茶棚ちやだな)” の例文
それから紫檀したん茶棚ちやだなひとふたかざつてあつたが、いづれもくるひさうななまなものばかりであつた。しか御米およねにはそんな區別くべつ一向いつかううつらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
三畳の方は茶の間になツてゐて、此處には長火鉢ながひばちゑてあれば、小さなねずみいらずと安物やすもの茶棚ちやだなも並べてある。はしらには種々なお札がベタ/\粘付はりつけてあツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
らつしやいまし、と四十恰好しじふかつかうの、人柄ひとがらなる女房にようばうおくよりで、して慇懃いんぎん挨拶あいさつする。南無三なむさんきこえたかとぎよつとする。こゝおいてか北八きたはち大膽だいたんに、おかみさん茶棚ちやだなはいくら。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「このせつこツたから………。」おとよはふと気がついたやうに茶棚ちやだなから菓子鉢くわしばちを出して
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
桂川かつらがはまくときはおはんせな長右衞門ちやううゑもんうたはせておびうへへちよこなんとつてるか、此奴こいついお茶番ちやばんだとわらはれるに、をとこなら眞似まねろ、仕事しごとやのうちつて茶棚ちやだなおく菓子鉢くわしばちなか
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さかしたは、左右さいう植木屋うゑきや屋外をくぐわい足場あしばまうけ、半纏着はんてんぎ若衆わかもの蛛手くもでからんで、造菊つくりぎく支度最中したくさいちうなりけり。く/\フと古道具屋ふるだうぐやまへつ。彌次やじいはく、茶棚ちやだなはあんなのがいな。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)