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見識
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けんしき
ふりがな文庫
“
見識
(
けんしき
)” の例文
使いますのは、酒買いに行く小狸のいたずらで、わたしどもは、そんな
見識
(
けんしき
)
のないことはいたしません。禿狸の
沽券
(
こけん
)
にかかわります
顎十郎捕物帳:17 初春狸合戦
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「會ふも會はないもあるものか、俺にそんな
見識
(
けんしき
)
があるわけは無い。若い娘さんを岡ツ引の門口に立たせて置く奴があるものか」
銭形平次捕物控:147 縞の財布
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし
一
(
ひ
)
と
見識
(
けんしき
)
ある彼の特長として、自分にはそれが
天真爛漫
(
てんしんらんまん
)
の子供らしく見えたり、または玉のように
玲瓏
(
れいろう
)
な詩人らしく見えたりした。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見識
(
けんしき
)
と
迂闊
(
うくわつ
)
は
同根也
(
どうこんなり
)
、
源平
(
げんぺい
)
の
桃也
(
もゝなり
)
馬鹿
(
ばか
)
のする事なり。
文明
(
ぶんめい
)
は
銭
(
ぜに
)
のかゝらぬもの、腹のふくるゝものを求めて
止
(
や
)
まざる事と
相見
(
あひみ
)
え
申候
(
まうしそろ
)
。(十四日)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
気象
(
きしょう
)
によっては、こんな男と言葉を交すのでさえも
見識
(
けんしき
)
にさわるように思うのであるに、この女は、それと
冗談口
(
じょうだんぐち
)
をさえ利き合って平気でいます。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
しかし彼女には武士の娘という
見識
(
けんしき
)
と、貞操を護る懐剣とがあった。魔ものの爪が伸びようとすれば、咄嗟に死を示す。それにはさすがの毒牙も持て余した。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
落語家
(
らくごか
)
の
見識
(
けんしき
)
からすると、『
新玉
(
あらたま
)
の』は
本統
(
ほんたう
)
の
發句
(
ほつく
)
だが、『
目
(
め
)
の
玉
(
たま
)
の』は
無茶
(
むちや
)
な
句
(
く
)
だとして、それで
聽衆
(
ちやうしう
)
を
笑
(
わら
)
はせようとするんだが、
俺
(
おれ
)
の
見
(
み
)
る
所
(
ところ
)
は
之
(
これ
)
に
異
(
こと
)
なりだ。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
「ほんとうの
名人
(
めいじん
)
というものは、みんな
後
(
あと
)
になってからわかるのだ、
見識
(
けんしき
)
が
高
(
たか
)
かったとでもいうのだろう。」と、その
話
(
はなし
)
の
相手
(
あいて
)
はさながら、
名人
(
めいじん
)
が、その
時代
(
じだい
)
では
さかずきの輪廻
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それは、
耳食
(
じしよく
)
といふ
言葉
(
ことば
)
で、
人
(
ひと
)
がおいしいといふのを
聞
(
き
)
くとおいしいと
思
(
おも
)
ふのは、
口
(
くち
)
で
食
(
た
)
べるのではなくて、
耳
(
みゝ
)
で
食
(
た
)
べるのだ。
見識
(
けんしき
)
がないといふ
意味
(
いみ
)
に
使
(
つか
)
つてゐます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「冗談は兎に角、学があると義太夫を覚えないなんて仰有ると、あなたの
見識
(
けんしき
)
にかゝわりますよ」
心のアンテナ
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
嘉川家の
御用人
(
ごようにん
)
平左衞門殿の申さるゝには御
手討
(
てうち
)
になりたる者ゆゑ此方にて
取置
(
とりおき
)
たり
然樣
(
さやう
)
存
(
ぞん
)
ずべしとのことで御座りましたが其平左衞門と申人は
恐
(
おそろ
)
しい人で
大層
(
たいそう
)
な
見識
(
けんしき
)
にて私しを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
なかなか、ゆずらない。戸主の
見識
(
けんしき
)
というものかも知れない。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
お
屋敷者
(
やしきもの
)
の
見識
(
けんしき
)
とでもいうのであろうか。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
世間には例のないことではなく、一
概
(
がい
)
に女郎と申すと安くなりますが、花魁となると
