一撃いちげき)” の例文
これ最も危険なる最も愉快ゆかいなる場合にしてこの時の打者の一撃いちげきは実に勝負にも関すべく打者もし好球をたば二人の廻了ホームインを生ずることあり
ベースボール (新字新仮名) / 正岡子規(著)
最早もはやうたがこと出來できぬ、海蛇丸かいだまるいま立浪たつなみをどつて海水かいすいあさき、この海上かいじやう弦月丸げんげつまる一撃いちげきもと撃沈げきちんせんと企圖くわだてゝるのだ。
彼はこのほがらかな響を聞いて、はっとさとったそうです。そうして一撃いちげき所知しょちうしなうと云って喜んだといいます。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかしてのちある義士ぎし一撃いちげきたほれたりとかば事理分明じりぶんめいにして面白おもしろかるべしといへどもつみばつ殺人罪さつじんざいは、この規矩きくにははづれながら、なほ幾倍いくばい面白味おもしろみそなへてあるなり。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
X号は博士を一撃いちげきのもとにたたき殺そうとしてこぶしをふりあげた。が、そのときひどい神経痛しんけいつうのようなものがX号の右半身に起こったので、腕がしびれて動かなくなった。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ぐいと拍車を両の脇腹わきばらへ入れて、にぎりこぶしで首に一撃いちげきを加えたのである。……
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
反高そりだかの青かまきりを打つべくは一撃いちげきにしてその斧ともに
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その友はかれそびら一撃いちげきくらわして
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『そ、そんなにつよいのですか。』と彌次馬やじうま士官しくわん水兵すいへいわれも/\とやつてたが、成程なるほど武村たけむらすね馬鹿ばかかたい、みな一撃いちげきもと押倒おしたをされて、いたい/\と引退ひきさがる。
漫々まん/\たる海洋かいやううへ金銀きんぎん財寳ざいほう滿載まんさいせるふねみとめたときには、ほうまた衝角しようかくをもつて一撃いちげきもとそのふね撃沈げきちんし、のち潜水器せんすいきしづめてその財寳ざいほう引揚ひきあげるさうである。