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内訌
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ないこう
ふりがな文庫
“
内訌
(
ないこう
)” の例文
車が大學の門前を過ぎる時、自分は又もや十年前の憤慨の歴史を追想した。よく世間に傳へられる陋劣な教授連の
内訌
(
ないこう
)
を想像した。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その他すべて今日の我々青年がもっている
内訌
(
ないこう
)
的、自滅的傾向は、この理想
喪失
(
そうしつ
)
の悲しむべき状態をきわめて明瞭に語っている。
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
ちょうどそのころに今川氏に
内訌
(
ないこう
)
が起こり、外からの干渉をも受けそうになっていたのを、この浪人が政治的手腕によってたくみに解決し
埋もれた日本:――キリシタン渡来文化前後における日本の思想的情況――
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
この間、藤原氏の勢力一層はびこり、時に
内訌
(
ないこう
)
はあったが、仲麻呂を中心とする一族はいよいよ強固に政治の
中枢
(
ちゅうすう
)
をかためた。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
朝から晩まで一と間にこもつて、
古聖賢
(
こせいけん
)
の有難い經書史書から、黄表紙、好色本、小唄、
淨瑠璃
(
じやうるり
)
本までを
渉
(
あさ
)
りつくし、智慧と理窟が
内訌
(
ないこう
)
して
銭形平次捕物控:158 風呂場の秘密
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
用人の一人は詰腹を切らされた。そのほかに閉門や御役御免などの処分をうけた者もあって、この
内訌
(
ないこう
)
も無事に解決した。
半七捕物帳:33 旅絵師
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もっとも、すべてこれらの問題は目新しいものでもなければ、とつぜん起こったものでもなく、ずっと以前から
内訌
(
ないこう
)
している古いものであった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
遠くは紀州と一橋との将軍継嗣問題以来、苦しい反目を続けて来た幕府の内部は、ここにもその
内訌
(
ないこう
)
の消息を語っていた。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彦十は、日吉に分る程度に、斎藤一門の
内訌
(
ないこう
)
と、美濃の
紛乱
(
ふんらん
)
している実状とを、ざっと、次のように
掻
(
か
)
いつまんで語った。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もしも我が政府部内の者が互いに反目して争って居るこの
内訌
(
ないこう
)
を外国人が知ったならばじきに攻めて来るかも知れない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
それが父には
暢気
(
のんき
)
な言いごとと聞こえるのも彼は承知していないではなかった。父ははたして
内訌
(
ないこう
)
している不平に油をそそぎかけられたように思ったらしい。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
洋人來航するに及んで、
物議
(
ぶつぎ
)
紛々
(
ふん/\
)
、東攻西
撃
(
げき
)
して、
内訌
(
ないこう
)
嘗て
戢
(
をさま
)
る時なく、終に外國の
輕侮
(
けいぶ
)
を
招
(
まね
)
くに至る。此れ
政令
(
せいれい
)
二
途
(
と
)
に出で、天下耳目の
屬
(
ぞく
)
する所を異にするが故なり。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
一生涯部下の諸将を初め肉親との
内訌
(
ないこう
)
に苦しみ、血で血を洗ふが如き骨肉相剋をつゞけてゐる。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
そうなると、いよいよ、島津の
内訌
(
ないこう
)
は、天下に知れ渡って、これがためのみでも、転封されるかも知れん。それよりも、今暫く——機をみて、お前に、譲ろうと思うが——
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
紀元前八十八年ズルラ
政柄
(
せいへい
)
を得つる時、マリウスこれと兵馬の權を爭ふ。所謂第一
内訌
(
ないこう
)
是なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
実に何んともいいようのない
疼痛
(
とうつう
)
を感じて、いても
起
(
た
)
ってもいられない位……
僂麻質斯
(
リューマチス
)
とか、神経痛とかいうのでもなく何んでも
啖
(
たん
)
が
内訌
(
ないこう
)
してかく全身が痛むのであるとかで
幕末維新懐古談:50 大病をした時のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
新撰組の
内訌
(
ないこう
)
もこれで片がついて、芹沢の子分は二三人、姿をくらました者もあった。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そうしたら彼奴を軍師として、
内訌
(
ないこう
)
多いと噂に聞く木曽義明を攻めようと思う。良将は容易に得難いものだ。殺すなどとはもっての外だ。……お前達はその
意
(
つもり
)
で、よく兵を練るがよい
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
術策をもって業となし、他国に
内訌
(
ないこう
)
を謀り自家の勢力伸長のみを念としている。
決戦川中島 上杉謙信の巻:――越後守安吾将軍の奮戦記――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
私は書きたい材料をウンウン云うほどペン軸に
内訌
(
ないこう
)
させたまま山の中に引込んで、そんな材料をポツポツペン軸から絞り出して行くうちに、山の中特有の孤独な、静寂な環境のせいでしょうか。
