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霖雨
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ながあめ
ふりがな文庫
“
霖雨
(
ながあめ
)” の例文
霖雨
(
ながあめ
)
の候の
謹身
(
ツヽミ
)
であるから「ながめ忌み」とも「
雨
(
アマ
)
づゝみ」とも言うた。後には、いつでもふり続く雨天の籠居を言うようになった。
水の女
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
じめじめと
霖雨
(
ながあめ
)
の降り続いた後の日に、曾て岸本がこの墓地へ妻を葬りに来た当時の記憶は、
復
(
ま
)
た彼の
眼前
(
めのまえ
)
に帰って来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
毎日毎日、気がくさくさするような
霖雨
(
ながあめ
)
が、灰色の空からまるで
小糠
(
こぬか
)
のように降り
罩
(
こ
)
めている
梅雨時
(
つゆどき
)
の夜明けでした。
穴
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
何
(
なん
)
と……
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
を
昨年
(
さくねん
)
も
見
(
み
)
た。……
篤志
(
とくし
)
の
御方
(
おかた
)
は、
一寸
(
ちよつと
)
お
日記
(
につき
)
を
御覽
(
ごらん
)
を
願
(
ねが
)
ふ。
秋
(
あき
)
の
半
(
なかば
)
かけて
矢張
(
やつぱ
)
り
鬱々
(
うつ/\
)
陰々
(
いん/\
)
として
霖雨
(
ながあめ
)
があつた。
三日
(
みつか
)
とは
違
(
ちが
)
ふまい。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
霖雨
(
ながあめ
)
で、
大谷川
(
だいやがわ
)
の激流に水が出たということが、新聞で解った時、叔母は蒼くなって心配した。そしてお庄と一緒に良人の安否を八方へ聴き合わした。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
霖雨
(
ながあめ
)
も終りに近い一日だつた、その日僕達は、東京へ行く電車に乗つた。僕達の正面に、常ならば僕に礼儀を強ふるであらう、綺麗な婦人が乗つてゐた。
海の霧
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
康煕
(
こうき
)
年間のある秋に
霖雨
(
ながあめ
)
が降りつづいて、公の祠の
家根
(
やね
)
からおびただしい雨漏りがしたので、そこら一面に
湿
(
ぬ
)
れてしまったが、不思議に公の像はちっとも湿れていない。
中国怪奇小説集:15 池北偶談(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
上州
曽木
(
そき
)
の
高垣明神
(
たかがきみょうじん
)
では、社の左手に清い泉がありました。
旱
(
ひでり
)
にも
涸
(
か
)
れず、
霖雨
(
ながあめ
)
にも濁らず、一町ばかり流れて大川に落ちますが、その間に住む
鰻
(
うなぎ
)
だけは皆片目であった。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
霖雨
(
ながあめ
)
でぬかるむ青草まじりの
畦道
(
あぜみち
)
を、綱渡りをするように、ユラユラと踊りながら急いで行くと、オールバックの下から見える、白い首すじと手足とが、逆光線を反射しながら
空を飛ぶパラソル
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それから
四年※
(
よねんす
)
ぎての
今
(
いま
)
、
圖
(
はか
)
らずも
貴方
(
あなた
)
に
再會
(
さいくわい
)
して、いろ/\のお
話
(
はなし
)
を
伺
(
うかゞ
)
つて
見
(
み
)
ると、まるで
夢
(
ゆめ
)
のやうで、
霖雨
(
ながあめ
)
の
後
(
のち
)
に
天日
(
てんじつ
)
を
拜
(
はい
)
するよりも
嬉
(
うれ
)
しく、たゞ/\
天
(
てん
)
に
感謝
(
かんしや
)
するの
他
(
ほか
)
はありません。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
もののくされであり、やまひであり、うまれである この
霖雨
(
ながあめ
)
のあし
藍色の蟇
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
霖雨
(
ながあめ
)
のうちに、六月が過ぎて、やはり煙つた七月が来た。すると僕は、もはや六月の僕でなかつた。
海の霧
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
その後にもここに都するの議がおこって、宋の太祖の
開宝
(
かいほう
)
末年に一度行幸の事があったが、何分にも
古御所
(
ふるごしょ
)
に怪異が多く、又その上に
霖雨
(
ながあめ
)
に逢い、
旱
(
ひでり
)
を
祷
(
いの
)
ってむなしく帰った。
中国怪奇小説集:11 異聞総録・其他(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
蒸暑
(
むしあつ
)
かつたり、
涼
(
すゞ
)
し
過
(
す
)
ぎたり、
不順
(
ふじゆん
)
な
陽氣
(
やうき
)
が、
昨日
(
きのふ
)
も
今日
(
けふ
)
もじと/\と
降
(
ふ
)
りくらす
霖雨
(
ながあめ
)
に、
時々
(
とき/″\
)
野分
(
のわき
)
がどつと
添
(
そ
)
つて、あらしのやうな
夜
(
よる
)
など
續
(
つゞ
)
いたのが、
急
(
きふ
)
に
朗
(
ほがら
)
かに
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
つた
朝
(
あさ
)
であつた。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
二十日ばかりもジメジメと降り続いた天気が、七月の十二日に成って
漸
(
ようや
)
く晴れた。
霖雨
(
ながあめ
)
の後の日光は
殊
(
こと
)
にきらめいた。長いこと煙霧に隠れて見えなかった遠い山々まで、
桔梗
(
ききょう
)
色に
顕
(
あら
)
われた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
霖
漢検1級
部首:⾬
16画
雨
常用漢字
小1
部首:⾬
8画
“霖雨”で始まる語句
霖雨季
霖雨後