トップ
>
肝胆
>
かんたん
ふりがな文庫
“
肝胆
(
かんたん
)” の例文
旧字:
肝膽
伏して観る、朝廷
陵替
(
りょうたい
)
、
綱紀
(
こうき
)
崩擢
(
ほうさい
)
、群雄国に乱るの時、悪党君をあざむくの日にあたりて、備、心肺ともに
酸
(
す
)
く、
肝胆
(
かんたん
)
ほとんど裂く。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも、この
肝胆
(
かんたん
)
あい照らしたうちとけよう。ふしぎといえばふしぎだが、男子
刎頸
(
ふんけい
)
の交わりは表面のへだてがなんであろう。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
昨日の敵と妥協否
肝胆
(
かんたん
)
相照すのは日常茶飯事であり、仇敵なるが故に一そう肝胆相照らし、
忽
(
たちま
)
ち二君に仕えたがるし、昨日の敵にも仕えたがる。
堕落論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「
肝胆
(
かんたん
)
を
砕
(
くだ
)
く」という言葉は、古人がこの二人のために残した言葉ではないかとさえ思われるほど、生活のあらゆる面について研究をかさね、
工夫
(
くふう
)
を積んだ。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「おやおや、とうとう生かしてしまった。惜しい事をしたね。まさかそこへは打つまいと思って、いささか駄弁を
振
(
ふる
)
って
肝胆
(
かんたん
)
を砕いていたが、やッぱり駄目か」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
ヤアギチは彼と知り合いになると、すっかり
肝胆
(
かんたん
)
相照すようになり、ヂェルジャヴィンがプーシキンを遇したように、大いに見込みがあると祝福するのであった。
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
同志
窃
(
ひそ
)
かに
此処
(
ここ
)
に
集
(
つど
)
いては第二の計画を建て、磯山
逃奔
(
とうほん
)
すとも
争
(
いか
)
で志士の志の屈すべきや、一日も早く渡韓費を
調
(
ととの
)
えて出立の準備をなすに
如
(
し
)
かずと、日夜
肝胆
(
かんたん
)
を
砕
(
くだ
)
くこと十数日
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
いかばかり
肝胆
(
かんたん
)
を砕いているかは御存じの通り、江戸表に於ては三文安の
喬庵
(
きょうあん
)
を押立て、十八文の看板を横取りしようとたくんだが、残念ながら物にならず、名古屋表に於ては
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
陰陽師
(
おんみょうじ
)
などが、皆それぞれに
肝胆
(
かんたん
)
を砕いて、必死の力を尽しましたが、御熱は
益
(
ますます
)
烈しくなって、やがて
御床
(
おんゆか
)
の上まで
転
(
ころ
)
び出ていらっしゃると、たちまち別人のような
嗄
(
しわが
)
れた御声で
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして周は放たれて
還
(
かえ
)
って来たが、それからはますます成と
肝胆
(
かんたん
)
を照らした。
成仙
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
父御
(
ててご
)
、母御、一家一門のかたきが討ちてえばっかりに、
肝胆
(
かんたん
)
を
砕
(
くだ
)
き、
苦艱
(
くかん
)
をかさねて来たあの人が、いよいよという瀬戸際に、つまりもしねえ女泥棒風情の、恋のうらみから、底を割られ
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
勇猛
(
ゆうみょう
)
精進潔斎怠らず、
南無帰命頂礼
(
なむきみょうちょうらい
)
と真心を
凝
(
こら
)
し
肝胆
(
かんたん
)
を砕きて三拝
一鑿
(
いっさく
)
九拝一刀、刻み
出
(
いだ
)
せし木像あり難や三十二
相
(
そう
)
円満の
当体
(
とうたい
)
即仏
(
そくぶつ
)
、
御利益
(
ごりやく
)
疑
(
うたがい
)
なしと
腥
(
なまぐさ
)
き
和尚様
(
おしょうさま
)
語られしが、さりとは浅い
詮索
(
せんさく
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「豪い人同志ですから、
肝胆
(
かんたん
)
相照らすんでございましょう?」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
章介 ひどく又
肝胆
(
かんたん
)
相照
(
あいてら
)
したものだな。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
智深
(
ちしん
)
は、その人を
莚
(
むしろ
)
に迎え、名乗りあってから、一
盞
(
さん
)
を
献
(
けん
)
じた。
漢
(
おとこ
)
は
漢
(
おとこ
)
を知り、道は道に通ずとか。二人はたちどころに、
肝胆
(
かんたん
)
相照
(
