本宅ほんたく)” の例文
なーるほど、にこやかでほゝふくれてゐるところなんぞは大黒天だいこくてんさうがあります、それに深川ふかがは福住町ふくずみちやう本宅ほんたく悉皆みな米倉こめぐら取囲とりまいてあり、米俵こめだはら積揚つみあげるからですか。
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
本宅ほんたく三番町さんばんちやう何處どこやらにて表札へうさつればむゝひとうちかと合點がてんのゆくほどの身分みぶんいまさら此處こゝにははずもがな、名前なまへはづかしければ病院びやうゐんれることもせで
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まつばかりにても見惚みとるゝやうなりとほゝめば、別莊べつさうにはあらず本宅ほんたくにておはすなりとこたふ、これはなしの糸口いとぐちとして、見惚みとたまふはまつばかりならず、うつくしき御主人ごしゆじんこうなりといふ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おきては別莊守べつそうもりの夫婦ふうふのみなれど最愛さいあいむすめ病氣びやうきとのことなり本宅ほんたくよりの使つかたへければことによそへて杉原すぎはらのことはするに本宅かしこにも此頃このごろさらにまゐたまはずといふるにてもなんとしたまひしにや我心わがこゝろ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たばそらつきあひみるべきぞとならばうれしけれどしやのねがひに左樣さうゆるにやいつらからば一すぢならでたのみのあるだけまどはるゝなりさてもお便たよりのきこえぬは何故なにゆゑいとはせたまひなば此處こゝへこそ御入來おいでなくとも本宅ほんたくへまで御踈遠ごそゑんとは
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)