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真俯向
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まうつむ
ふりがな文庫
“
真俯向
(
まうつむ
)” の例文
旧字:
眞俯向
ハッと
呼吸
(
いき
)
を引く。目口に吹込む
粉雪
(
こゆき
)
に、ばッと背を向けて、そのたびに、風と反対の方へ
真俯向
(
まうつむ
)
けになって防ぐのであります。
雪霊記事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
崕
(
がけ
)
の
溝端
(
どぶばた
)
に
真俯向
(
まうつむ
)
けになって、生れてはじめて、許されない禁断の
果
(
このみ
)
を、相馬の名に負う、轡をガリリと頬張る思いで、馬の口にかぶりついた。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
異様なる持主は、その鼻を
真俯向
(
まうつむ
)
けに、長やかなる顔を薄暗がりの中に据え、一道の臭気を放って、いつか土間に立ってかの杖で土をことことと
鳴
(
なら
)
していた。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「畜生、
叱
(
しッ
)
……畜生。」と
拳
(
こぶし
)
を
揮廻
(
ふりまわ
)
すのが
棄鞭
(
すてむち
)
で、
把手
(
ハンドル
)
にしがみついて、さすがの悪垂
真俯向
(
まうつむ
)
けになって邸町へ敗走に及ぶのを、
斑犬
(
ぶち
)
は波を打って
颯
(
さっ
)
と追った。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
はっと火のような
呼吸
(
いき
)
を吐く、トタンに
真俯向
(
まうつむ
)
けに
突伏
(
つッぷ
)
す時、長々と舌を吐いて、犬のように畳を
嘗
(
な
)
めた。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
鳩の羽より軽かったが、驚くはずみの足踏に、ずんと響いて、どろどろと縁が鳴ると、
取縋
(
とりすが
)
った手を、アッと離して、お絹は、板に手をついて、
真俯向
(
まうつむ
)
けになりました。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
隣座
(
となりざ
)
に、どたりと
真俯向
(
まうつむ
)
けになった、百姓
体
(
てい
)
の
親仁
(
おやじ
)
は、
抜衣紋
(
ぬきえもん
)
の背中に、
薬研形
(
やげんがた
)
の穴がある。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
真俯向
(
まうつむ
)
けに、頬を畳に、足が、空で一つに、ひたりとついて、白鳥が目を眠ったようです。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
背に
庇
(
かば
)
って立った教授が、見ると、
繻子
(
しゅす
)
の黒足袋の鼻緒ずれに破れた
奴
(
やつ
)
を、ばたばたと空に
撥
(
は
)
ねる、治兵衛坊主を
真俯向
(
まうつむ
)
けに、押伏せて、お光が
赤蕪
(
あかかぶ
)
のような膝をはだけて
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
真黒
(
まっくろ
)
な影法師のちぎれちぎれな
襤褸
(
ぼろ
)
を
被
(
き
)
て、茶色の毛のすくすくと
蔽
(
おお
)
われかかる額のあたりに、
皺手
(
しわで
)
を合わせて、
真俯向
(
まうつむ
)
けに
此方
(
こなた
)
を拝んだ
這身
(
はいみ
)
の
婆
(
ばば
)
は、坂下の
藪
(
やぶ
)
の
姉様
(
あねさま
)
であった。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中に
真俯向
(
まうつむ
)
けになっていた、
穢
(
きたな
)
い
婆
(
ばばあ
)
が、何とも云いようのない顔を上げて、じろりと見た、その
白髪
(
しらが
)
というものが一通りではない、銀の針金のようなのが、
薄
(
すすき
)
を一束刈ったように
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
葛木が
焦
(
じ
)
れて気色ともに激しくなるほど、はあはあと呼吸を内に引いて、大息で
喘
(
あえ
)
いだが、
獣
(
けもの
)
の背の、波打つ
体
(
てい
)
に、くなくなとなると、とんと橋の上へ、
真俯向
(
まうつむ
)
けに
突伏
(
つッぷ
)
してしまう。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
真俯向
(
まうつむ
)
けに行く重い風の中を、
背後
(
うしろ
)
からスッと軽く襲って、
裾
(
すそ
)
、
頭
(
かしら
)
をどッと
可恐
(
おそろし
)
いものが引包むと思うと、ハッとひき息になる時、さっと抜けて、目の前へ
真白
(
まっしろ
)
な
大
(
おおき
)
な輪の影が
顕
(
あらわ
)
れます。
雪霊記事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、耳も
牙
(
きば
)
もない、
毛坊主
(
けぼうず
)
の
円頂
(
まるあたま
)
を、水へ
逆
(
さかさま
)
に
真俯向
(
まうつむ
)
けに成つて、
麻
(
あさ
)
の
法衣
(
ころも
)
のもろ
膚
(
はだ
)
脱いだ両手両脇へ、ざぶ/\と水を掛ける。——
恁
(
かか
)
る
霜夜
(
しもよ
)
に、
掻乱
(
かきみだ
)
す水は、氷の上を
稲妻
(
いなずま
)
が走るかと疑はれる。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
御近習、宮の中へ
闖入
(
ちんにゅう
)
し、人妻なればと、いなむを捕えて、手取足取しようとしたれば、舌を
噛
(
か
)
んで
真俯向
(
まうつむ
)
けに倒れて死んだ。その時にな、この獅子頭を
熟
(
じっ
)
と
視
(
み
)
て、あわれ獅子や、名誉の作かな。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
髪の薄い
天窓
(
あたま
)
を
真俯向
(
まうつむ
)
けにして、土瓶やら、茶碗やら、
解
(
とき
)
かけた風呂敷包、
混雑
(
ごった
)
に職員のが
散
(
ちら
)
ばったが、その控えた前だけ整然として、
硯箱
(
すずりばこ
)
を
右手
(
めて
)
へ引附け、一冊覚書らしいのを
熟
(
じっ
)
と
視
(
なが
)
めていたのが
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(足手を
硬直
(
かたく
)
し、突伸べ、ぐにゃぐにゃと
真俯向
(
まうつむ
)
けに草に
俯
(
ふ
)
す。)
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
技師は
真俯向
(
まうつむ
)
けに、革鞄の紫の袖に伏した。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
俯
漢検1級
部首:⼈
10画
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
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真俯伏