スランプ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
弾正が片倉小十郎に因って政宗に援を請うたところから紛糾した大崎家の
内訌
(
ないこう
)
が、伊達対大崎の戦となり、伊達が勝てば氏家弾正を
手蔓
(
てづる
)
にして大崎を呑んで
終
(
しま
)
おうということになったのである。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「里見のは乱暴の
内訌
(
ないこう
)
ですか」
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すなわち、足利方の
内訌
(
ないこう
)
がそれで、直義と師直との
軋轢
(
あつれき
)
は、両者の凱旋を機としていよいよ激化し出して来たかの様相がこの春は一ばい
濃
(
こ
)
かった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次の姿を見ると、競争意識が一ぺんに
内訌
(
ないこう
)
して、サッと顔を曇らせるといった男です。
銭形平次捕物控:070 二本の脇差
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
内訌
(
ないこう
)
が起つたとか起りさうだとか云ふ事を、「毎日」子が何かの
序
(
ついで
)
に仄めかした時、大川氏と須藤氏が
平生
(
いつ
)
になく朝早く社にやつて来て、主筆と三人応接室で半時間も密議してから
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
(当家は代々、
内訌
(
ないこう
)
によって、いい家来を失うが、いつまで、この風が止まぬのか)
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
或ときは四層の屋の
棟
(
むね
)
に
騎
(
の
)
り、或ときは窓より窓にわたしたる板を
踐
(
ふ
)
みて、人の膽を寒からしめき。凡そこの學校國に、
内訌
(
ないこう
)
起りぬといふときは、其責は多く此人の身に歸することなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
衝動はいたずらに
内訌
(
ないこう
)
するばかりだった、彼は急いだ、大通りを南へと。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
一族の中の
内訌
(
ないこう
)
相次ぎ、北條氏の衰運は、著るしいものがあつた。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「
内訌
(
ないこう
)
あるとは承わっておれど……」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「里見のは乱暴の
内訌
(
ないこう
)
ですか」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
いつのばあいでも、
内訌
(
ないこう
)
は敵をよろこばすだけのものだが、直義対師直の
軋轢
(
あつれき
)
ほど、「待っていたもの」と、南朝方を勇気づけたものはあるまい。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれどこんな言い方は、兄弟同士の、いわば感情の
内訌
(
ないこう
)
に過ぎないもので、それを表面に出すほど彼もおろかな弟ではなかった。むしろ、表面では
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
北畠の家中へも、徳川方の内部へもかれはあらゆる機会をとらえては、
内紛
(
ないふん
)
と
内訌
(
ないこう
)
の
素因
(
そいん
)
を植えて来たのである。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いずれにせよ、南朝方のよろこぶ足利家の
内訌
(
ないこう
)
は、これによって大きな肉の裂け目を、
白日
(
はくじつ
)
にさらしてしまった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
曹操は著名な兵略家ですから、わざとそういう者を探して、お味方の
内訌
(
ないこう
)
を計らんとしたかも知れません。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日幡の城はすでに
病
(
やまい
)
を内に持っていたものだった。小西弥九郎を躍らせた秀吉の策は、単にその患部へ外から熱を加えたにすぎない。果然、
内訌
(
ないこう
)
の疾患は遂に
膿
(
うみ
)
を出した。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四国の政治的変化や、信長の遺臣中にも必然起るであろう
内訌
(
ないこう
)
と自壊作用などを待って、おもむろに陣容をかため、ここに玉砕を選ぶよりは、万全な戦いをなすべきではあるまいか。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一つの世界では、
爛熟
(
らんじゅく
)
が早い、腐敗に陥りやすい、人間の闘争本能の吐け口が
内訌
(
ないこう
)
する、予測せぬ不満がまた起るでしょう。そしてついに再び
自潰
(
じかい
)
を起し、また再分裂の作用をかもし出す。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まず、国内の
患
(
うれ
)
いを
癒
(
い
)
やし、辺境の兵馬を強め、河川には船を造らせ、武具糧草をつみ蓄えて、おもむろに機を待てば、かならず三年のうちに、自然、許都の内より
内訌
(
ないこう
)
の
兆
(
きざ
)
しがあらわれよう。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平常の
内訌
(
ないこう
)
は、こういう時、収拾のつかない混乱となって現われた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“内訌”の意味
《名詞》
内訌(ないこう)
組織内でのいざこざ、紛争。内紛。内輪揉め。
(出典:Wiktionary)
内
常用漢字
小2
部首:⼌
4画
訌
漢検1級
部首:⾔
10画
“内”で始まる語句
内
内儀
内部
内々
内証
内外
内裏
内證
内密
内輪