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ひやかし
ふりがな文庫
“
素見
(
ひやかし
)” の例文
のみならず中には、多少
易経
(
えききょう
)
の端を読みかじッている
手輩
(
てあい
)
などもあって、
素見
(
ひやかし
)
のうちでも
売卜者
(
ばいぼくしゃ
)
たちには
苦手
(
にがて
)
な部類の者と見たので
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
素見
(
ひやかし
)
らしい若いのが一人二人、ぽつねんと胴の間に退屈らしく待っている呑気な姿も、江戸時代の名残りめいてちょっとオツだ。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
そのお駒が突然に冥途へ鞍替えをしたのであるから、伊勢屋の店は引っくり返るような騒ぎになった。土地の
素見
(
ひやかし
)
の
大哥
(
あにい
)
たちも眼を皿にした。
半七捕物帳:31 張子の虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
たまさかに、障子が橙色の
灯影
(
ひかげ
)
に燃え立つように明って見える二階はあったが、それでもまだ
素見
(
ひやかし
)
の客の姿も、そこらの格子戸の中には見透かせなかった。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
つい台所用に女房が立ったあとへは、鋲の目が出て髯を揉むと、「
高利貸
(
あいす
)
が居るぜ。」とか云って、貸本の
素見
(
ひやかし
)
までが遠ざかる。当り触り、
世渡
(
よわたり
)
は
煩
(
むず
)
かしい。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
殊に外国からやって来た
素見
(
ひやかし
)
の客(たとえば、松岡とか大島とかいう人たち)に対しては、まるでもう処女の如くはにかみ、顔を真赤にしたという話を聞きました。
返事
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
十九というにしては少し
老
(
ふ
)
けて居りますが、地味な
袷
(
あわせ
)
にこればかりは燃えるような赤い
片襷
(
かただすき
)
、いずれかと言えば淋しく品の良い顔立ちで、口の悪い
素見
(
ひやかし
)
の客などは
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
だが、曲るは曲って行ったにしても、
素見
(
ひやかし
)
一つするでもなく、勿論
登
(
あが
)
ろうというような気はいは更になく、唯何と言うことなくぶらりぶらりと、曲っていっただけの事でした。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
腰に尺八の
伊達
(
だて
)
はなけれど、何とやら
厳
(
いか
)
めしき名の親分が
手下
(
てか
)
につきて、
揃
(
そろ
)
ひの手ぬぐひ
長提燈
(
ながでうちん
)
、
賽
(
さい
)
ころ振る事おぼえぬうちは
素見
(
ひやかし
)
の
格子先
(
かうしさき
)
に思ひ切つての
串談
(
じようだん
)
も言ひがたしとや
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
素見
(
ひやかし
)
の客があちらにチラリ、こちらにチラリ、ところ/″\にタクシーが横づけになつて居て、まるで、
猖獗
(
しようけつ
)
な伝染病流行当時の都市を見る様である。一つしかない名古屋の遊郭だ。
名古屋スケッチ
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
素見
(
ひやかし
)
に来た道楽者が思わず知らず社会学者となり考古学者となってしまいます。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今夜も
懶
(
なま
)
けものの癖として品川へ
素見
(
ひやかし
)
にまいり、元より恵比寿講をいたす気で
某
(
ある
)
楼
(
うち
)
へ
登
(
あが
)
りましたは宵の口、
散々
(
さんざ
)
ッ
腹
(
ぱら
)
遊んでグッスリ遣るとあの火事騒ぎ、
宿中
(
しゅくじゅう
)
は
鼎
(
かなえ
)
の
沸
(
わ
)
くような塩梅しき
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
他の
素見
(
ひやかし
)
が立去ったを幸い十銭銀を
投
(
ほう
)
り出し、これをと云うと本屋は彼の眼で見て、秘訣ですかと問返した音になお嘲りの分子が含まれて居るようで貞之進はぎょッとしてそうだとの一言が出ず
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
十九といふにしては少し
老
(
ふ
)
けて居りますが、地味な
袷
(
あはせ
)
にこればかりは燃えるやうな赤い
片襷
(
かただすき
)
、いづれかと言へば淋しく品の良い顏立ちで、口の惡い
素見
(
ひやかし
)
の客などは
銭形平次捕物控:174 髷切り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
容貌
(
きりょう
)
がいいのに声がいいというので、廓でもだいぶ評判になって、
素見
(
ひやかし
)
なんぞは大騒ぎをしていたんだが、それがどうしてか、去年の暮頃からちっとも姿を見せなくなってしまったので
半七捕物帳:09 春の雪解
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
内へ来るような
馴染
(
なじみ
)
はなし、どこの
素見
(
ひやかし
)
だろうと思って、おやそうか何か気の無い返事をして、
手拭
(
てぬぐい
)
を掛けながら
台所口
(
だいどころぐち
)
から、ひょいと見ると、まあ、お前さんなんだもの。
真赤
(
まっか
)
になったわ。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こゝに品川の貸座敷に
和国楼
(
わこくろう
)
と申すのがございまして大層
流行
(
はや
)
ります。娼妓も二十人足らず居り、みんな玉が揃っているので、玉和国と、悪口をいう
素見
(
ひやかし
)
までが
誉
(
ほ
)
めそやしているぐらいでげす。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何とやら嚴めしき名の親分が
手下
(
てか
)
につきて、揃ひの手ぬぐひ長提燈、賽ころ振る事おぼえぬうちは
素見
(
ひやかし
)
の格子先に思ひ切つての串戲も言ひがたしとや、眞面目につとむる我が家業は晝のうちばかり
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
投銭にはちゃちゃらかちゃんなんて古風な
流行唄
(
はやりうた
)
をやってますが、
可
(
い
)
い声で、ぞッとするような
明烏
(
あけがらす
)
をやりますんでね。
私
(
わっし
)
あ例のへべれけで、
素見
(
ひやかし
)
数の子か何か、鼻唄で、銭のねえふてくされ。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何
(
なん
)
とやら
嚴
(
いか
)
めしき
名
(
な
)
の
親分
(
おやぶん
)
が
手下
(
てか
)
につきて、
揃
(
そろ
)
ひの
手
(
て
)
ぬぐひ
長提燈
(
ながてうちん
)
、
賽
(
さい
)
ころ
振
(
ふ
)
る
事
(
こと
)
おぼえぬうちは
素見
(
ひやかし
)
の
格子先
(
かうしさき
)
に
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つての
串談
(
じようだん
)
も
言
(
い
)
ひがたしとや、
眞面目
(
まじめ
)
につとむる
我
(
わ
)
が
家業
(
かげう
)
は
晝
(
ひる
)
のうちばかり
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
素見
(
ひやかし
)
を
追懸
(
おっか
)
けた亭主が、値が出来ないで舌打をして引返す……
煙草入
(
たばこいれ
)
に
引懸
(
ひっかか
)
っただぼ
鯊
(
はぜ
)
を、鳥の毛の
采配
(
さいはい
)
で釣ろうと構えて、ストンと外した玉屋の
爺様
(
じいさま
)
が、
餌箱
(
えさばこ
)
を
検
(
しら
)
べる
体
(
てい
)
に、財布を
覗
(
のぞ
)
いて
鬱
(
ふさ
)
ぎ込む
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
素
常用漢字
小5
部首:⽷
10画
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
“素見”で始まる語句
素見客
素見山