中年増ちうどしま)” の例文
めた、面長おもながの、目鼻立めはなだちはつきりとした、まゆおとさぬ、たばがみ中年増ちうどしま喜藏きざう女房にようばうで、おしなといふ。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一軒いつけん煮染屋にしめやまへちて、買物かひものをして中年増ちうどしま大丸髷おほまるまげかみあまたんだる腕車くるまして、小僧こぞう三人さんにんむかうより來懸きかゝりしが、私語しごしていはく、ねえ、年明ねんあけだと。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なかはさまれたのは、弱々よわ/\と、くびしろい、かみい、中年増ちうどしまおもをんなで、りやうかたがげつそりせて、えり引合ひきあはせたそでかげが——せたむねさう乳房ちぶさまでとほるか、と薄暗うすぐらく、すそをかけて
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あのさかあがぐちところで、うへからをとこが、あがつて中年増ちうどしまなまめかしいのと行違ゆきちがつて、うへしたへ五六はなれたところで、をとここゑけると、なまめかしいのはぐに聞取きゝとつて、嬌娜しなやか振返ふりかへつた。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
にじつた中年増ちうどしまくもなか見失みうしなつたやうな、蒋生しやうせいとき顏色がんしよくで、黄昏たそがれかゝるもんそとに、とぼんとしてつてたり、くびだけしてのぞいたり、ひよいととびらかくれたり、しやつきりとつて引返ひつかへしたり
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)