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にら
ふりがな文庫
“
韮
(
にら
)” の例文
さう考へて来ると、先刻まで晴やかに華やかに、昂ぶつてゐた勝平の心は、苦い
韮
(
にら
)
を喰つたやうに、不快な暗いものになつてしまつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
なかに、シベリアにはチェレムーシャという
韮
(
にら
)
に似た草があって、それをたべると壊血病の癒るということがあります。何なのでしょうね。
獄中への手紙:03 一九三六年(昭和十一年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
買主が入り込んでのちも、其栗の木は自分が植えたの、其
韮
(
にら
)
や野菜菊は内で作ったの、其
炉縁
(
ろぶち
)
は自分のだの、と物毎に
争
(
あらそ
)
うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
猪や兎の肉でも悪くはないが、
韮
(
にら
)
と
葱
(
ねぎ
)
と
人参
(
にんじん
)
を刻みこんだたれで、味付けしながら気ながに焙った鹿の肉ほど、甲斐にとってうまい物はない。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
韮
(
にら
)
六十二サンチームというので始まり葉巻き煙草五サンチームというので終わってるその薄ぎたない定価表を、白痴のようにながめてることもあった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
▼ もっと見る
地下室の番人は、
韮
(
にら
)
くさい口臭と、安煙草に
滲
(
し
)
みこんだ体を、彼のそばまで運んで来て、何か、求める顔をした。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
葱
(
ねぎ
)
や
韮
(
にら
)
にはないのが目につくというものだから、これを生活の単調を破るために、自然に生まれて来た行事の日の、名にするだけならば別に不思議はない。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
山蒜
(
やまひる
)
や
韮
(
にら
)
と同じような花であるが、大形で
而
(
しか
)
も紅紫色であるから美しい、それが多い為に地名となったものか。
白馬岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
……菜大根、
茄子
(
なすび
)
などは料理に
醤油
(
したじ
)
が
費
(
つい
)
え、だという倹約で、
葱
(
ねぶか
)
、
韮
(
にら
)
、
大蒜
(
にんにく
)
、
辣薤
(
らっきょう
)
と申す五
薀
(
うん
)
の
類
(
たぐい
)
を、
空地
(
あきち
)
中に、植え込んで、塩で弁ずるのでございまして。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
きのう
迄
(
まで
)
は、自分のからだの
匂
(
にお
)
いも、夜具やら、下着やらの臭いも、まるで
韮
(
にら
)
のようで、どんなに香水を振りかけても、我慢が出来ず、ひとりで泣いて居りました。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
支那人の
家
(
うち
)
ばかりだから
韮
(
にら
)
や
大蒜
(
にんにく
)
の
臭気
(
におい
)
がする分にはチットモ不思議はない筈であるが
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
白い蝶が二つか三つか、はっきりしない
縺
(
もつ
)
れた飛び方で、舞い下って来て、水吐けの小溝の縁の西洋
韮
(
にら
)
の花の近くで迷っている。西洋韮の白い花に白い生きものが軽く触れて離れる。
唇草
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
堆肥の間から生え出した
埃
(
ごみ
)
まみれの
韮
(
にら
)
の葉か何かを、ものぐさそうに唇でせせりながら、流し目一つ使おうとしないので、とうとう
業
(
ごう
)
を煮やしたコン吉が、赤い壇通をかなぐり捨て
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
頭の上には、
蘭
(
らん
)
を飾った
藤蔓
(
ふじづる
)
と、数条の
蔦
(
つた
)
とが
欅
(
けやき
)
の枝から垂れ下っていた。二人の臥床は
羊歯
(
しだ
)
と
韮
(
にら
)
と
刈萱
(
かるかや
)
とであった。そうして
卑弥呼
(
ひみこ
)
は、再び新らしい
良人
(
おっと
)
の腕の中に身を横たえた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
手しほ皿(奈良漬。なんばん)。ひたし(
韮
(
にら
)
)。皿(糸こん。くるみ合)。巻ずし(黒のり、ゆば)。吸物(包ゆば二つ。しひたけ。うど)。あげ物(
牛蒡
(
ごばう
)
。いも。かやのみ。くわい。柿)
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
少くとも自分は、
韮
(
にら
)
を噛むような思いをして一生を送らなければならない。しかもひろ子は一日一日と生長している! 自分と敏子との間にあるこの障害は一日一日と大きくなっているのだ。
途上の犯人
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
韮
(
にら
)
八七・七〇 二・七〇 〇・二〇 七・四〇 一・一〇 〇・九〇
