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均
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なら
ふりがな文庫
“
均
(
なら
)” の例文
「もう一つ、梅の木の下が、あちこち、土の新らしくなつて居るのは何んでせう、掘り散らして、あとで土を
均
(
なら
)
したやうだが」
銭形平次捕物控:284 白梅の精
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二十間ばかり東に離れて山腹を切り取った一坪位の平に
均
(
なら
)
された所に、栂の枝で造った
至
(
いたっ
)
て無造作な猟師の
鳥屋
(
とや
)
のようなものが立っていた。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
明朝
(
あした
)
目を覚ますと、お作はもう起きていた。
枕頭
(
まくらもと
)
には綺麗に火入れの灰を
均
(
なら
)
した莨盆と、折り目の
崩
(
くず
)
れぬ新聞が置いてあった。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
奥座敷から北の方へ二百坪ほど地面を
均
(
なら
)
して、その真中にぽつんと浴場がたっている。渡り廊下は両側壁造りで明り窓がとってあるだけです。
浴槽
(新字新仮名)
/
大坪砂男
(著)
実際、こゝに寄って来る若旦那たちは、めい/\多少の癖はあるようなものゝ、
均
(
なら
)
しには
捌
(
さば
)
けていて陽気な人たちでした。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
畠を切り
均
(
なら
)
したばかりの私の家の外庭には、毎年待っている子どもがあるのに、もう一本でも生えて来ようとしない。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
かれらはただちに仕事にかかり、見事な順序で、耕し、
耙
(
まぐわ
)
をかけ、
転子
(
ころ
)
で
均
(
なら
)
し、
畝
(
うね
)
をたてて、ここを模範農場にせずにはおかぬ意気ごみのようであった。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
ついと立つて紅い道化頭巾を冠る、浴衣を脱ぐ、薄いシヤツ一枚になつて、さて眉から鼻、口元と白粉を
均
(
なら
)
す、長い
瞼毛
(
まつげ
)
の
周囲
(
まはり
)
を青インキで濃く隈をつける。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
一人扶持かて一年に
均
(
なら
)
してみやはりまっせ、一石八斗二升五合になりまんがな、今時、諸式が上りはって、京大阪で
上白
(
じょうはく
)
一桝
(
ひとます
)
が一貫と二十四文しますさかい
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
野郎、これで
一杯
(
いっぺえ
)
呑
(
や
)
って来い、なんかと時々親方が投げてくれる金銭で衣食している連中——が、開始前、手に手に
箒
(
ほうき
)
を持って、中央の大円庭に砂を
均
(
なら
)
している。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
味噌蔵から勝手口まで長さ二間ばかりの杉並四分板を置いた粘土の
均
(
なら
)
し、その土の上に、草鞋の跡と女の
日和下駄
(
ひよりげた
)
の歯形とがはっきり着いている。二つとも新しい。
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
なるほどなるほどと自分は感心して、
小短冊
(
こたんじゃく
)
位の大きさにそれを
断
(
き
)
って、そして有合せの
味噌
(
みそ
)
をその
杓子
(
しゃくし
)
の背で五
厘
(
りん
)
か七厘ほど、一
分
(
ぶ
)
とはならぬ厚さに
均
(
なら
)
して
塗
(
ぬ
)
りつけた。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
白い砂が疊のやうに美しく
均
(
なら
)
してある神籬の中へ、若し土足を踏み込めば、直ぐ腰が立たなくなると、村人は皆恐れてゐて、
靈代
(
たましろ
)
を安置する平井明神の神主のほかは、誰も入るものがない。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
そうすると数珠玉の上の出張った埃を、平に
均
(
なら
)
したものがなければならない。けれども、どんなに精巧な器械を使ったところで、人間の手ではどうして出来るものじゃない。自然の細刻だよ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
父はその
御者
(
ぎょしゃ
)
、姉は曲馬団の調馬師、兄弟はすべて道路の地
均
(
なら
)
し用蒸気ロウラアに乗り組んでいる小意気な船員たちだと、ユウモラスなつもりだろうが、このごろ
流行
(
はや
)
るナンセンス文学みたいな
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
かかる好都合の処はないとて、嘉与吉と二人で、その下の小石を取り除けて左右に積み、
風防
(
かぜよ
)
けとし、居を平に
均
(
なら
)
す、フ氏と嘉門次は、偃松の枝を採りて火を
点
(
つ
)
ける、これでどうやら宿れそうだ。
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
「さあ。月によって出来不出来があるけれど、
均
(
なら
)
し百五十円」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
河原が
均
(
なら
)
され天幕が張られて、めらめらと勢よく燃え上る火の上で大鍋が沸々音を立てる時分には、冷え切った体にも温い血が
循
(
めぐ
)
り始めた。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
何やら物の
芽
(
め
)