見識
(
けんしき
)
の高いもので御座います。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし出るのは
見識
(
けんしき
)
に
拘
(
かか
)
わるというんでしょう。私から云えば、そう見識ばるのが取りも直さずあなたの臆病なところなんですよ、
好
(
よ
)
ござんすか。なぜと云って御覧なさい。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
……加代姫さまといやア、大名のお姫さまの中でも一といって二とさがらねえ
見識
(
けんしき
)
の高いお方。毎朝、手洗の金蒔絵の
耳盥
(
みみだらい
)
をそのたびにお使いすてになるというくらいの癇性。
顎十郎捕物帳:21 かごやの客
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
と堀尾君はいつもと違って、
見識
(
けんしき
)
に
超越
(
ちょうえつ
)
していた。明日は一日支度で忙しい。夜分は同郷の先輩岡村さんを訪れる。して見ると、今晩で当分お別れになる。但し
明後日
(
あさって
)
は日曜だ。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お茂与は「私が余計なことをしたと思われると、皆んなに
辛
(
つら
)
く当られますから」と
尤
(
もっと
)
もなことを言って裏口へ廻り、平次と八五郎は十手の
見識
(
けんしき
)
を真っ向に
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「待っている方が
見識
(
けんしき
)
がある?」
田園情調あり
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お茂與は『私が餘計なことをしたと思はれると、皆んなに
辛
(
つら
)
く當られますから』と尤もなことを言つて裏口へ廻り、平次と八五郎は十手の
見識
(
けんしき
)
を眞つ向に
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
見識
(
けんしき
)
ってものがありますよ」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
御藥園の
見識
(
けんしき
)
は大したもので、若年寄直々の指令を受けなければ、町奉行では手の付けやうがありません。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「僕は
見識
(
けんしき
)
を下げたくない」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それに、重三郎はそんな大した男ぢやないし、何んとか小町に好かれさうな人柄でもない。江戸の町娘は
見識
(
けんしき
)
が高いから、親の氣に入らなくて勘當された許婚を
銭形平次捕物控:168 詭計の豆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「小艶さんは
見識
(
けんしき
)
が高くて、小屋の者なんか相手にもしませんし、小染さんは堅い一方の人でしたから」
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
父親の
見識
(
けんしき
)
が高かつたので、さだまる縁談もなく、『あれは將軍樣の
妾
(
めかけ
)
にでも出す氣だらう』
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
與力筆頭笹野新三郎が出役となれば、
多寡
(
たくわ
)
が豪士の
見識
(
けんしき
)
も文句もありません。
銭形平次捕物控:173 若様の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
公方
(
くばう
)
樣の糸脈を引く——と
大法螺
(
おほぼら
)
を吹くだけあつて、なか/\の
見識
(
けんしき
)
です。
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「わかりましたがね、あの屋敷は名題の
地獄
(
ぢごく
)
屋敷で、宵に入つたら、朝まで出られやしません。門番の
爺
(
おやぢ
)
だつて、御老中の御家來の
見識
(
けんしき
)
だから、一杯買つたくらゐぢや言ふことを聽いてくれません」
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
淺川にも、深川にもお小夜は
見識
(
けんしき
)
が高いから、素浪人や貧乏者を
銭形平次捕物控:104 活き仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いかにも如才のないその癖
見識
(
けんしき
)
は落さぬ武家でした。
銭形平次捕物控:214 鼬小僧の正体
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“見識”の意味
《名詞》
見識(けんしき)
本質を見通した判断力。しっかりした考えや見方。
気位。
(出典:Wiktionary)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
識
常用漢字
小5
部首:⾔
19画
“見識”で始まる語句
見識人
見識家
見識張
見識越