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らくくわ
二十の
春を
夢と
暮らして、
落花の
夕べに
何ごとを
思ひつきてか、
令孃は
別莊住居したき
願ひ、
鎌倉の
何處とやらに、
眺望を
撰んで
去年買はれしが、
話しのみにて
未だ
見ぬも
床かしく
未練に
惜みてとも
思召さん
苦しさよと
思ひやりては
伏し
沈み
思ひ
出してはむせ
返り
笑みとは
何ぞ
夢にも
忘れて
知るものは
人生の
憂きといふ
憂きの
數々來るものは
無意無心の
春夏秋冬落花流水ちりて
流れて
寄せ
返る
波の
年又年今日は
心の
解けやする
明日は
思ひの
離れやするあは
短かしと
暮す
心は
如何ばかり
長閑けかるらん
頃は
落花の三
月盡ちればぞ
誘ふ
朝あらしに
庭は
吹雪のしろ
妙も
流石に
袖は
寒からで
蝶の
羽うらの
麗朗とせし
雨あがり
露椽先に
飼猫のたま
輕く
抱きて
首玉の
絞り
放し
結ひ
換ゆるものは
侍女のお
八重とて
歳は
優子に一
ツ劣れど
劣らず
負けぬ
愛敬の
片靨誰れゆゑ
寄する
目元のしほの
莞爾として
手を