しょ)” の例文
旧字:
ただし、君は旧幕府の末世まっせにあたりて乱にしょし、また維新の初において創業に際したることなれば、おのずから今日の我々に異なり。
徳育如何 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ありますとも、其処そこが臨機応変、仏教のいわゆる、「しょ」に適する方法に於いて原則を実地に応用しなければなりません。
慈悲 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その境遇にしょし、その信ずるところを行なうて、それで満足し安心し、そして勉励べんれいしている。彼はけっして自分と他人とを比較しない。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
いま十五少年諸君の行動をけんするに、なんしょしてくっせず、事にのぞんであわてず、われわれおとなといえども及びがたきものがすこぶる多い。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「もう何もかも君に話します。まったくほんとうなのです。悪人山ノ井はとらえられた上、極刑きょくけいしょせられるでしょう」
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「廷尉のたわごと、いかにとはいえ、このままには打捨ておかれません。わけてお味方の結束を第一とする今。重罰じゅうばつしょすべきものかとぞんじまするが」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゆえに一家に事あり、これにしょするは男子の任であるが、その動機はあるいは女性に起こることが少なくない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
『五うん』もない、『十二しょ』もない、『十八界』もない、『十二因縁』もない、『四たい』もないと、聞いてみれば、なるほど『一切は空だ』ということがわかる。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
これに反して他の二カしょでヂロと載せているのは(肥後ひご信濃しなの)、ヂとジとの差異を聴き分けたのではなくて、おそらくジロは地炉だという学問が干渉したものである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
まもなく裁判さいばんは決まった。かれは二か月の禁固きんこと、百フランの罰金ばっきんしょせられることになった。
宣教師排斥はいせきが一の流行になった時代にしょして、いからず乱れず始終一貫同志社にあって日本人の為に尽し、「吾生涯即吾遺言也」との訣辞けつじを残して、先年終に米国にかれた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それを上等にしますと、豚の脂身あぶらみを二、三分位の厚さに切ってなるたけ大きく鳥の上へ載せて焼きます。モー一層上等にすると鳥の肉をいくしょも切って豚の脂身をし込みます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
あるものは南の方へ、或ものは北の方へ、また西の方へ、東の方へ、てんでんばらばらになって、この風のない、そらの晴れた、くもりのない、水面のそよそよとした、静かな、おだやかな日中ひなかしょして
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まずちょっとこんなふうに差別さべつされるようだが、近い周囲をあいまいにしてしょするということが、けっしてほこるべきことではなかろう。結局けっきょく主人は、花前にまなぶところがおおいなと考えた。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
不和ふわのあひだに身をしょして
悲しき玩具 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
阪井の乱暴については何人なんぴとも平素憤慨ふんがいしていることである。人々は口をそろえて阪井を退校にしょすべきむねを主張した。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
しかるに何事についても消極的に世にしょすれば、どれほど広き世間もただただ狭苦せまくるしくなるのみで
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
人には人の世にしょする考え方や生き方もみなちがう。彼はこの山間に、凡々とただ生を安んじて来たひとりに過ぎない。たとえば、岩間の石楠花しゃくなげかつつじの如きものだ。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これから、われわれの仲間を一匹たりとも殺した人間は死刑にしょする」
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「善く身をしょする者は、必らず世に処す。善く世に処せざるは、身をぞくする者なり。善く世に処する者は、必らずげんに身を修む。げんに身を修めざるは世にぶる者なり」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
わしが領主であっても、断乎だんことして、彼を厳科げんかしょし、四民の見せしめに、八ツ裂きにせずにはおかない。彼に、地をくぐすべがあれば、草の根を掻きわけても、引ッ捕えて磔刑はりつけにかける。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「被告ヲ懲役ちょうえき五年ニしょス!」
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)