おけ)” の例文
だからお勢みたようなこんな親不孝なもんでもそう何時までもお懐中ぽっぽあすばせてもおけないと思うと私は苦労で苦労でならないから、此間こないだあたしがネ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
世話して足をとゞめ甚兵衞はおのが隱居所をかしつかはおけり其後平左衞門病死しあとは妻のお三とむすめなりお三は近村きんそん産婆とりあげ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それともいまこれを此處におけ貴君あなたの三年の壽命いのちちゞめるがよいか、それでも今ぐにほしう御座るかな。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
もう二十年若くばただおけぬ品物めと腰は曲っても色に忍び足、そろ/\と伺いより椽側えんがわに片手つきてそっと横顔拝めば、おどろいたりお辰、花漬売に百倍の奇麗をなして
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
己は何処どこの何う云う武家ぶけし咎められた時にゃア己が遣ったと云えって名前でもあかしておけいのに、無闇に金を呉れやアがったって、なさけにも何もなりアしねえ
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
君の目の附所つけどころは実に違うナル程僕も髪の毛を一本握ッて居るのをば見たけれど夫が証拠になろうとは思わず、実に後悔だ君より先へ取ておけば好ったのに(谷)ナアニ君などが取たって仕方が無いワネ
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
はげまし隙を見合せ迯出にげいだせしが女の甲斐なさ終にまたとらへられたり因て彼等は云樣かうしておけば又々にげんも知れずとて有合細引にていましめらるゝ時に胴卷に入し百兩の金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かまわずおけば当世時花はやらぬ恋の病になるは必定、如何どうにかして助けてやりたいが、ハテ難物じゃ、それともいっそ経帷子きょうかたびら吾家わがや出立しゅったつするようにならぬ内追払おっぱらおうか、さりとては忍び難し
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さしてぞ急ぎゆくに人間の一生は敢果はかなき事草葉くさばおけつゆよりもなほもろしとかや如何に貧苦ひんくせめられても親子諸共もろともくるしまば又よき事も有べきに別れ/\にならや子の手柏てがしは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)