“現身:うつしみ” の例文
“現身:うつしみ”を含む作品の著者(上位)作品数
坂口安吾23
北原白秋7
吉川英治2
中原中也1
中谷宇吉郎1
“現身:うつしみ”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 各種の演劇1.9%
文学 > 日本文学 > 詩歌1.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
大詩人だの大音楽家だのと云ったって、その他人にすぐれているのは詩と音楽についてのことで、ナマの現身うつしみはそうは参らん。
然し、家康の影は、彼の現身うつしみと対応せず、その凋落の跫音と差しむかひ、朝鮮役の悔恨や又諸々の悔恨の影の向ふに立つてゐた。
我鬼 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
私の「現身うつしみ」にとつて、それが私の真実の生活であるか、虚偽の生活であるか、といふことだけが全部であつた。
いづこへ (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
私の「現身うつしみ」にとって、それが私の真実の生活であるか、虚偽の生活であるか、ということだけが全部であった。
いずこへ (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
まつたくこの作者の現身うつしみは破局に身を沈めてをり、淪落のどん底に落ち、地獄の庭を歩いてゐたに相違ない。
蟹の泡 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
然し、ヒロシがその胸にだきしめてゐる品格の灯はその卑小なる現身うつしみと交錯せず、彼はたぶんその現身の卑しさを自覚してはゐないのだ。
母の上京 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
私の健康さの全部のものを作品に捧げつくして、その残りカスが私というグウタラな現身うつしみなのだよ、と誇示し得ないこともないのである。
わが精神の周囲 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
現身うつしみの人のひじり現身うつしみの鳥の雀と、雀とフランチエスコと、朝夕に常かくなりき。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
すくなくともタクミにとってはそれが全てであるし、オレの現身うつしみにとってもそれが全てであろう。
夜長姫と耳男 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
現身うつしみの人のひじり現身うつしみの鳥の雀と、雀とフランチェスコと朝夕に常かくなりき。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そうしているうちに、南郷綾麿の心もまた、少しずつではあったにしても、現身うつしみの温かい血肉を盛った、香折の可憐さに傾いて来たことも事実でした。
そしてかかる日本の封建思想を完成せしめた孔子は実に自由人であり、永遠の現代人であり、しこうして彼の現身うつしみは保守家ではなく、反逆者であつた。
私の小説 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
私のインチキ小説よりも、もつと激しく、私のインチキな現身うつしみ、イノチに絶望してゐた。
舞台の上に新しく生れた一人物になりきって、己れの現身うつしみを捨てきらねばならぬ。
現身うつしみと生れたまひて吾がごとかいひさしけむこしひじり
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
現身うつしみは春もそびら経絡けいらくに火をつづらせてかなしがるなり
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ものなべてぎゆかむもの現身うつしみはしづかにきてありなむわれ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
鴎等かもめらはためらひもなく今ぞ飛ぶねたくしおもふ現身うつしみわれは
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
水にひたす影に於てこそ、もっとも女神の現身うつしみをみることができる。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
我々の現身うつしみは、道に迷えば、救いの家を予期して歩くことができる。
文学のふるさと (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
我々の現身うつしみは、道に迷へば、救ひの家を予期して歩くことができる。
文学のふるさと (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
現身うつしみは生きて朝間あさまぞすずしけれ愚かなりけり死にてむなしさ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
孫悟空に凝って、金箍棒きんこぼう羅刹女らせつにょ芭蕉扇ばしょうせんをありありと目に見た子供は、やがて原子の姿をも現身うつしみの形に見ることが出来るであろう。
簪を挿した蛇 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
現身うつしみは生きて朝間あさまぞすずしけれ愚かなりけり死にてむなしさ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
現身うつしみの人にてませば、かの人もまた、人のごと寂しくましき。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
現身うつしみの馬にてせば観世音きうすゑられてありにけるかも
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
私のうらぶれた現身うつしみに、影ほど好ましきものは無いのです。
帆影 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
その基底に於ても彼の現身うつしみと遊離する傾向を大きくした。
オモチャ箱 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
芸術が現身うつしみに負けることが、私はどうにもやりきれない。
手紙雑談 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
その基底に於ても彼の現身うつしみと遊離する傾向を大きくした。
オモチャ箱 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
現身うつしみの泥豚の児が啼いて居りその泥豚の児と児重なり
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
子どものような悲鳴をあげたと思うと、彼は眼をさましていたのである。眼がさめるとまた、かえって夢よりも切実にこわ現身うつしみかえって、惻々そくそくさいなまれた。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
めしをくはねば生きてゆかれぬ現身うつしみの世は、
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
人間の現身うつしみなどはタカの知れたものだ。
大阪の反逆 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
現身うつしみのうつしごころのあはれなり。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
智恵子は現身うつしみのわたしを見ず、
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
身ははやも現身うつしみはなし、
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
墨をすらせる子供以外に私に就て考へてをらず、自分の死後の私などに何の夢も托してゐなかつた老人に就て考へ、石がその悲願によつて人間の姿になつたといふ「紅楼夢」を、私自身の現身うつしみのやうにふと思ふことが時々あつた。
石の思ひ (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
墨をすらせる子供以外に私に就て考えておらず、自分の死後の私などに何の夢もたくしていなかった老人に就て考え、石がその悲願によって人間の姿になったという「紅楼夢こうろうむ」を、私自身の現身うつしみのようにふと思うことが時々あった。
石の思い (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
すべて芸術はガクブチだの舞台だのと限定や制約からくる約束があって、要するにナマの写実やナマの現身うつしみは芸ではないと云っても、それは人間についてのことで、二人の人間が馬の着物をかぶって一匹の馬になったツモリらしくシャン/\と鈴をならして現れる怪物は
矢田津世子が何事を通してそのような大人になったか、私には分らぬけれども、彼女が私の現身うつしみに見出し、見すくめ、意地わるくその底までもシャブリつゞけていたものは、私が見つめていた彼女の女体よりも、もっと俗世的な、救いのないものではなかったかと私は思った。
三十歳 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
墓も休息に思へるのだね。そしてそれと同じやうに血のつながりの宿命の中で休みたいのだ。私の現身うつしみが休みたいといふのではない。ちやうど墓と同じやうに私の死後が休みたいのだ。そのやうに私はもはや無気力だ。私は現身を希つてゐない。むしろ自然に希ふことができないのだね。
殿下も御存知のやうに、日々斎戒窮苦の生活に従ひ童貞をまもり、ひたすら人々の幸福のために身命をすりへらしてゐるといふのも、現身うつしみの幸を望まず、一命を天主にさゝげ、死後の幸福を信じるからで、神の存在を信じなくてこのやうなことが出来る筈がありませうや、と見得を切つた。
鉄砲 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
眼はさめても、なお意識まではさめきれず、血管のなかにはまだ夜来の酒気もそのままかおっているかのような夢中と現身うつしみの境に、彼の脳裡のうりには、南方の島々や高麗こうらいの沿海や、ゆくてに大明国だいみんこくをさしている大船列や、その船楼に立つ自分のすがただの、宗及や宗室のすがたまでも描かれていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)