かぞ)” の例文
斎部広成いんべのひろなりの古語拾遺に、「秦・漢・百済内附の民、各々万を以てかぞふ。褒賞すべきに足れり。皆其の祠あれども、未だ幣の例に預らず。」
これの件々は逐一ちくいちかぞうるにいとまあらず。到底とうてい上下両等の士族はおのおのその等類の内に些少さしょう分別ぶんべつありといえども、動かすべからざるものに非ず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そして指をおってかぞえた。それは蓮香のくる約束の日を計えるところであった。約束の十日はもう来ていた。李は言った。
蓮香 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
代価を払われると私は、その金を引ッつかんだままかぞえもせずに店を出た。そしてまた人込みの中に自分の身をかくした。
猿果てたる姿見た者なし、当社の使者奇妙の働き〈古今げてかぞうべからず〉という(『日吉社神道秘密記』)。
府庫ふこうちには蜀江しよくこうにしき呉均ごきんあや氷羅ひようら罽氈せん雪穀せつこく越絹ゑつけんあげかぞふべからず。わう、こゝにおい傲語がうごしていはく、われうらむらくは石崇せきそうざることを、石崇せきそうまたしからんと。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
斬に処し若くば死を賜える者かぞうるに勝えぬではない歟、露国革命運動に関する記録を見よ、過去四十年間に此運動に参加せる為め、若くば其嫌疑の為めに刑死せる者数万人に及べるではない歟
死生 (新字新仮名) / 幸徳秋水(著)
かぞふるにいとまあらず
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西洋の文明はわが国の右に出ずること必ず数等ならんといえども、けっして文明の十全なるものにあらず。その欠点をかぞうれば枚挙にいとまあらず。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
仏典にはこれを一女の故を以て十八がい(今のかぞえ方で百八十億)の大衆を殺した喧嘩ばかり書いた詰まらぬ物とけなし、『六度集経』にも羅摩を釈尊、私陀をその妻瞿夷くい
古来和漢にて孝行を勧めたる話ははなはだ多く、『二十四孝』をはじめとしてそのほかの著述書もかぞうるにいとまあらず。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
人間の男女も端なく其名籍の中にかぞえられ、男は陽性、女は陰性と、勝手次第に鑑定せられたるのみ。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
すなはその二十分時ぶんじとは長針ちやうしんの十二ところいたまで二十分時ぶんじあるとふことにて、いづれも長針ちやうしんは十二もとにし盤面ばんめんにある六十のてんかぞへて何時なんじ何分時なんぶんじふことをるべし。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
其外そのほか便利べんりは一々かぞあぐるにおよばざることなり。たゞ此後このゝち所謂いはゆる晦日みそかつきることあるべし。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
一朱銀の数もかぞえず私の片手に山盛り一杯金をれたから、深く礼をうにも及ばず、何はさて置き早速さっそく朋友を連れて築地の料理茶屋にいって、思うさま酒を飲ませたことがある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
謹慎勉強は人類の常なり、これを賞するに足らず、人生の約束は別にまた高きものなかるべからず。広く古今の人物をかぞえ、誰に比較して誰の功業に等しきものをなさばこれに満足すべきや。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
世間一体そう云うふうになりたいとは思えども、さて自分には小面倒こめんどう臭い、ソンな事にドタバタするよりか、金は金で仕舞しまっおいて、払うときにはその紙幣さつかぞえて渡してると、う云う趣向にして
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
かぞえて見ると高さんは七歳でしたろうに、恐ろしい古い話です。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)