町人ちょうにん)” の例文
竹童ちくどうみたいな小僧こぞうにはりまくられ、旅僧たびそうににらまれればすぐげだすなんて、いくら町人ちょうにんにしても、あまり度胸どきょうがなさすぎるね」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
希臘ギリシャの美術はアポロンを神となしたる国土に発生し、浮世絵は虫けら同然なる町人ちょうにんの手によりて、日当りしき横町よこちょう借家しゃくやに制作せられぬ。
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それから町人ちょうにんいえよりの帰途かえり郵便局ゆうびんきょくそばで、かね懇意こんい一人ひとり警部けいぶ出遇であったが警部けいぶかれ握手あくしゅして数歩すうほばかりともあるいた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
だい四には、国民こくみんだ。士族しぞくはもちろん、ひゃくしょうや町人ちょうにんどもでも、すこしばかり文字もじがわかるやつは、みんな役人やくにんになりたがっている。
このおとこは三さき町人ちょうにんで、年輩としごろは三十四五の分別ふんべつざかり、それがなみだまじりにんなことをもうすのでございますから、わたくし可笑おかしいやら、どくやら、まったあきれてしまいました。
その長兵衛の子の中島富五郎とみごろうになってわたしの家は全くの町人ちょうにんとなりました。
希臘ギリシヤの美術はアポロンを神となしたる国土に発生し、浮世絵は虫けら同然なる町人ちょうにんの手によりて、日当りしき横町よこちょう借家しゃくやに制作せられぬ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すなわちここの市長しちょうならび町会議員ちょうかいぎいんみな生物知なまものしりの町人ちょうにんである、であるから医師いしることは神官しんかんごとく、そのところ批評ひひょうせずしてしんじている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
秀吉ひでよしさまは、合戦かっせんのまッただ中、町人ちょうにんのくせに、まつりなどとはもってのほか、さッ、店や小屋こやはドシドシとたたんでしまえ!」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
町人ちょうにんたちは、さも、ふしぎなものをみたといわんばかりに、少年しょうねんのうしろすがたをゆびさして、ささやきあいました。
「さようでござりましょうとも、信玄公しんげんこう在世ざいせいのころからくらべれば比較ひかくにならないと、町人ちょうにんたちもささやいております」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるあきあさのこと、イワン、デミトリチは外套がいとうえりてて泥濘ぬかっているみちを、横町よこちょう路次ろじて、町人ちょうにんいえ書付かきつけってかねりにったのであるが
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
町人ちょうにんたちがはなしている、その少年しょうねんは、じりじりとてりつける太陽たいようにあせばんだのか、ときおり、右手みぎてで、ひたいのあせをふきながら、士族しぞくやしきへかえっていきました。