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剰
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あまつ
ふりがな文庫
“
剰
(
あまつ
)” の例文
旧字:
剩
此凄まじい日に照付られて、一滴水も飲まなければ、
咽喉
(
のど
)
の
炎
(
も
)
えるを
欺
(
だま
)
す
手段
(
てだて
)
なく
剰
(
あまつ
)
さえ
死人
(
しびと
)
の
臭
(
かざ
)
が
腐付
(
くさりつ
)
いて
此方
(
こちら
)
の体も
壊出
(
くずれだ
)
しそう。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
剰
(
あまつ
)
さえT市の鍵が吾輩のところにあるのを知ると、仮面の悪人どもを
語
(
かた
)
らいあらゆる悪辣なる手段を弄してその奪還を図ったのだ。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
又
或
(
あるい
)
は外国の書を
飜訳
(
ほんやく
)
して大言を
吐散
(
はきち
)
らし、
剰
(
あまつ
)
さえ儒流を
軽蔑
(
けいべつ
)
して
憚
(
はばか
)
る所を知らずと
云
(
い
)
えば、
是
(
こ
)
れは
所謂
(
いわゆる
)
異端
(
いたん
)
外道
(
げどう
)
に
違
(
ちが
)
いない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
剰
(
あまつ
)
さへ湯加減程よき一風呂に我が身体も亦車上の労れを忘れた。自分は今、眠りたいと云ふ外に何の希望も持つて居ない。
雪中行:小樽より釧路まで
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
法律は鉄腕の如く雅之を
拉
(
らつ
)
し去りて、
剰
(
あまつ
)
さへ
杖
(
つゑ
)
に離れ、涙に
蹌
(
よろぼ
)
ふ老母をば道の
傍
(
かたはら
)
に
踢返
(
けかへ
)
して顧ざりけり。
噫
(
ああ
)
、母は
幾許
(
いかばかり
)
この子に思を
繋
(
か
)
けたりけるよ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
煙が蒲団の中に漲り充ちて、私は眼や鼻に烈しい痛みを感じ、且つ息苦しくなり、
剰
(
あまつ
)
さへ烈しい咳の発作に襲はれた。私は堪へ忍びながら喫ひ続けた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
大きな声を張りあげてときをつくり、
剰
(
あまつ
)
さえ
古蓆
(
ふるむしろ
)
のように引き
挘
(
むし
)
られた
翼
(
はね
)
でバタバタと
羽搏
(
はばた
)
きをやらかしていた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
老いたる侍 不孝の罪はまだしもあれ、
汚
(
けが
)
らはしき異国の邪法に迷ひ、
剰
(
あまつ
)
さへ、猥りに愚人を惑はすとは……
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
剰
(
あまつ
)
さへ細雨を
注
(
そそ
)
ぎ来りしが、
甚
(
はなはだ
)
しきに至らずして
己
(
や
)
み、為めに
少
(
すこ
)
しく
休暇
(
きうか
)
することを得たり。
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
その恩を忘却して何んだ、松公に逢いたいから請出されて来たとは何んの云い草だ、何うも然ういう了簡とも知らず騙されたのは僕が愚だから仕方も
無
(
ね
)
えが、
剰
(
あまつ
)
さえ三十金手切を取って
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかも先きの攻め道具たりし寒気と風力とは、ますます猛烈を加うるのみにして、更にその
勢
(
いきおい
)
を減ずることなし、
剰
(
あまつ
)
さえ強猛なる寒気は絶えず山腹の積雪を
遠慮会釈
(
えんりょえしゃく
)
なく
逆
(
さか
)
しまに吹上げ来り
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
剰
(
あまつ
)
さえ、吾等市民代表者の切なる要求を斥け、一件書類を金庫から取出して見せることを拒むとは横暴とも理不尽とも、実に言語道断の振舞いである。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
剰
(
あまつ
)
さへ今迄の住居に比べて、こゝは蚊も少なく、余りに
喧
(
やかま
)
しかりし蛙の声もなく、畳も
襖
(
ふすま
)
も
障紙
(
しやうじ
)
も壁も皆新しくて、庭には二百年も経ぬらしと思はるゝ
伽羅
(
きやら
)
の樹あり。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
しかし健康で丸々と張りきった彼の頬は、よほど巧く出来ていて、
旺盛
(
おうせい
)
な繁殖力を
包蔵
(
ほうぞう
)
していると見え、髯は間もなく新らしく伸びて、
剰
(
あまつ
)
さえ前より立派になる位だ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
此の小原山へお招き申して掛合い、実に圖書の為には、貴公様は神とも仏とも申そう様もない有難いお方であるを、全く
私
(
わたくし
)
の心得違から、刄物を扱い、
剰
(
あまつ
)
さえ飛道具を向けましたる段は
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
剰
(
あまつ
)
さえ人夫らの
中
(
うち
)
に、寒気と風雨とに恐れ、ために物議を生じて、四面
朦朧
(
もうろう
)
咫尺
(
しせき
)
を
弁
(
べん
)
ぜざるに乗じて、
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか下山せしものありたるため、翌日落成すべき建築もなお
竣工
(
しゅんこう
)
を
告
(
つ
)
ぐる
能
(
あた
)
わざる
等
(
とう
)
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
剰
(
あまつ
)
さへ諸子の花苑には、宇宙の
尤
(
もつと
)
も霊妙なる産物たる清浄
無垢
(
むく
)
の美花あり。その花、開いては天に参し、地を
掩
(
おほ
)
ふの姿にも匂ひぬべく、もとより微々たる一茎一枝の草樹に比すべからず。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
剰
(
あまつ
)
さえ飯島を手に掛け、金銀衣類を奪い取り、江戸を
立退
(
たちの
)
き、越後の村上へ逃出しましたが、親元
絶家
(
ぜっけ
)
して寄るべなきまゝ、段々と奥州路を
経囘
(
へめぐ
)
りて
下街道
(
しもかいどう
)
へ出て参り此の栗橋にて
煩
(
わずら
)
い付き
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
大「はっ……
併
(
しか
)
し
何
(
ど
)
の
様
(
よう
)
の証拠がござって、手前は神原兄弟と心を合せて御家老職を
欺
(
あざむ
)
き、
剰
(
あまつ
)
さえ御舎弟様を手前が毒害いたそうなどと、毛頭身に覚えない事で、殊に渡邊織江を
殺害
(
せつがい
)
いたしたなどと」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
剰
常用漢字
中学
部首:⼑
11画
“剰”を含む語句
剰余
剰銭
過剰
余剰
剰水
剰談
剰金
剰余物
剰余金
剰木
剰餘
喫剰
回外剰筆