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
紫蘇
(
しそ
)
の葉のむらさきを、
韮
(
にら
)
をまた踏みにじりつつ
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
韮
(
にら
)
——きっと、また
石竹
(
せきちく
)
のやつだ。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
冬ざれや北の
家陰
(
やかげ
)
の
韮
(
にら
)
を刈る
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
地は
韮
(
にら
)
をもて青みたりき。
スカンヂナヴィア文学概観
(旧字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
牛のしつぽに
韮
(
にら
)
を刻む。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
そう考えて来ると、先刻まで晴やかに華やかに、
昂
(
たか
)
ぶっていた勝平の心は、苦い
韮
(
にら
)
を喰ったように、不快な暗いものになってしまった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「そうかも知れません……。いやそうだ」石念は、
韮
(
にら
)
や
野芹
(
のぜり
)
を
摘
(
つ
)
み入れてある籠を抱えた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
街道を突っ切って
韮
(
にら
)
、
辣薤
(
らっきょう
)
、
葱畑
(
ねぶかばたけ
)
を、さっさっと、化けものを見届けるのじゃ、静かにということで、婆が出て来ました
納戸口
(
なんどぐち
)
から入って、中土間へ忍んで、指さされるなりに
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いきなり
韮
(
にら
)
臭せえ息かなんかふわアと吹っかけておいて、こっちが目が
眩
(
くら
)
んでぼうとしているのを見すますと、今度は
足搦
(
あしがら
)
みにして投げ出して、さんざ踏んづけたうえ、おまけにアンタ
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
見ると、妻の髮に白い
韮
(
にら
)
の花がこの朝早くから刺さつてゐた。
妻
(旧字旧仮名)
/
横光利一
(著)
泣けば…………ころべば…………
韮
(
にら
)
の葉が…………
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
が、それと同時に、
韮
(
にら
)
を噛むやうな嫉妬が、ホンの僅かではあるが、心の裡に萌して来るのを、何うすることも出来なかつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「ひと休みしよう」籠に
摘
(
つ
)
んだ
韮
(
にら
)
や
蕗
(
ふき
)
をそばへ置いて、
石念
(
じゃくねん
)
と西仏は、崖の中途に腰をおろした。山すその部落は紫いろに煙っているし、木々の芽はほの
紅
(
あか
)
く天地の力を点じている。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
髮のけの青かりしかな、
韮
(
にら
)
の香の
噎
(
むせび
)
さへしつ。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
が、それと同時に、
韮
(
にら
)
を
噛
(
か
)
むような
嫉妬
(
しっと
)
が、ホンの
僅
(
わず
)
かではあるが、心の裡に
萌
(
きざ
)
して来るのを、
何
(
ど
)
うすることも出来なかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「もうよいでしょう」師の御房は、
韮
(
にら
)
がお好きだ。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
青年との散歩が、悲しい幻滅に終つてから、避暑地生活は、美奈子に取つて、喰はねばならぬ苦い苦い
韮
(
にら
)
になつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
青年との散歩が、悲しい
幻滅
(
げんめつ
)
に終ってから、避暑地生活は、
美奈子
(
みなこ
)
に取って、喰わねばならぬ苦い苦い
韮
(
にら
)
になった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
が、そこに雄吉にとって食うべき最初の
韮
(
にら
)
があった。青木は雄吉の予期とは反対に、雄吉を敬遠し始めた。
青木の出京
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
が、雄吉の食らうべき第二の
韮
(
にら
)
は、もうそこに用意されていた。雄吉が京都に来た翌年の春であった。
青木の出京
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
“韮(ニラ)”の解説
ニラ(韮・韭、学名: Allium tuberosum)は、ネギ属に属する多年草。中国原産で欧米では栽培されておらず東洋を代表する野菜である。
(出典:Wikipedia)
韮
漢検準1級
部首:⾲
12画
“韮”を含む語句
韮崎
辣韮
韮生
韮山
韮城
韮山笠
韮山風
韮麺麭
韮雑炊
韮葱
韮粥
韮畠
韮畑
韮才
韮崎庄平
上韮生
韮山様
韮山城
韮付焼麺麭
臭韮
...