船おほふなちますから。」
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)