は出て居りますが、二三日前の雨で畑の土はよく
均
(
なら
)
され、その上へ眞一文字に附いた
草鞋
(
わらぢ
)
の跡は、點々として描いたやうに鮮明です。
銭形平次捕物控:217 歎きの幽沢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それあありますとも。年に決まって一回か二回はね。そしてその時に、刳り取られたこの砂地が
均
(
なら
)
されるのです」
蒼白い月
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
鼎造の崖邸は真佐子の生れる前の年、崖の上の
桐畑
(
きりばたけ
)
を
均
(
なら
)
して建てたのだからやっと十五六年にしかならない。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
おっちょこちょいの
倅
(
せがれ
)
に、おっちょこちょいが生れるということは有り得ることで、
王侯将相豈種
(
おうこうしょうしょうあにしゅ
)
あらんやというは、それは歴史上を
均
(
なら
)
して、幾千億万分の一の特例であって
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小石を敷き
均
(
なら
)
したようないい平で、小屋でもあったらしい跡がある。東からは長いガレが這い上って来ている。
秋の鬼怒沼
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
そう見られる
黝
(
くろず
)
み方で山は天地を一体の夜色に
均
(
なら
)
された。
打縁流
(
うちよする
)
、
駿河能国
(
するがのくに
)
の暮景はかくも雄大であった。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
天井にも屋根にも變つたところがなく、縁の下の土はよく
均
(
なら
)
されてゐて、人の這ひ出した跡もないのですから、離屋は全くルレタビーユの『黄色い部屋』です。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
綺麗に
均
(
なら
)
された
桐胴
(
きりどう
)
の火鉢の白い灰が、底冷えのきびしい明け方ちかくの夜気に
蒼白
(
あおざ
)
めて、酒のさめかけた二人の顔には、深い疲労と、興奮の色が見えていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
また勾配が
均
(
なら
)
されてしまう、その間に一つの入江がある、入江ではない、相当の湾入があって、自分たちの着いた海を北湾入とすれば、これは東湾入ともいうべき形勢であって、駒井甚三郎は
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
急斜面の小高い所を
均
(
なら
)
した猫の額程の平に、生々しい木の枝を組み合せた粗末な小屋が二つ、執念深い人間の生存慾を具体化したもののように立っている
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
そう、たいして広い間口の店さきもなく、圧倒するほどの大商店もなく、軒並に
均
(
なら
)
しに明るさと繁昌を湛えて、殊に商品はどこの店でも可なり充実しております。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
日々に地が
均
(
なら
)
され、
瓦礫
(
がれき
)
が掘り出され、
隅
(
すみ
)
の方に国旗の
棹
(
さお
)
が建てられ、樹木の
蔭
(
かげ
)
も深くなって来た。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と言って、川の瀬をよく
均
(
なら
)
して水の
滞
(
とどこお
)
らぬようにしました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
元は河原であったものが、河が東に移った為に島のような形になって、島尻に十坪程細かい砂を平に敷き
均
(
なら
)
した所がある、其処に天幕を張って泊ることにした。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
安公がでこぼこの棺のなかを
均
(
なら
)
しながら、ぐいぐい
圧
(
お
)
しつけると、「おい来たよう。」と
蓋
(
ふた
)
がやがてぴたりと
卸
(
おろ
)
された。
白襟
(
しろえり
)
に淡色の紋附を着た姑は、その側に立って泣いていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
たゞ
均
(
なら
)
しに低能の中に、この癖が底根のように横わっています。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
声をかけると二人ともそう遠く離れてはいないらしいので安心する。一ト所、山の斜面の土を平に掻き
均
(
なら
)
し、其上に草や小枝を敷いた三、四尺の段が幾つかあった。
大井川奥山の話
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
平地が無いから河原に小屋掛けして、茅を厚く敷き
均
(
なら
)
したので少しも体が痛くない。河原と岩壁との間に湛えた豊富な湯に河の水を堰き入れると、好い頃合の温泉になる。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
天幕が張られると、偃松の小枝を厚く下敷にして地面の凹凸を
均
(
なら
)
し、其上に
羚羊
(
かもしか
)
の毛皮を重ね、更に二、三枚の毛布を一杯に拡げたから、狭いがフクフクと暖いお座敷が出来上った。
秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
“均”の意味
《名詞》
(きん) 中国の音楽理論で、音階の第一音の高さを示す語。
(出典:Wiktionary)
均
常用漢字
小5
部首:⼟
7画
“均”を含む語句
平均
均衡
均斉
均整
地均
均霑
諸葛均
均齊
御均等
平均流通高
平均温度
平均速力
平均速度二十六浬
張均
子均
法均
淑均
灰均
至於才力之均敵
芦田均
...