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茶棚
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ちやだな
それから
紫檀の
茶棚が
一つ
二つ
飾つてあつたが、
何れも
狂の
出さうな
生なもの
許であつた。
然し
御米にはそんな
區別は
一向映らなかつた。
三畳の方は茶の間になツてゐて、此處には
長火鉢も
据ゑてあれば、小さなねずみいらずと
安物の
茶棚も並べてある。
柱には種々なお札がベタ/\
粘付けてあツた。
入らつしやいまし、と
四十恰好の、
人柄なる
女房奧より
出で、
坐して
慇懃に
挨拶する。
南無三聞えたかとぎよつとする。
爰に
於てか
北八大膽に、おかみさん
彼の
茶棚はいくら。
「この
節の
事たから………。」お
豊はふと気がついたやうに
茶棚から
菓子鉢を出して
桂川の
幕が
出る
時はお
半の
脊に
長右衞門と
唱はせて
彼の
帶の
上へちよこなんと
乘つて
出るか、
此奴は
好いお
茶番だと
笑はれるに、
男なら
眞似て
見ろ、
仕事やの
家へ
行つて
茶棚の
奧の
菓子鉢の
中に