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命令
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いいつけ
ふりがな文庫
“
命令
(
いいつけ
)” の例文
併し其辺には彼の意に適った思わしい隠場所も無かったので、
命令
(
いいつけ
)
を
諾
(
き
)
かない二本の脚を、無理に
引擦
(
ひきず
)
って
復
(
ま
)
た歩き出した。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さあ、たとえ俺が無理でも構わん、無情でも差支えん、
婦
(
おんな
)
が怨んでも、泣いても可い。
憧
(
こが
)
れ
死
(
じに
)
に死んでも可い。先生の
命令
(
いいつけ
)
だ、切れっちまえ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
池田 恐れながら、かねての殿のお
命令
(
いいつけ
)
に従い、きやつの胸に探りを入れてみましたところ、まったく異心は無いものと見受けましてござります。
稲生播磨守
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
もしや
叱責
(
こごと
)
の
種子
(
たね
)
にはなるまいかと
鬼胎
(
おそれ
)
を
抱
(
いだ
)
くこと大方ならず、かつまた
塩
(
しお
)
文鰩
(
とび
)
を買って来いという
命令
(
いいつけ
)
ではあったが
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
... 私にも是非そのお料理を覚えるようにと
命令
(
いいつけ
)
られましたから暇の時
教
(
おそ
)
わりに参るつもりです」と聞くより客は膝進ませ
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
ハラムは運命の神様のマドウーラ様から、この妾を生涯の妻とするように
命令
(
いいつけ
)
られているに違いなかった。
ココナットの実
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
生絹はいまにも下ノ者にもはや蘆売る人を捜さなくともいいという
命令
(
いいつけ
)
を下そうかと、何度も思い惑うているところであった。下ノ者は馳り来て伝えていった。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
嫂はこう云いながら兄に
挨拶
(
あいさつ
)
した。そうして
傍
(
そば
)
に立っていた芳江に、「さあお父さんに御帰り遊ばせとおっしゃい」と注意した。芳江は母の
命令
(
いいつけ
)
通り「御帰り」と頭を下げた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ダンネベルグ夫人のお
命令
(
いいつけ
)
でした。あの方の
怯
(
おび
)
えきったお心は、昨夜最後の避難所をここへ求めずにはいられなかったのです」と凄気の
罩
(
こ
)
もった言葉を冒頭にして、鎮子はまず
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
お雪は夫が奉公人というものを
克
(
よ
)
く知らないと思っている——どんなに下婢が自分の
命令
(
いいつけ
)
を守らないか、どんなに子供をヒドくするか、そんなことは一向御構いなしだ、こう思っている。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私はしじゅう父の
命令
(
いいつけ
)
でハルビンへ薬を買いに行くんです。今度もその用で、二三日中に行くことになっているんですから、急に思い立って今夜これから発つと言っても、父は何とも言いはしません。
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
阿母と義坊の
命令
(
いいつけ
)
だ
夜明の集会
(新字新仮名)
/
波立一
(著)
幸いなり
貰
(
もら
)
ってくれとの
命令
(
いいつけ
)
畏
(
かしこ
)
まると立つ女と入れかわりて今日は黒出の
着服
(
きつけ
)
にひとしお器量
優
(
まさ
)
りのする小春があなたよくと末半分は消えて行く
片靨
(
かたえくぼ
)
俊雄はぞッと可愛げ立ちてそれから二度三度と
馴染
(
なじ
)
めば馴染むほど小春がなつかしく
魂
(
たまし
)
いいつとなく
叛旗
(
はんき
)
を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
息子の幸吉は、三十近い、色の
生
(
なま
)
っ
白
(
ちろ
)
い
優男
(
やさおとこ
)
である。
父親
(
おやじ
)
の
命令
(
いいつけ
)
を取り次いで、大勢の下女下男に雑用の下知を下しながら仔猫のように
跳
(
と
)
び廻っていた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
