-
トップ
>
-
おほふな
大船に
着くや
老夫婦が
逸早く
押ずしと
辨當を
買ひこんだのを
見て
自分も
其眞似をして
同じものを
求めた。
確に
驛の
名を
認めたのは
最う
國府津だつたのである。いつもは
大船で
座を
直して、かなたに
逗子の
巖山に、
湘南の
海の
渚におはします、
岩殿の
觀世音に
禮し
參らす
習であるのに。
阿部川と
言へば、きなこ
餅とばかり
心得、「
贊成。」とさきばしつて、
大船のサンドヰツチ、
國府津の
鯛飯、
山北の
鮎の
鮓と、そればつかりを
當にして、
皆買つて
食べるつもりの