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細流
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せせらぎ
ふりがな文庫
“
細流
(
せせらぎ
)” の例文
日蔭の冷い
細流
(
せせらぎ
)
を、軒に流して、ちょうどこの辻の
向角
(
むこうかど
)
に、二軒並んで、
赤毛氈
(
あかもうせん
)
に、よごれ
蒲団
(
ぶとん
)
を
継
(
つぎ
)
はぎしたような
射的店
(
しゃてきみせ
)
がある。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あかず行く雲のはてを眺め、野川の
細流
(
せせらぎ
)
のむせぶ音を聞き、すこしばかりの森や林に、風の叫びをしり、草の
戦
(
そよ
)
ぎに、時の動きゆく姿を見ることが望みでございます。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
今しがた渠等が渡って、ここから見えるその村の橋も、鶴谷の手で欄干はついているが、
細流
(
せせらぎ
)
の水静かなれば、
偏
(
ひとえ
)
に風情を添えたよう。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
盂蘭盆
(
うらぼん
)
すぎの
良
(
い
)
い月であつた。風はないが、
白露
(
しらつゆ
)
の
蘆
(
あし
)
に満ちたのが、穂に似て、
細流
(
せせらぎ
)
に揺れて、
雫
(
しずく
)
が、青い葉、青い茎を
伝
(
つたわ
)
つて、
点滴
(
したたる
)
ばかりである。
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
伸上る背戸に、柳が霞んで、ここにも
細流
(
せせらぎ
)
に山吹の影の映るのが、絵に描いた蛍の光を幻に見るようでありました。
雪霊記事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
水らしい水とも思わぬこの
細流
(
せせらぎ
)
の
威力
(
ちから
)
を見よと、流れ廻り、
駈
(
か
)
け
繞
(
めぐ
)
って、
黒白
(
あやめ
)
も
分
(
わか
)
ぬ真の
闇夜
(
やみよ
)
を
縦
(
ほしいまま
)
に
蹂躪
(
ふみにじ
)
る。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一帯の霧が
細流
(
せせらぎ
)
のやうに
靉靆
(
たなび
)
いて、空も野も幻の中に、
一際
(
ひときわ
)
濃
(
こま
)
やかに残るのである。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
寂然
(
ひっそり
)
としていたが、重ねて呼ぶのに気を兼ねる間も無く、雨戸が一枚、すっと
開
(
あ
)
いて、下から
映
(
さ
)
す
蒼
(
あお
)
い
瓦斯
(
がす
)
を、逆に
細流
(
せせらぎ
)
を浴びたごとく
濡萎
(
ぬれしお
)
れた姿で、水際を立てて、そこへお孝が
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
泥脚と
脛
(
すね
)
の、びしょびしょ雨の
細流
(
せせらぎ
)
に
杭
(
くい
)
の乱るるがごとき中へ、
刎
(
はね
)
も上げない
褄
(
つま
)
をきれいに、しっとりした
友染
(
ゆうぜん
)
を、東京下りの
吾妻下駄
(
あずまげた
)
の素足に
捌
(
さば
)
いたのが、ちらちらと
交
(
まじ
)
るを見ると
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
足許
(
あしもと
)
の
細流
(
せせらぎ
)
や、
一段
(
いちだん
)
颯
(
さっ
)
と
簾
(
すだれ
)
を落して流るるさえ、なかなかに花の色を薄くはせぬ。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
線路へ出て、ずっと見ると、一面の浜田がどことなく、ゆさゆさ動いて、
稲穂
(
いなぼ
)
の分れ伏した処は幾ヶ所ともなしに
細流
(
せせらぎ
)
が
蜘蛛手
(
くもで
)
に走る。二三枚空が映って、田の白いのは
被
(
かぶ
)
ったらしい。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
稲の下にも
薄
(
すすき
)
の中にも、
細流
(
せせらぎ
)
の
囁
(
ささや
)
くように、ちちろ、ちちろと声がして、その鳴く
音
(
ね
)
の
高低
(
たかひく
)
に、静まった草もみじが、そこらの
刈
(
かり
)
あとにこぼれた
粟
(
あわ
)
の落穂とともに、風のないのに軽く動いた。
若菜のうち
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黒表紙には
綾
(
あや
)
があって、
艶
(
つや
)
があって、真黒な
胡蝶
(
ちょうちょう
)
の
天鵝絨
(
びろうど
)
の羽のように美しく……一枚開くと、きらきらと字が光って、
細流
(
せせらぎ
)
のように動いて、何がなしに、言いようのない強い
薫
(
かおり
)
が
芬
(
ぷん
)
として
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
先
(
せん
)
、師匠をはじめ、前々に、故人がこの狂言をいたした時は、土間は野となり、一二の松は
遠方
(
おちかた
)
の森となり、橋がかりは
細流
(
せせらぎ
)
となり、見ぶつの男女は、草となり、
木
(
こ
)
の葉となり、石となって
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
媚
(
なまめ
)
かしい、
紅
(
べに
)
がら
格子
(
ごうし
)
を五六軒見たあとは、
細流
(
せせらぎ
)
が流れて、薬師山を一方に、
呉羽神社
(
くれはじんじゃ
)
の大鳥居前を過ぎたあたりから、
往来
(
ゆきか
)
う人も、来る人も、なくなって、古ぼけた
酒店
(
さかみせ
)
の杉葉の
下
(
もと
)
に、茶と黒と
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
細流
(
せせらぎ
)
は、これから流れ、鳥居は、これから見え、町もこれから
賑
(
にぎや
)
かだけれど、俄めくらと見えて、
突立
(
つった
)
った足を、こぶらに力を入れて、あげたり、すぼめたりするように、片手を差出して、手探りで
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
門
(
かど
)
の柳の散る中に、つないだ駒はなかったが、
細流
(
せせらぎ
)
を織る
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
は、
手綱
(
たづな
)
の影を浮かして行く……
流
(
ながれ
)
に添った片側の長い土塀を、向うに隔たる、宗参法師は、間近ながら
遥々
(
はるばる
)
と、
駅路
(
えきろ
)
を過ぐる趣して
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“細流”の意味
《名詞》
川などの細い流れ。
(出典:Wiktionary)
細
常用漢字
小2
部首:⽷
11画
流
常用漢字
小3
部首:⽔
10画
“細流”で始まる語句
細流小溝