をさ)” の例文
旧字:
禿頭といふのは真野博士が色々の智識ををさめてゐる頭の事で、林伯や児玉伯や馬鈴薯じやがいも男爵などの頭と同じやうにてかてか光つてゐる。
武士たるもの二〇みだりにあつかふべからず。かならずたくはをさむべきなり。なんぢいやしき身の分限ぶげんに過ぎたるたからを得たるは二一嗚呼をこわざなり。
土地に縁のあるけリユウバンスとヷン・ダイクの作を多くをさめて居るが、巴里パリイ倫敦ロンドンで見受ける様な二の傑作は見当らない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
何うして今日墓に詣づる気になつたのか? とてもとてもさうした気持はなかつたのに——深くその秘密を胸にをさめて、楽しいにつけ苦しいにつけ
百合子 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
また本社の拝殿に一の扁額をかかぐ、神庫にをさめられし小鷹丸の艦材を刻めるものなり。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
誰でも人は胸に燃え立つ火のかたまりをさめて居るものです、火の口を明けて其を外へき出さぬ程心苦しいことはありませぬ、世の中の多くは其れを一人のかたに献げて満足するのです、けれど
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
此より山中奥の院は十八丁ありといふ故不行ゆかずして駅へ帰りければ撫院已に駅長の家に来れり。一里半関が原の駅にいたる。駅長の家に神祖陣営の図ををさむ。駅長図をひらい行行ゆく/\委細にとけり。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
直ぐ邸宅やしきの立派なのを欲しがるのと打つて変つて、今も往時むかし宿屋ホテル室借まがりで、その全財産を鞄一つにをさめてけろりとしてゐる。
案内者に導かれて地下の墓洞カバウりてくと、がんごとに学者政治家達の石棺が花に飾られてをさまつて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ごろむつまじくかたり給ふ二二殿原とのばらまうで給ひてはうむりの事をもはかり給ひぬれど、只師が心頭むねの暖かなるを見て、ひつぎにもをさめでかく守り侍りしに、今や蘇生よみがへり給ふにつきて
蘭軒は平素身辺に大小種々のはこを置いた。恐くは小什具せうじふぐを貯へ、又書紙ををさむる用に供したのであらう。起居不自由なる蘭軒が篋篚けふひの便を藉ることの多かつたのは、固よりあやしむに足らない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「御苦労/\」と川地は首肯うなづきつゝおのがポケットの底深くをさめ「れがれば大丈夫だ、早速告発の手続に及ぶよ、実に不埒ふらちな奴だ、——が、彼奴やつ、何処か旅行したさうだが、にげでもしたのぢやなからうナ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「そんな物は私達には要りません。読んだだけの書物はちやんと此処ここをさめてありますからね。」と調子に乗つて雲脂ふけだらけな頭を指さした。
数百の肖像画のみをならべた室には※ンチ、ミケランゼロ、リツピ等の肖像もあつた。ミケランゼロのデツサンやスケツチを多くをさめて居るのもに類が無からう。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
小弟けふより出雲に下り、せめては一一七骨ををさめてしんまつたうせん。一一八きみ尊体おほんみを保ち給うて、しばらくのいとまを給ふべし。老母云ふ。吾がかしこに去るとも、はやく帰りて老が心を休めよ。
椰子が其果そのみかく殻皮こくひなかをさめて
南洋館 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)