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剣幕
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けんまく
ふりがな文庫
“
剣幕
(
けんまく
)” の例文
旧字:
劍幕
聞く者その
威容
(
いよう
)
に
怖
(
おそ
)
れ弁舌に
驚
(
おどろ
)
き
這々
(
ほうほう
)
の
体
(
てい
)
にて引き
退
(
さが
)
るを常としたりきと云っているもって春琴の勢い込んだ
剣幕
(
けんまく
)
を想像することが出来よう。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
長居
(
ながい
)
はめんどうと思ったものか、
阿修羅
(
あしゅら
)
のごとき
剣幕
(
けんまく
)
で近く後日の再会を約すとそのまま傾く月かげに追われて江戸の方へと走り去ったのだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
五番の
柔道
(
じゅうどう
)
三段の松山さんは、「
腐
(
くさ
)
れ女の尻を、犬みたいに追いまわしやがって——」とすごい
剣幕
(
けんまく
)
で
睨
(
にら
)
みつけます。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
私が下のお
手水
(
ちょうず
)
の前を通っていると、十一番さんの、あのおひげさんね、あの人がやって来て、今ここを長吉が通らなかったかって、ひどい
剣幕
(
けんまく
)
で聞くのよ。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
孝助は相川の
遺書
(
かきおき
)
を読む
間
(
ま
)
、息をもつかず聞いていながら、膝の上へぽたり/\と大粒な熱い涙を
零
(
こぼ
)
していましたが、
突然
(
いきなり
)
剣幕
(
けんまく
)
を変えて表の方へ飛出そうとするを
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
「エミリー。お願いだからあと二分間、部屋の外で待っていておくれ」と、さすがの心臓男ドレゴも、エミリーの
剣幕
(
けんまく
)
におそれをなして、赤ん坊のように悲鳴をあげた。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
満面に
朱
(
しゅ
)
をそそぎ、今にもみんなに躍りかかって、わたしたちを
木
(
こ
)
っ
端
(
ぱ
)
みじんに八方へ投げ飛ばしそうな
剣幕
(
けんまく
)
を見せたが、令嬢がちらりと彼を見て、指を立てておどかすと
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「おい、
秀公
(
ひでこう
)
、だまっていろ。」と、
達
(
たっ
)
ちゃんは、おどすような
剣幕
(
けんまく
)
をして、いいました。
二少年の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
聊
(
いさゝ
)
か兼吉を怨む筋は無いと
悔
(
く
)
いて居りまするが、母親の方は非常な
剣幕
(
けんまく
)
で、生涯楽隠居の
金蔓
(
かねづる
)
を題無しにしたと云ふ立腹です、——
女性
(
をんな
)
と云ふものは、果して
此
(
かく
)
の如く残忍酷薄なものでせうか
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
其
剣幕
(
けんまく
)
に驚きまどひて予も
慌
(
あわ
)
たゞしく
逃出
(
にげい
)
だし、
只
(
と
)
見
(
み
)
れば犬は何やらむ口に
銜
(
くは
)
へて躍り狂ふ、こは怪し口に銜へたるは
一尾
(
いちび
)
の
魚
(
うを
)
なり、そも何ぞと見むと欲して近寄れば、
獲物
(
えもの
)
を奪ふとや思ひけむ
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あまりの
剣幕
(
けんまく
)
に、とみの唇までが
蒼
(
あお
)
くなり、そっと立ちあがって
花燭
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
今にもつかみかかりそうな、趙の
剣幕
(
けんまく
)
だった。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
半眼で見て居ると其の時の
剣幕
(
けんまく
)
と云ったらない、怒髪天井を衝き、眼中血走り、後手に出刃庖丁を握って居ないばかりだ。
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
お藤は、
所作
(
しょさ
)
そのままの手でぴたりとおさえておいて、
凄味
(
すごみ
)
に冷え入る
剣幕
(
けんまく
)
をおさよへあびせた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
小学校の四年生の妹のマリ子はあまり受付がひどい
剣幕
(
けんまく
)
なので、もうかえりたくなった。
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
夫の
剣幕
(
けんまく
)
がひどいので拒む訳にも行かぬ。お花は渋々例の写真を持って来る。宗三は、それを、お花の目の前で、さも憎々しく、ズタズタに引きさくと、火鉢の中へくべて了った。
接吻
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
さて黒川孝藏は
酔払
(
よっぱら
)
っては居りますれども、
生酔
(
なまえい
)
本性
(
ほんしょう
)
違
(
たが
)
わずにて、
彼
(
か
)
の若侍の
剣幕
(
けんまく
)
に恐れをなし、よろめきながら二十歩ばかり逃げ出すを、侍はおのれ
卑怯
(
ひきょう
)
なり、口程でもない奴
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私
(
わたし
)
が、お
腹
(
なか
)
が
減
(
へ
)
って、なにか、あなたの
食
(
た
)
べ
残
(
のこ
)
しにでもありつこうと
思
(
おも
)
って、
勝手
(
かって
)
もとへ
顔
(
かお
)
を
出
(
だ
)
すと、あなたは、
飛
(
と
)
びつきそうな、
怖
(
おそ
)
ろしい
剣幕
(
けんまく
)
をして、
威
(
おど
)
されたことを
忘
(
わす
)
れはなさらないでしょうね。
小ねこはなにを知ったか
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
が、そうした事に不慣れの彼女は
僅
(
わずか
)
一束の紙幣を抜きとるのに可成の時間を費したらしく、ふと気がついた時には、いつの間にか、うしろにトランクの主が恐しい
剣幕
(
けんまく
)
で立ちはだかっていたのです。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その、あべこべに母を叱りつけるような
剣幕
(
けんまく
)
には幸子も
呆
(
あき
)
れて
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
品川は非常な
剣幕
(
けんまく
)
で、青木の腕を掴まんばかりにして尋ねる。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“剣幕”の意味
《名詞》
剣幕(けんまく)
(「険悪」の連声と言われるも未詳)激しく怒った顔つきや態度。
(出典:Wiktionary)
剣
常用漢字
中学
部首:⼑
10画
幕
常用漢字
小6
部首:⼱
13画
“剣”で始まる語句
剣
剣呑
剣戟
剣突
剣橋
剣山
剣術
剣菱
剣舞
剣槍