……コレ……祖父の
命令
(
いいつけ
)
じゃ。立たぬか。伯父様や伯母様方に
御暇
(
おいとま
)
乞いをせぬか。
今生
(
こんじょう
)
のお別れをせぬか。
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
其橋を渡って少し行くと、洋館ばかりが立ち並んでいる寂しい寂しい街通へ出たが、もう此頃から彼の脚は彼の
命令
(
いいつけ
)
に従わなくなった。つまり歩けなくなったのである。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
皆の仕事を
監督
(
みまわ
)
りかたがた、墨壺墨さし
矩尺
(
かね
)
もって胸三寸にある切組を実物にする指図
命令
(
いいつけ
)
。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「老人の、あの苦心に
見倣
(
みなら
)
え、と先生の
命令
(
いいつけ
)
で出向いています。」
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
皆紅矢の
命令
(
いいつけ
)
を守って
他
(
た
)
の鳥
獣
(
けもの
)
には眼もくれずに、只赤い羽根を持って人間の声を出す鳥が居たらばと、そればかり心掛けて、眼を見張り、耳を澄まして行った。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
文字若さんの
命令
(
いいつけ
)
で、すぐ、こちらの親分をお迎えにこうしてすっ飛んで来やしたのさ。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
どこへ行っても十や二十の
乾児
(
こぶん
)
のあるのが私の自慢、この土地へ来てもその通り、その乾児らへ
命令
(
いいつけ
)
て、力柱の効能をある事ないこと云い触れさせ、それが当たって当座のうちは
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
態
(
さま
)
こそ
異
(
かわ
)
れ十兵衛も心は同じ張りをもち、導かるるまま打ち通りて、人気のなきに寒さ
湧
(
わ
)
く
一室
(
ひとま
)
の
中
(
うち
)
にただ一人
兀然
(
つくねん
)
として、今や上人の
招
(
よ
)
びたまうか、五重の塔の工事一切
汝
(
そなた
)
に任すと
命令
(
いいつけ
)
たまうか
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
コック部屋に無けあ船長室に在る筈だ。そいつを
掻
(
か
)
っ
払
(
ぱら
)
って来い。なぐられるもんか。
愚図愚図
(
ぐずぐず
)
吐
(
ぬ
)
かしたら俺が
命令
(
いいつけ
)
たと云え。
船長
(
おやじ
)
には貸しがあるんだ。……行って来い……。
焦点を合せる
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
猫を殺す——必ずともに壺のふたを取るでないぞ! 中をあらためてはならぬぞ! こういう峰丹波の固い
命令
(
いいつけ
)
だったので、それで与吉、今まであの高麗屋敷の櫛まきお藤の家で
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「……知らぬこととは云いながら兄妹契りを結ぶとは取りも直さず畜生道。二人ながら活きては居られず、かつは
頭領
(
かしら
)
の
命令
(
いいつけ
)
もあり、今宵忍んで妹めを打ち果たしましてござります。……」
赤格子九郎右衛門の娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
イヤ、おぬしがここにおることは、あのお美夜と申す女の子が、おぬしの
命令
(
いいつけ
)
でかの壺を、拙者のもとへ届けに来てくれたとき、聞いたのじゃが、まだこの家に居候とは知らなかった。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「この長者様の
命令
(
いいつけ
)
をしばらく待てと止めたのはいったい誰じゃ?」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「いいえ、愛してはいませんでした。如何にも愛しているかのような
左様
(
そう
)
いう素振りをしましたけれど……それが私の役目でしたものね。そうよ、私は、そう
為
(
す
)
るように
命令
(
いいつけ
)
られていたのですもの」
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お前が、あの方の
命令
(
いいつけ
)
で栄三郎の袂へ入れて来たと言うんだねえ?
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
命
常用漢字
小3
部首:⼝
8画
令
常用漢字
小4
部首:⼈
5画
“命令”で始まる語句
命令的
命令通