短刀たんたう)” の例文
付させられ懷姙くわいにんし母お三婆のもとへ歸るみぎり御手づから御墨付すみつきと御短刀たんたうそへて下し置れしが御懷姙の若君わかぎみは御誕生たんじやうの夜むなしく逝去遊おかくれあそばせしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
るゝ幾分時いくぶんじおもさだめてツトたちよりつ用意ようい短刀たんたうとりなほせばうしろやぶなにやら物音ものおとひともやつるとみゝ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
竹村たけむら大久保おほくぼ出発前しゆつぱつぜん奈美子なみこをつれこんでゐた下町したまち旅館りよくわんで——それにも多少たせう宣伝的意味せんでんてきいみがあつたが、そこでなかに、さやごと短刀たんたう奈美子なみこ脊中せなかつたなぞのはなし
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
其奴そいつ引捕ひつとらへてれようと、海陸軍かいりくぐん志願しぐわんで、クライブでん三角術さんかくじゆつなどをかうじて連中れんぢうが、鐵骨てつこつあふぎ短刀たんたうなどを持參ぢさん夜更よふけまで詰懸つめかける、近所きんじよ仕出屋しだしやから自辨じべん兵糧ひやうらう取寄とりよせる
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
然れば形状に由りてひとしく石槍と稱する物の中には、其用より云へば、槍も有るべく、短刀たんたうも有るべきなり。フランス、ベリゴードの洞穴どうけつよりは馴鹿の脊椎に石槍の立ちたる物を發見せし事有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
あけて内より白木しらきはこ黒塗くろぬりの箱とを取出し伊賀亮がまへへ差出す時に伊賀亮は天一坊に默禮もくれいうや/\しくくだんはこひもとき中より御墨附おんすみつきと御短刀たんたうとを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おどろいたことには、とらのやうに大切たいせつにしてゐるウェルスの手紙てがみなどれた折鞄をりかばんのなかから、黒髪くろかみたば短刀たんたうとが、かみにくるんで、ひもいはへられたまゝ、竹村たけむらまへ引出ひきだされたことであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
きゝ將軍には覺なしとの御意合點參ず正く徳太郎信房公お直筆ぢきひつと墨附及びお證據のお短刀たんたうあり又天一樣には將軍の御落胤に相違なきは其御面部めんぶうり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)