かど)” の例文
水にはかど無けれども氷には稜ある道理で、恐ろしい鋭さと固さとを以て、或點に對しては嚴しくもまた苛酷いらひどく強く働くものである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
氷山のかどが桃色や青やぎらぎら光つて窓の外にぞろつとならんでゐたのです。これが風のとばしてよこしたお話のおしまひの一切れです。
氷河鼠の毛皮 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
昨今の大臣や地方官も何卒なにとぞせめて、この半分もかどありて、自ら国民の非難を反駁し、理由さえ正しくば遠慮なしに打ち懲らされたい事じゃ。
そのくせかどはガラスの破片のように鋭く、転んで手などついたら、いっぺんに怪我をしてしまう。靴は初めからあきらめるよりしかたがない。
黒い月の世界 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
さてかく變りて後この聖なる建物たてものその處々ところ/″\より頭を出せり、即ち轅よりは三、かどよりはみな一を出せり 一四二—一四四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あたかも川の氷が固くなって、そのかどは刃のように尖っていたので、張はあたまを撃ち割られて半死半生になった。
僕は獅子のいわやに這入るようなつもりで引き越して行った。埴生が、君の目は基線を上にした三角だと云ったが、その倒三角形の目がいよいよかど立っていたであろう。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そのかど々は消えてゆく、圓になる、だんだん膨れてきた、こんだはきうだ。この光景けしきの神々しさは、先のに、をさをさ劣らない。腕は更に筋張つてさし上げられる。
さしあげた腕 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
母があんまり善行を修め過ぎるのではないかと思われた。そこで我れ知らず言葉にかどが立ち、そうではありませんよ、というような答えをしなければならなくなった。
兎と猫 (新字新仮名) / 魯迅(著)
「觚にはかどがあるはずじゃ。もともと觚というのは、稜という意味じゃでの。」
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
どこかかどばったところのあった顔の輪郭すら、見違えるほど和らげられて来た。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
燧石はかどがあるからカド石という土地が多い。そのカド石は山で拾い、または川原にあるものを割っても用いられるとしても、一方の鉄だけは鍛冶かじが来て打ってくれるのを待たなければならぬ。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
高き鼻に鼈甲縁べつこうぶちの眼鏡をはさみて、かどある眼色まなざしは見る物毎に恨あるが如し。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
すると、脚たかい本膳のかどに描き込まれた定紋がきらめくのであった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
しかしそれでもHMVのレコードには、やはり一面ごとに切って使ったものである。最も注意を払われねばならぬのは背(かど)である。ここが潰れたりささくれたりしたのを使うのが一番よくない。
軍鷄しやもたけいさぎよし肩痩せて立ちそびえたり光る眼のかど
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
かどあるまなこ
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「ベゴ」とふ名は、その辺の草の中にあちこち散らばった、かどのあるあまり大きくない黒い石どもが、つけたのでした。
気のいい火山弾 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
薄暗い「きう」は軸の上に囘轉する、漸々だん/″\膨れて來るやうだ。金色こんじきかどが肌の上に現はれる。無數の蟻はぽうつと明るくなつてきた宇宙の上に降りはじめる。きうはぱつと破裂する。
さしあげた腕 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
お峯は直道がことばかどあらんことをおもひはかりて、さり気無く自ら代りて答へつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
軍鶏しやもたけいさぎよし肩痩せて立ちそびえたり光る眼のかど
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「畜生!」阿Qは眼にかどを立て口の端へあわを吹き出した。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
「ベゴ」とう名は、その辺の草の中にあちこち散らばった、かどのあるあまり大きくない黒い石どもが、つけたのでした。
気のいい火山弾 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
(この屋根やねかどが五角で大きな黒電気石[※3]の頭のようだ。その黒いことは寒天かんてんだ。その寒天の中へおれははいる。)
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
かどのある石は、一しょに大声でわらひました。その時、霧がはれましたので、かどのある石は、空を向いて、てんでに勝手なことを考へはじめました。
気のいい火山弾 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
かどのある石は、一しょに大声でわらいました。その時、霧がはれましたので、かどのある石は、空を向いて、てんでに勝手なことを考えはじめました。
気のいい火山弾 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
けらを着た百姓ひゃくしょうたちが、山刀なた三本鍬さんぼんぐわ唐鍬とうぐわや、すべて山と野原の武器をかたくからだにしばりつけて、東のかどばった燧石ひうちいしの山をえて、のっしのっしと
狼森と笊森、盗森 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
かどのある石は、だまってため息ばかりついてゐます。そして気のいゝ火山弾は、だまってわらってりました。
気のいい火山弾 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
かどのある石は、だまってため息ばかりついています。そして気のいい火山弾は、だまってわらってりました。
気のいい火山弾 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
河原のこいしは、みんなすきとおって、たしかに水晶や黄玉トパースや、またくしゃくしゃの皺曲しゅうきょくをあらわしたのや、またかどからきりのような青白い光を出す鋼玉やらでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
河原かわらこいしは、みんなすきとおって、たしかに水晶すいしょう黄玉トパーズや、またくしゃくしゃの皺曲しゅうきょくをあらわしたのや、またかどからきりのような青白い光を出す鋼玉コランダムやらでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
丘のかどは、もうあつちもこつちも、みんな一度に、きしるやうに切るやうに鳴り出しました。
水仙月の四日 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
丘のかどは、もうあっちもこっちも、みんな一度に、きしるように切るように鳴り出しました。
水仙月の四日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
山刀なた三本鍬さんぼんぐは唐鍬たうぐはや、すべて山と野原の武器を堅くからだにしばりつけて、東のかどばつた燧石ひうちいしの山を越えて、のつしのつしと、この森にかこまれた小さな野原にやつて来ました。
狼森と笊森、盗森 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
ふっと気がついて見るともう北極けんに入っているんだ。海は蒼黝あおぐろくて見るから冷たそうだ。船も居ない。そのうちにとうとう僕たちは氷山を見る。朝ならそのかどが日に光っている。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そのとき楢夫がたうとう一つの赤いかどのある石につまづいて倒れました。鬼のむちがその小さなからだを切るやうに落ちました。一郎はぐるぐるしながらその鬼の手にすがりました。
ひかりの素足 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
くらかけのびんかんなかど
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)