あいて
)
らして
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鰡八大尽の妾宅の
喧
(
やかま
)
しいことと言ったら、それがため夜の目も寝られないのであります。大尽から内命を下された出入りの者は、いかにしてこの暴慢なる道庵を退治すべきかに
肝胆
(
かんたん
)
を砕きました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「期せずして
肝胆
(
かんたん
)
相照らしましたな。若様がた」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
おたがい、若い頃の、
破
(
や
)
れ
垣
(
がき
)
、夕顔棚の貧乏暮しのときから、
褌
(
ふんどし
)
一ツで、
肝胆
(
かんたん
)
のかたらいもし、出ては、
莫迦
(
ばか
)
もしあい、ときには喧嘩もし
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それだけに
謂
(
い
)
わば筑前の無二の
股肱
(
ここう
)
。いや官兵衛、
御辺
(
ごへん
)
とならば、きっと
肝胆
(
かんたん
)
相照らすものがあろうぞ。
刎頸
(
ふんけい
)
を誓ったがよい
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「重々、自責しぬいてはおりまする。で、主膳めも、雪辱に
肝胆
(
かんたん
)
をくだいたすえ、何かその儀について、お耳に入れ申したいことがあるよしで」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また、半瓦の弥次兵衛は、自分の世話している婆の味方というので、
肝胆
(
かんたん
)
を照らし合うところがあり、婆は婆でまた、多くの後ろ楯に囲まれて
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
肝胆
(
かんたん
)
あい照らした、龍太郎、
小文治
(
こぶんじ
)
、民部の三人は、夜のふけるをわすれて、旗上げの密議をこらした。
果心居士
(
かしんこじ
)
は、それ以上は
一言
(
ひとこと
)
も口をさし入れない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
功臣閣の秘宮を閉じて、帝御みずからの血をもって書かれた秘勅をうけてから日夜、
肝胆
(
かんたん
)
をくだいて
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、官兵衛は
夙
(
つと
)
にその事について、眠る間も
肝胆
(
かんたん
)
をくだき、ついに一策を思いついて、おとといからそれに懸り、ようやく今、その
端緒
(
たんしょ
)
を得て、これへ
諮
(
はか
)
りに来たものであった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
事情がおわかりだったら、拙者はすぐ
蔡九
(
さいきゅう
)
の使いで、朝廷の
蔡
(
さい
)
大臣の
許
(
もと
)
まで急がねばならん。——そのうえ江州へ立ち帰り、何とか、先生の救助法に
肝胆
(
かんたん
)
をくだいてみるつもりですが
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
胸襟
(
きょうきん
)
をひらくとか、
肝胆
(
かんたん
)
相照
(
あいて
)
らすとか、ことばや形の上で、手を握ったわけでも何でもなく、不和な仲に、彼を知り、
此方
(
こちら
)
を知って、自然、男と男との
交際
(
つきあい
)
が始まって来たのであった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だから河北の
袁紹
(
えんしょう
)
なども、かつては、上賓の礼をとって、かれを迎えようとしたが、荀彧はいちど曹操と会ってから、たちまち
肝胆
(
かんたん
)
相照らして、曹操の
麾下
(
きか
)
へ進んで加わったものであった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
周瑜
(
しゅうゆ
)
を説いて降さんと、種々
肝胆
(
かんたん
)
をくだきましたが、ことごとく、失敗に終り、なんの功もなく立ち帰り、内心、甚だ羞じておる次第でありますが——いまふたたび一命をなげうつ気で、呉へ渡り
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
肝胆
(
かんたん
)
相照
(
あいて
)
らすとは、まさに、この若い二人のこの場のことだった。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
肝胆
(
かんたん
)
を練りくだいて、次の作戦を案じていた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
忽ち、こう
肝胆
(
かんたん
)
を照らし合って
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“肝胆”の意味
《名詞》
肝臓と胆嚢。
心。心底。
(出典:Wiktionary)
肝
常用漢字
中学
部首:⾁
7画
胆
常用漢字
中学
部首:⾁
9画
“肝胆”で始まる語句
肝胆相照